集中力の限界を知る:読み手を疲れさせない文章の秘訣
人間の集中力は、たかが知れている。
ライターとして仕事する際は、いつも上記を座右の銘にしている。
昔、とある小説を読んだときのこと。
第1巻は非常に面白くてぐいぐい読んだ。
しかし、2巻、3巻と続くうちにどんどん読むのが億劫になっていった。
作者が、登場人物全員を大切にしすぎていたからだ。
魅力的なキャラクターが次々登場するのはいいのだが、困ったことに、作者がすべてのキャラクターの物語を同等の配分で書いていた。
1人のキャラクターの冒険が長々続いたと思ったら、次は同じ時間軸で別のキャラクターの旅を描く、さらに、また別のキャラクターが同じ時期に何をしていたかを語り始める…という感じ。
おかげで、話が一向に先に進まない。しかも、すべてのキャラクターが等しい分量で考えて行動するものだから、だんだん物語の主人公が誰かもわからなくなって、どんどん散漫になるばかりだった。
よく言えば、作者は自分が生み出したキャラクターたちに思い入れがあって、きちんと描こうとしたのだろう。
しかし、結果、あのキャラもこのキャラも語らないと…と書きすぎていて、読み手が疲れる作品になってしまった。
言葉を書く仕事をしていると、つい、たくさん書きたくなるのはよくわかる。
あれもこれも伝えたいし、伝えたいことをちゃんとわかってほしい。ゆえに、「ここもう少し説明しようかな?」のように頑張ってしまうのは、私もよくある。
けれど、それはむしろ逆効果。
どんなにいいことを書いていても、情報量が多いと人は消耗する。
結果、伝えたいことの半分も伝わらない。
人間の集中力はたかが知れている。
だからこそ、
・言葉を過度に足さない。
・余計なものは削ぎ落とす
・本当に伝えたいことだけを簡潔に伝える
のような意識が、言葉で伝える仕事には必要だと思う。
というわけで、この記事も長くなる前に終わります。
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