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レゴブロックでSTEAM教育③ ベルトドライブ
こんにちは。
今回もレゴブロックを使ったSTEAM教育のアイデアを紹介します。
ベルトドライブについて
写真のような機構を知っていますか?
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こちらはベルトドライブという機構で、2つの滑車をベルトで繋いだ滑車の一種です。
ハンドルを回すとゴムで繋がれた滑車も一緒に回転します。
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以前紹介したギアと同じように力を伝えるはたらきをします。
ゴムと滑車との間にはたらく摩擦によってベルトを動かし、滑車から滑車へと力を伝えます。
そして、摩擦を利用しているため、たくさん回すと….
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このように段々と上下の目印がずれてしまい、ハンドルの付いた滑車に与えた力が旗の付いた滑車に全て伝わっていないことが分かります。
摩擦が抵抗となって、力を減衰させていることがよく分かります。
そして、ゴムをクロスして繋いでみると、どのようなことが起こるでしょうか?
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このように先ほどは同じ方向で回転していた滑車が、反対方向に回転します。
対角線上にゴムが流れるため、旗の付いた滑車の回転方向が反対になります。
また、ギアと同じようにベルトで繋ぐ滑車の円周を変えてみると、回転する速さを変えることができます。
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このようにとてもシンプルな機構ですが、実際に試して観察してみることで様々な発見ができます。
ギアとの比較
以前紹介したギアとベルトドライブを比較してみましょう。
それぞれどのような特徴があるでしょうか?
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力を伝えたり、変換したり、回転運動という特徴は同じです。
一方で、様々な相違点を見つけることもできます。
ギアは噛み合いで回転させるため正確に力を伝えることができるが、べるとドライブは摩擦によって力が減衰してしまう。
ギアは隣合う歯車は必ず逆方向に回転するが、ベルトドライブはベルトのかけ方で回転方向を調整できる。
ギアは遠くまで力を伝えるために多くのギアを噛み合わせる必要があるが、ベルトドライブはベルトを長くすれば簡単に遠くまで伝えることができる。
このように機構によって、得意不得意があることが分かります。
実際に言葉で書き起こしてみることで、機構の特性が良く分かります。
STEAMという言葉を最初に定義したとされる、ジョーゼットヤックマンも「科学と技術は全て工学とリベラルアーツを通して解釈される」と記したように、私たちは言葉を通して科学の現象や物事の特性を理解します。
理数系や文系と分けて考えられますが、国語で学んだ文章表現は理科の授業でも大活躍しますし、理科で発揮する現象を描写する能力は国語の授業で大活躍します。同じく算数の授業でも文章問題を読解する場面や、数学になれば論理的に答えの導出する場面で、国語で身に着けた力を発揮します。
このように、それぞれの教科で身に着ける力は相互に作用し合って、子どもたちの力を伸ばしています。
実際に作って自らの手で体験してみることで、意欲的かつ効果的に子どもたちが力を発揮するように促すことができます。
クイズ
今回はギアとベルトドライブの類似点・相違点に関するクイズです。
受動ギア・受動滑車(力を受ける側)が回らないように、力いっぱい手で押さえます。
この時にハンドルを回すことのできる機構はどちらでしょうか?
正解は…
ベルトドライブです。
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ギアは噛み合いによって回転を伝えるため、入力した力が歯と歯ぼ間に溜まってしまい、ハンドルを回すことができません。
ベルトドライブはハンドルから伝えた力が、ベルトと滑車の間にはたらく摩擦を超えると、空回りしてベルトだけ動きます。
力の伝え方の違いに注目することで、答えを推測することができます。
STEAMのテクノロジーにおいては、材料や利用するテクノロジーの知識だけでなく、解決すべき問題に対して最善手を選択する力も定義されています。
課題に対して利用する機構、素材、エネルギーなどのメリット・デメリットを討論するディベートといった活動も通して、子どもたちのSTEAMを包括的に伸ばすこともできそうです。
最後に
今回はレゴエデュケーション SPIKEベーシックという教材のパーツを使用しました。こちらはプログラミング教材となっており、タブレットでプログラムを組んで動かすことができます。
また今回紹介したベルトドライブの機構を利用した自走する乗り物型ロボットを作る活動もあります。
また別の記事でプログラミング教育についても紹介したいと思います。
興味がある方はこちらから教材を購入することができます。
また、レゴスクールでは今回紹介した機構について詳しく学べるレッスンや、プログラミングを学ぶこともできます。興味を持った方は体験してみてはいかがでしょうか。