いいからハガツオを買うんだッ!!!!
晩秋のカツオ類は買わねばならぬ。
12月に入ろうという折りに馴染みの道の駅「新潟ふるさと村」に寄って物色していると「ハガツオ」を見つけた。
他にも面白い魚はいたのだが何故だか無性にこのハガツオに惹かれたのだ。
っちゅー事で買ってきました。
今更ハガツオの生き物としての特徴なんて誰でも調べられるから割愛させていただくが食べ物としての魅力はまだまだ全国的でない。
なので今回は美味なる食材としていかに素晴らしいかを自分なりに紹介したいと思う。
ハガツオを宣伝したーい!
今から力説しようとしてはいるのだが、実のところハガツオの魅力に気づいたのがつい先日だったのだ。なんともにわかである。
というのもハガツオを買うのはこれが初ではなく過去に二度ほど食べている。
しかしその両方が加熱しても生でも水っぽくもあり筋繊維が毛羽立つようにパサついていて旨味もそこまで感じなかったためぶっちゃけ巷での評判を疑っていた。
じゃあ何故にハガツオを買ったのかというとここ数年で買ったサバ系の魚が非常に美味しかったためである。
マサバを筆頭にカツオやスマやヒラソウダが旬を外しても脂がのっており(※個人の経験則により何の科学的な根拠は無い)恐らくハガツオも例に漏れないであろうと踏んだからである。
そして60cm超えたサイズに対して2500円弱という破格の安さだったからである。
大当たり。
これを早速三枚に卸したのだがこの時点で今までの個体との決定的な違いを感じた。
パツンと張った皮を裂き身崩れしやすい肉を丁寧にサク取りすると先に感じた水っぽさではなくヌルヌルスベスベとした脂っぽさが滲み出てきた。
やはり最近のカツオ類は格段に肥えているようだ。
刺身にするため肋骨を剝いてまだ驚かされた。
皮下1mm程に脂肪の層が形成されており特徴的な見た目の筋繊維にもその脂が差し込んでいるのだ。
白い筋全てが脂と思っていただいて差し支えない。
もとがそこまで赤くない身色とはいえ拍車をかけて薄ピンクになっている。
ますます期待が高まってしまうなコレは。
ハガツオの刺身&たたき
まずはそのまま食べてみようと思ったのだがこんなに皮下脂肪がたまっているのなら皮を剥ぐのは勿体ない。
ただハガツオはカツオより皮が少しばかり固いので細かく飾り包丁をいれて食べやすくする。
所謂「銀皮造り」という作り方だ。
背節の身はもちもちとした歯触りをしており噛むと肉が解れハラハラと溶けるように消えていく。
それと同時に生サバのような旨味が…いやもうちょっとあっさりとしている。
同じサバ科のマグロよりも酸味は弱くサワラよりかは感じやすい。
身だけだと些かパンチが弱いが皮の持つ光り物のクセが丁度よいアクセントになる。わさび醤油もいいが練り辛子や青唐辛子醤油の方が後味のキレが良くなる。
腹節の方、特に腹膜に近い部分はもっと脂感と旨味が濃厚で咀嚼するとハガツオの風味が口の中でパッと弾ける。そして間を置かずにジューシーで甘い脂が下を覆う。
ただクロマグロの大トロや寒ブリのようなコクは無くサラサラとしておりしつこさは感じられない。
お次はカツオといったら「カツオのたたき」。
…が家で藁使って炙ることはできないので塩をさっと振りバーナーで表面をこんがり焼き、冷凍庫で急速冷却。
上記の皮下と繊維の間に差す脂が溶けて渾然一体となっているのが分かるだろうか?
ちょっとした三枚肉やベーコンのような色合いをしている。
先ずパリパリカリカリとした香ばしい表皮の食感が歯と顎を刺激した後に、
加熱した事により身と皮下脂肪の境界線が綯い交ぜになってできた旨味の塊がガツンと味蕾に襲いかかる。
ひょっとしたら秋の戻りガツオより旨いのではなかろうか。
うーん…参ったなぁ…。ちょっとこれを完璧に人に伝えるための語句が見つからない。
ハガツオの兜焼き。
長崎県長崎市の脇岬地区や五島地方ではよくハガツオが漁獲や遊漁でとれるそうで頭部の肉を使い薬味や味噌とたたいてなめろう風に食べる「頭のたたき」なる料理が存在している。
さらにtwitterで「脇岬地区ではハガツオは身を捨てて頭を食べると言われている」というツイートも見つけた。
他のカツオやサバ類に比べて頬肉や喉の肉が発達しており頭肉も加えて食べるところが多いのだ。
そのハガツオのカマ付きの頭を割って外側には強めに断面には薄く塩を振り一時間程放置して表皮が軽く焦げるほど焼きを入れる。
おぉ〜〜〜っと!!これはいけません!!
パリッとした皮を箸で裂くと中に包まれた脂がブゥワッと流れだしまるでダムの決壊であります!(古舘○知郎氏風)
冗談抜きにシャウ○ッセンや小籠包のように旨いエキスが吹き出てくるんですよ。
「究極の焼きサバが食いてぇんだ!」青魚大好きな人は一度でも良いから食べるべきだと思います。
焼きサバよりもジューシーで焼き締めると甘さのある身が突然力強さがあり濃厚すぎる味わいに変わりグルタミン酸とイノシン酸の名タッグにドロップキックを決められる。
兎に角、馬鹿旨いんですよ。もう散々旨味旨味と書いているがそうとしか言えないのだからしょうがない。
まとめ
とまぁ拙くはあるがハガツオの魅力が伝わったかと思いたい。
新潟ではまだ知名度が低く扱っている店も少ないが決して珍しいものでは無いのだ。
晩春、晩秋、たまに夏と九州の方からやってきたものが非常に安くまとまって仕入れられ誰でも気軽に買うことができる。
ただ個人的にはハズレも少なくまるまる肥えた個体に出会える秋の終わり頃に買うのがオススメだ。
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