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アスリートのコンディション管理を強化する4つの方法

Stats Performとイタリア K-Sport社の最新の共同開発により、今年2022年、2つの新しいアスリート・モニタリング・プラットフォーム、「KSスマートライブ」と「KSビデオフィットネス」がリリースされました。本記事では、サッカーの試合においてフィットネスコーチが行う試合中の選手のモニタリングや試合後の選手のフィジカルパフォーマンス評価の強化について、これらのツールがどのように役立つかについて焦点を当てます。

記事作成者:Andy Cooper (Stats Perform)


選手が常に最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、同時に不要な怪我をしないようにすることは、クラブがピッチ上の目標を達成するためにフィットネスコーチが必要としている基本的な条件です。
 
近年、光学トラッキングとウェアラブル技術の進歩により、フィットネスコーチ・スタッフは、選手個々人のKPIをに基づき、トレーニング中の各選手の負荷をライブでモニタリングし、選手がトレーニング中に負傷する危険性があると思われる場合には、重要な介入を行うことができるようになっています。また、このテクノロジーは、アカデミーチームのために新たなパフォーマンスベンチマークを設定することも可能にしています。これが意味することは、アカデミーの選手たちが効果的な育成のパスウェイを辿ることと、ユースとシニアサッカー間に存在するパフォーマンス強度のギャップを埋めることに役立ちます。
 
2022-23年シーズンに向けて、Stats Performは、長年の事業パートナーであるK-Sport社と共に、エリートプロサッカーアスリートのモニタリングプロセスをさらに強化するために2つの新しいソフトウェアプラットフォームを導入しました。「KSスマートライブ」と「KSビデオフィットネス」です。
 
どちらのソリューションも、Stats Perform社のSportVUシステム(試合会場内でトラッキングデータを取得するシステム)の光学トラッキングデータと、選手が着用するウェアラブルデバイスによって駆動します。これらは、試合当日や試合後のパフォーマンス評価において、クラブの既存の分析プロセスに簡単に統合できるように開発されています。
 
「KSスマートライブ」と「KSビデオフィットネス」が、クラブの選手モニタリングを強化する4つの方法について、K-Sportsのスポーツサイエンスチームと一緒に協議しました。

1 - 試合中にリカバリーが必要な選手がいた場合のフラグ立て

「KSスマートライブ」に統合されるSportVUのライブ光学トラッキングデータは、フィールド上の全22選手の動きの2Dアニメーションに使用され、アナリストやフィットネスコーチは、試合中にこれをモニタリングすることができます。2Dアニメーションと同時に、他の光学システムやウェアラブルデバイスから取得した最大3種類のパフォーマンスパラメーターを、各選手のライブモニタリングの一部として「KSスマートライブ」上で表示させることができます。これらのパラメーターは、有酸素運動や無酸素運動のフィットネス、心拍数などのパフォーマンス指標で構成され、クラブが独自にカスタマイズすることが可能です。
各選手のパフォーマンスパラメーターとともに、
2Dアニメーションで表示されるライブトラッキングデータ

これらのパラメータは、試合中に「KSスマートライブ」上で常に自動更新され、過去60秒間の選手の負荷が通常のレベルと比べて異常に高い場合にハイライトが表示されます。これはライブアニメーション上に表示され、該当する選手が休息や一時的な回復を必要とすることを示します。

各選手のパフォーマンスパラメーターとともに、
2Dアニメーションで表示されるライブトラッキングデータ

試合中は、選手の負荷が閾値を超えた回数が記録され、体力が低下していることが強調された表示を出します。
 
これにより、フィットネスコーチは、選手が数分後に負傷する可能性があると判断した場合、リアルタイムで介入を勧め、監督はその選手が次の試合への出場を控えるといった予防策を講じることができるようになります。

