「私の歌を聞けぇ!」菅野よう子前編!
皆さん、音楽家の菅野よう子さんはご存知でしょうか。天皇陛下御即位のテーマソングや、東北震災の応援歌「花は咲く」にて一躍国内に知名度を拡散させた天才作曲家です。
彼女は元々、「CMソング、アニソンの女王」と呼ばれ尊敬を集めるエンターテイナー。早稲田大を一週間で中退してから、おニャンコクラブのバックにてピアノを弾いたり、ゲーム「信長の野望」のサウンドトラックを手掛けました。ここについては、先日NNKで放送された「歌謡コンサート」にて、谷原章介さんが熱く語られていましたよね。
「ノブコン」ゲームを菅野よう子の代表作品に上げるなんて、谷原章介さんは本当にガチファンなんですね……。彼女に「髑髏城の七人」楽曲をオファーした小栗旬くんもだけど、みんなそれぞれ「マイ菅野よう子」があるのだなあ。
「ガンダム」の富野監督を覚醒させた女性!
菅野よう子女史の偉業は数え切れないくらいあるのですが、まずは「機動戦士ガンダム」の生みの親である、富野由悠季監督に音楽とはどのような物なのか、覚醒させた話からですかね。
↑こういうコメントはまさに、ハゲ親父……、ゴフンゲフン……、富野御大しかできないよなあと(笑)無駄に語彙が溢れまくってるんだよね。作曲した「ターンエーガンダム」をワルシャワ交響楽団の指揮者として渡欧した時には、二人でワルシャワの街を歩いたそうです。天才二人は何を語り合ったのかな……。
「ターンエーガンダム」で菅野よう子と出会うまで、作詞家としても類い稀なる才能を魅せていた富野由悠季監督ですが、彼女と仕事をするようになって、新しい感覚に目覚めたみたいなんですね。彼には血の繋がらない息子や弟子はたくさんいるんですけど、娘は声優以外で初めてだったんじゃないかな〜?
「タイトル知らんけど、その曲は歌える!」
菅野よう子の曲で一番多い感想は、多分これでしょうね。まだ実家で両親がバリバリ教師をしていて、私が同人誌をコミケで出しまくっていた頃。2001年を少し過ぎた平成だったかな……。私が大尊敬する永野護(富野由悠季監督の一番弟子かつ血の繋がらない息子同然のメカデザイナー)が「ファイブスター物語」を連載している、角川アニメ誌ニュータイプにDVDのオマケが入っていまして。
「この秋に放送される新アニメの告知」が複数入っているディスク。それを父と深夜に何気なく観たんです。
「創聖のアクエリオン?監督とメカデザインは、永野護の永遠のライバルである河森正治監督、あ、音楽は菅野よう子だ。『天空のエスカフローネ』とか『ブレンパワード』の。またCD買うことになるなこれは」
「河森もナガノも二人とも、富野由悠季の弟子?」
「そうそう、河森さんはマクロスを作ったり犬ロボットのaiboをデザインした人。相棒の美樹本晴彦と慶應大学の機械工学部」
「よし、なら観てみるべ〜!!」
「な、何これ、凄い……」その後、何十回も父と無言で「アクエリオン」のPVを繰り返し視聴。ロボットアニメが少し低迷していたあの当時、河森正治監督が掲げた「私と合体しない?合体、それは快感……」とか、永遠に忘れられないようなコピーを生み出したのも凄まじいとは思うけど。そのテーマを更に超越して音符に換える菅野よう子って……。
「一万年と二千年前から、愛してる〜!」
「アクエリオン」が深夜アニメにて爆発的な人気を得て、映画版も公開された時にずっと日曜ランチを作っていた母は、毎週NHKの「日曜喫茶室」を聞いていて。様々な文化人がゲスト出演してトークしたり、好きな音楽を流したりインテリジェンス溢れるラジオなんですが、ある朝は芥川賞をとった若手小説家が登場。誰だったかな〜、平野啓一郎先生ではなかった。
「では、リクエストをお願いします」
「はい、おそらくアニメは見ていなくても、このテーマソングはご存知の人多いと思います。菅野よう子さんの『創聖のアクエリオン、お兄さまへ』」
「これ歌える!!アニメ観たことないけど!」
「一万年と二千年前から、愛してる〜!八千年過ぎた頃から、もっと恋しくなった〜!アニメ知らないけど、私これ歌える〜!!」
「ねえこれ、菅野よう子じゃん!アンタの大尊敬する、擦り減るくらいCD聞いてるアレじゃん〜!」
母の大声は毎回、すぐ外のご近所に聞こえてただろうなあ。そうだよ、娘がガンガン聞き流しながら現行やってる菅野よう子ですよ。ちなみに母は「機動戦士ガンダム」の主題歌も歌えます。「アレだけ毎日聞かされてたら、歌えるようになるよ!!」
ブレイクは「天空のエスカフローネ」から!
