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ゲーム『ICO』



Trailer PS2 

 ※こちらのTrailerが最も秀逸且つ、本作の魅力を表現していると思いますゆえ、最初に配しました。これは勘ですけれども、上田文人さんが深く関わって制作されたTrailerなのではないかと……

Trailer PS3 ① 

Trailer PS3 ②


STORY

 生贄として岸壁にそびえ立つ無人の古城「霧の城」へと運び込まれた男の子「イコ」。しかし運命の悪戯により、その命は救われることとなる。
 場内の探索を始めたイコは城の北側にある塔で異なる言語で話す少女「ヨルダ」と出会い、ヨルダの手をとり、霧の城からの脱出を目指す。

 

レビュー

 私をゲームの世界へといざなってくれた作品。
 「好き」とか言う次元ではなく、もはや自分の身体の「血肉(一部)」となっている、特別な作品。

 子どもの頃『ICO』のパッケージと初めて出会った時、「なにこれ、デ・キリコのパクリじゃん……」と正直思ったし、ジョルジョ・デ・キリコの最も愛する作品を冒涜された気もして、少しイラついた。

ジョルジョ・デ・キリコ『通りの神秘と憂愁』


 しかしなんとなく気になってパッケージを手に取り、裏の解説を読むと、直感的に本作を遊んでみたいと感じた。

 そしてプレイしてみると、まさに求めていた世界がそこにあった。
 何よりも感情を動かされたのは「手をつなぐ」という行為だ。そして手をつないだ瞬間に、デュアルショック(コントローラー)が、わずかに震えた。私の心も、震えた。わずかにではなく、大いに震えた。
 「ゲームって、こんなにも繊細な表現が出来るんだ……」と感じたのを、今も鮮明に覚えている。それは絵画や、書籍や、映画には決して出来ない表現に他ならない。
 ※例えば映画館で椅子を振動させることが出来たとしても、それは自らの行為により引き起こされた振動ではない

 私は本作のとりこになった。
 空間が…、「風」や「鳥の羽ばたく」音が…、光と影が…、そして何よりも「イコ」と「ヨルダ」の「言葉を介さない(相手の言葉の意味を理解出来ない設定となっている)」状況の中にて織りなされる関係性と行為、互いを信頼して発する呼び声等が…只々ただただ…どこまでも……愛おしかった……
 
 本作のキャッチコピーは、

 この人の手を離さない。 僕の魂ごと離してしまう気がするから

 本当に、その通りだった。

 たぶん『ICO』は、ゲーム表現の可能性を大きく押し広げた稀有な作品のひとつであろうと思う。
 「手をつなぐ」という行為をもってして…


 美しく、詩的な、時にプレイヤーの運命(人生)すら変える可能性を秘めた、傑作。

 

soundtrack

メインテーマ『ICO-You were there-



その他

 以下3つの記事には、レビューを記し終えてから出会ったのですけれども、とても×3興味深かったです。


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