「KSsマートライブ」ライブダッシュボードは、各選手のライブパフォーマンスを
7つのカテゴリーで表示し、現在のエネルギーレベルも併せて表示します


2 - 戦術的な意思決定のための情報提供

監督・コーチが試合中に戦術変更や選手交代するために、取ることができる選択肢を評価する際には、様々なことを考慮する必要があります。
 
「KSスマートライブ」で提供される選手のフィジカルコンディションに関する客観的なデータは、最終的な戦術的判断に役立つ貴重な洞察を与えてくれます。
 
「KSスマートライブ」のもう一つの重要な機能は、選手のフィジカルコンディションがレッドゾーンに入ったことを確認できるだけでなく、試合に参加している他の最大3人の選手と選手のフィジカルコンディションを直接比較することができることです。
 
「KSスマートライブ」では、選手のライブモニタリングと同じ、カスタマイズ可能な指標を使用して、アナリストが試合のタイムラインを表示し、選手のパフォーマンスがチームメイトと比較してどのように変動しているかを確認することができます。これらの比較は、タブレット端末からグラフやレーダーチャートで表示することができ、一刻を争うような場面で、より簡単に洞察を得ることができます。

2人の選手のリズムをチャート表示で比較している例

現在、欧州の多くのリーグでは5回の交代制が導入されていますが、試合中にチームのおよそ半分の選手を入れ替えるオプションがあることで、2022-23年に向けて、監督の戦術的意思決定においてフィジカルコンディションがより考慮されるようになるかどうかは、興味深いところです。


3- パノラマビデオの同期により、フィットネスKPIにコンテキストを付加

過去15年間における選手獲得とパフォーマンス分析の最大の進展の1つは、データ出力と同時に統合されたビデオ映像を導入したことです。
 
フィットネスコーチが試合後に各選手のパフォーマンスを評価する際にも同じことが言えます。試合中に選手のKPIにピークとドロップオフがある場合、フィールド上で何が起きていて、それらのKPIに何の影響を与えているのでしょうか?
 
Stats Performが新たに立ち上げたプラットフォームの2つ目、「KSビデオフィットネス」は、試合のパノラマ試合映像と、ウェアラブルシステムと光学トラッキングシステムの両方から取得した選手のフィジカルデータを同期させ、フィットネスコーチを支援するものです。
 
クラウドベースの Dynamix プラットフォームから取得した、さまざまなフィジカルパフォーマンスの KPI を試合のタイムライン上にドロップできるようになり、リカバリーランやファーストブレイク(速攻)など、試合の特定の局面で選手の負荷が異常に高くなった理由をより明確に理解することが可能になります。

フィットネスコーチは、「KSビデオフィットネス」のダッシュボードで、
選手のスピードを試合のビデオと秒単位で同期させることができます


4 - プレー中の孤立した局面におけるピークパフォーマンスを強調する

フィットネスコーチの試合後のワークフローが「KSビデオフィットネス」によって強化される可能性があるもう一つの分野は、すべての選手がピークパフォーマンスを発揮する試合中の瞬間やプレーの流れを自動的に特定することです。
 
これは、コーチがプラットフォーム上の試合タイムラインを使用して、分析したい特定のプレーの開始点と終了点を設定し、注目したい選手を選択することで実現できます。
 
このソフトウェアは、その期間中の選手のフィットネス出力を自動的に計算し、スピードのピークとその後の自然な落ち込みを明らかにします。データはエクセル形式でエクスポートされ、オフラインでより詳細な分析を行うことができます。

各選手のピーク時のパフォーマンスは、
「KSビデオフィットネス」のタイムライン上に黄色い点で表示されます


エリート選手のモニタリングの強化

Stats Perform と K-Sport は、ピッチ上で起こっていることの文脈をさらに拡大することで、負荷による負傷を防ぎ、選手のフィジカルコンディションに基づいて戦術的な決定を下すために客観的な洞察を提供し、チームスタッフが試合後の各選手のピークパフォーマンスの特定と分析を容易にするための新しいツールを提供します。
 
Stats Performのアスリートモニタリングソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。「KSスマートライブ」と「KSビデオフィットネス」の説明やビデオ・デモンストレーションをご覧になりたい方は、下記の問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。