おそらく、菅野よう子が世に大きく飛躍したのは、「天空のエスカフローネ」の主題歌とサウンドトラックですね。まだ平日の夕方六時に、「エヴァンゲリオン」や「少女革命ウテナ」が放送される、良い時代でした。
こちらは「機動戦士ガンダム」を製作し数々の伝説的メカアニメを生み出し続けた、サンライズ社の大作。監督は「兄弟の愛憎劇を書かせたら、天下一品」の赤根和樹、メカデザインは「マクロス」の河森正治氏、キャラクターデザインは「ファイブスター物語」「ロードス島戦記」にて、大スターとなった結城信輝。そしてヒロイン瞳を演じたのは、まだ高校生だった劇団ひまわりの坂本真綾。
ロボットアニメでありながら、少女漫画がベースに展開されるファンタジー異世界トリップ作品。とにかく手描きの作画が美しく、声優人の熱い演技に菅野よう子の荘厳なメロディが乗って、坂本真綾のまだ幼い美声がテーマソングを綴る素晴らしいサーガでした。
若手シンガーを育成する、母なる存在。
坂本真綾を筆頭歌姫として、その後も菅野よう子はたくさんのアニソン・シンデレラをブレイクさせていきます。河森正治監督と長くタッグを組むことになる、「超時空要塞マクロス・フロンティア」では、「銀河の妖精シェリル」と「超時空シンデレラ、ランカ・リー」の声と歌を担当するMay'nと、中島愛。
浜松町駅前の文化放送玄関前にて、整理券も配布されずに開催された「May'n、シェリル・ノームのデビューライブ」にて、私は初めてブレイク前のMay'nの歌声を生で聴きました。今では信じられないけど、平日の昼間からファンの女性がポツポツ集まって、私は先頭六人目くらいだったかな?
みんな不安そうな顔して並んでるんですよ。全然詳しい情報貰えなくて。「文化放送前で、May'nのライブが夜に開催されます。並ばれても聞けない可能性があるのでご了承下さい」だったかな〜。告知されて。
当時、「機動戦士ガンダム00」のグラハム・エーカーに「私は心奪われたあ!!」(cv中村悠一)でしたので、長時間イベントに並ぶ事に慣れていました。なんせコミケ育ちですからね、八時間外で待つことも珍しくはない。
「良かったら、座りませんか」と持参した新聞紙の上に女性達と並んで、楽しく「00」や、放送されていたラジオの神谷浩史&小野大輔について、皆さんと熱く語り。飴を配ったりクッキー頂いたり。楽しかったな〜。コロナ禍になってからは想像できない空気感ですよね。17時にスタッフさんが来て、15人は最前列の椅子に座らせてもらえました。
ライブがスタートしたのは確か19時過ぎだったはず。振り返れば浜松駅前まで広がっているファン、ファンの渦!!!お隣の女性と「ひえエエエ」と苦笑しつつ。シェリルの「射手座午後九時Don't be late」「ダイアモンド・クレバス」を堪能しました。
長くなり過ぎて、iPad Proが追いつかなくなってしまった!続きはまたこの後すぐのnoteにて!
徳力さんのnoteを読んで「アニメと音楽、そしてジャズの関係、それはカウボーイビバップから始まった!」を書こうとして、前半これだけの大量になってしまった……。また二日掛かりか。
マダム、ムッシュ、貧しい哀れなガンダムオタクにお恵みを……。