映画『フリークスアウト』
2021年/製作国:イタリア・ベルギー/上映時間:141分
原題 Freaks Out
監督 ガブリエーレ・マイネッティ
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
レビュー
「見えるものだけが真実ではない」というイスラエルの言葉にて幕を開ける本作は、冒頭のサーカスシーン(メンバーの特殊能力の解説シーンも兼ねる)から、観る者を魅了します。
そして突然の空爆からの本当の「幕開け」。この時、サーカスの観客の「老人」「女性」「子ども」が爆弾の炸裂により吹き飛んで即死しますけれども、戦争では真っ先にどういった人々が犠牲になるのかを物語っており見事です(しかも戦時下においてサーカスを見て楽しんでいるという状況での爆死というのがまた色々考えさせてくれます)。
個人的にガブリエーレ・マイネッティは現在の映画界の先頭をひた走る最高の監督の一人であると考えております。というのも、通常であれば約2時間程しかない映画においては「アクションエンターテイメント」と「社会派ドラマ」的な要素というものは水と油のように相容れないものであるため、「どちらかをメインとして選択する」というのが常識であるところを(「二兎を追う者は一兎をも得ず」となってしまうため)、ガブリエーレ・マイネッティはそれを承知の上で二兎とも追うという挑戦をし続けているからです。
しかも挑戦するだけではなく、高いレベルにて結果を出しているのが本当に凄い。
全く期待せずに観た一作目の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2015)にて(その余りの面白さに)驚かされ、二作目の本作は大きな期待に胸を膨らませて鑑賞したのですけれどもアッサリと、その期待の上をいってくれました。
本作に関しては一年以内に追記する予定ですけれども、今ひとつだけ明記しておきたいのは、多くの鑑賞者は本作の最も大切な要素のひとつを見落としている可能性が高いということです(確認のため他の方のレビューを読めるだけ読みましたけれども、読んだ限りは何方もそのことについて触れてらっしゃいませんでした)。
それは主にマティルデに関すること。
短編の『タイガーボーイ』でも長編第一作の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』でも、ガブリエーレ・マイネッティはその要素を重要な主題のひとつとして取り扱っておりますゆえ、それを理解することは本作を理解するための大切な事柄のひとつであると考えられます。
というわけで、時間が出来ましたら追記いたします。
※個人的に本作は、大好きな映画のひとつです。
しかし「フィルマークス」のガブリエーレ・マイネッティ監督のFan数は現在57人……。ビックリしちゃいますし、ちょっと寂しいですね……。
これほど困難且つ新しい表現に挑み続けている監督が、今の映画界に一体何人いるでしょう?
Artwork
その他
『Bella Ciao❝さらば恋人よ❞』日本語字幕あり