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サビアンシンボルと二十四節気ー処暑

強い日差しや気温は相変わらずですが、お盆が過ぎると、ちょっとした変化に秋が来ていることを感じます。
立秋の次に巡ってきた処暑。朝夕の風が涼しく夜には虫の音も聴こえます。処暑の「処」という漢字は人がひじ掛けで休む様を表しているそうですが、暑さに疲れた体をいたわる必要のある頃と、昔の人は感じたのでしょう。

  夏夜追涼      夏夜 涼を追ふ   楊万里
夜熱依然午熱同   夜熱依然として午熱に同じ
開門小立月明中   門を開きて小(しばら)く立つ 月明の中
竹深樹密虫鳴処   竹深く 樹密にして 虫鳴く処
時有微涼不是風   時に微涼有り 是れ風ならず

   夜の暑さはといえば、まだまだ昼と同じで
 門を出てしばらく佇む 月明かりの中
 竹はうっそうとして 樹は濃く茂り そこに虫が鳴いている。
 その時不意に涼しくなった 風も無いのに

西洋占星術では8月23日より乙女座が始まりました。
獅子座の眼差しは熱く自分にだけ向けられていますが、乙女座はそこから転じて周囲へと向かいます。このあたりは、処暑に通じるものがあるのかもしれません。
乙女座1度から15度までをルディアは“特徴づけのシーン”としています。一方シュタイナーは12感覚のうちの視覚を乙女座に結び付けています。なので、視覚を乙女座を読み解くキーにすると、わかりやすいのではないでしょうか。

サビアンシンボルは他のサインでも同様ですが、まず最初の1度で乙女座の大きな特徴を掲げます。
1度のシンボル「肖像画の中である人の特徴が理想化されている」。似顔を描くには顔を認知する能力を求められますが、時にデフォルメもふくみます。2度の「高い丘の上にそびえる白い十字架」では1度の主観から離れ、ありのままを見ようとするのです。こうして“目力”でスタートし5度「アイルランド人が木の下で小人の夢を見る」となると主観客観だけの判断から、ある種の夢(ビジョン)をともなって、世界を形作ろうというリリカルな意図を持ち第1グループを閉じます。

次の5度組、第2グループでは第1グループに重ねて視界に多彩さを加えていきます。6度「興奮した子供がメリーゴーランドに乗る」。現実のアップダウンを楽しんだ子は、7度「ハーレム」、シェーラザードの夜伽話にうつつを抜かしている間に、主客の逆転に気づきます。相手を見る視線を自分の内側に向け始める。そして10度「二つの頭を持ち得た人が、あの世を垣間見る」。上下、内外を行き来することで過去と未来の時間の裂け目に気づく。ダイレクトな視覚を、さらには二元性を超える知性へと広げていくといったところでしょうか。

第3グループに入ると、スタートの11度「母親の鋳型にはまる少年」で母との関係性により、何かを生み出そうとします。そして次の12度「花嫁がヴェールをあげた花婿に、はにかむように文句を言う」で戸惑いながら自分の秘密をさらします。花嫁は自然、結婚式は社会化を象徴しますが、もはや個人を超えて、自然や社会と契りを結ぼうとするのです。ギリシャ神話で冥界に連れ去られたペルセポネーを連想させます。
サビアン研究会主宰のSUGARさんはこの度数を表現するものとして次の一節をあげられています。
「仮面しか見ることのない人間に禍あれ。背後にかくれているものだけ見る人間に禍あれ。真のビジョンをもつ人間だけが、たった一瞬、美しい仮面と背後の恐ろしい顔を同時に見る」
(ニコス・カザンザスキス(ギリシャ)の著書『石の庭』より。)
乙女座14度「家系図」は自分の裏側に連なるルーツであり、それを意識した乙女座は、15度「古い装飾されたハンカチーフ」で、上品さ美しさで内側を整えていきます。ここでは何世代にもわたる連綿とした積み重ねで成就したものを象徴します。ピークであるこの度数は、季節的には秋の収穫の始まる頃であり、これまで地味に積み重ねてきた農事の結実を見ることにリンクしていくのかもしれません。

乙女座というと実務派できちんと整理する、というキーワードで理解していました。が、乙女座前半をサビアンシンボルを読み解いていくと、そこには主客や内外、過去と未来に目をむけ、さらにはルーツも意識してその先端にある個人だからこその完成を目指す姿を感じます。



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