ヒトリモフタリモ、スキ。 10 [星野 カナタ] 2019年7月28日 21:52 「そんなことないですよ…」 絞り出した声は、言い慣れたコトバ。 日常の真ん中に置いていかれた私は、いつの間にか、才能に敗れた者に成り下がった。 空を仰ぐと、泣きたくなるような綺麗な色。 紫、ピンク、オレンジが混ざった世界だった。 こんなに悔しい気持ちになるくらいなら、好きなものなんて捨ててしまいたかった。 そんなことない。そんなこと…ないのだ。 毎週金曜日、いつもの時間に待ち合わせ。 彼も私も、同じような生活を繰り返して煮え切らないまま。同じ道、同じデートばかり。そして同じ時間にさよなら。 話すことも段々と少なくなってきたし、食事のレパートリーも減った気がする。 どこにも行けない。独りなら自由に歩いていけるのに。 彼を選ばなければ、どこへでも行けるのに。 ずっとこのまま、変わらない。変われない。 今日はたまにの給料日。好きなことをしたい。 ひとりで、ひとりの方が。好きなのだ。 でも本当はひとりが好きな私をじゃなくて、あなたといる私を好きになりたい。 今、隣にいる彼に、 「1ヶ月に1度は、スコーンを食べたいの。それから、少しの遠出や旅行も。いつもと違う世界がみたいな。」 そんな甘い甘い、デートをしたいと願ったら、どうなるのだろう。 いいなと思ったら応援しよう! お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。 チップで応援する #エッセイ #毎日note #写真 #小説 #毎日更新 #詩 #毎日投稿 #短編小説 #自由詩 #短編 #散文詩 #景色 #FUJIFILM #フォト 10