見出し画像

アンコンシャス・バイアスへの気づき

いったいどういうこと?

父親と息子が交通事故に遭った。父親は死亡、息子は重症で救急車で病院に搬送された。運び込まれた男の子を見た瞬間、外科医は思わず叫んだ。「この子の手術なんてできない、この子は私の息子だから!」

え。。。





と一瞬思ったでしょうか。私は思ってしまいました。事故にあった父親が病院で白衣を着て外科医として甦った?と。親心が奇跡を起こすの?とか。

正解は簡単、外科医は母親なんですね(似たようなものが太田上田でもクイズになってたなぁ。。)。

女性外科医の割合は男性外科医の割合よりも小さい。そもそも女性医師が約20%、外科医については約15%まで下がる。そうすると、人々が接する医師、外科医のイメージが男性があることや、まず男性外科医を頭に浮かべてしまうことはやむを得ない面がある(女性外科医を増やすべきか、という話はまた別の論点)。

いったん思ってしまうことは仕方がない。けれど、それが正しいと思ってしまうことは危ない。まずは自分はバイアスから自由でないのだと自覚することからはじめたい。

もう一つ、今度は具体例を

黒人女性と黒人男性がとある大手の報道機関の本社に赴いた。受付で「ランチのために来ました」と言ったところ、受付の女性は「ついてきて」とのジェスチャーとともに彼らを奥のさびれた部屋に案内した。そしてそこで「ところであなたたち制服はどこにあるの?」と聞いた。その時、報道機関の編集で働く女性が青ざめた顔でやってきた。

黒人女性は投資会社の取締役、そして黒人男性は連邦議会の議員に立候補予定で、編集委員会のランチに参加予定だったのである。つまり、彼らは編集委員とのランチに招かれた客なのだった。しかし、受付の女性は黒人の男女をランチをサーブするためにやってきたと無意識に思い込み、その準備をする部屋へと案内してしまったのだ。彼女に悪気があったわけではない。彼女がそれまで生きてきた中で黒人の人々は食事に招かれる側ではなく食事の準備をする人々だったのであろう。社会的カテゴリーに基づく(無意識の誤った)評価の一例である。

男性白人がアメリカの人口に占める割合は30%であるにもかかわらず、全企業のボードメンバーに占める割合は70%。マイノリティが占める割合は、フォーチュン250社で7人、黒人女性は数千社中2人(2006年現在)。大企業の取締役会の会議のボードメンバーがすべて白人男性だった場合に、私たちが違和感をもつのはいつになるのでしょう。

黒人女性の投資会社のCEOである(つまり、上記2名の黒人女性のうちの一人)Mellody HobsonはTed Talkの中で呼びかけている。

人種差別が存在しないかのように振る舞うことは、人種差別が存在しないことを意味しない。人種差別の存在を知り、向き合い、トピックにすることによって解消につながるのである。それがuncomfortableであっても、我々はそれを避けるのではなく、uncomfortable なトピックにcomfortableに対応できるようになっていかなければならない。“color blind“(人種問題を見ないことにする・見えないままにする)ではなく、 “color brave”(人種問題に勇敢に取り組む)になろう。

一人の人が経験できることは限られているから、見えないこと気づかないことはたくさんある。でも、自分の経験や感覚からは違うと思う事態に遭遇したときに、オープンになり、「あぁそっか」とシンプルに思える心づもりをしておくことが大事だろうと思う。

いいなと思ったら応援しよう!