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映画『ボルネオ事件 熱帯林を破壊するダークマネー』
2020年/製作国:スウェーデン/上映時間:78分 ドキュメンタリー映画
原題 The Borneo Case
監督 エリック・パウザー ディラン・ウィリアムズ
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予告編(日本版)
STORY
マレーシア。ボルネオ島の熱帯雨林の消失には巨額の贈収賄がかかわっていた。
その事実関係とお金の流れを突き止めるために環境活動家や先住民族の闘士らは命懸けの調査と告発を行い、ついに33年間続いた独裁政権を打倒する。
森林破壊に関わる「世界最大の金融スキャンダル」を告発するドキュメンタリー
ボルネオ島のサラワク州は、世界で最も早く森林が失われている場所の一つです。森林を守るべき州政府が1980年代から賄賂を受け取って森林を多国籍企業に売り飛ばしてきたのです。その儲けの大部分は州首相タイブ・マハムドの私腹を肥やしただけで、マレーシアの人々には還元されてきませんでした。
その伐採された木材の最大の輸出先となっていたのが「日本」です。
映画では、環境活動家らがタイブの隠し財産を明らかにすることで贈収賄を暴き、33年間続いた独裁政権を打倒するまでの闘いが描かれます。タイブの隠し財産に加担していた世界のメガバンクの責任も追及されます。
この作品で描かれているのは、遠い海の向こうの出来事ではありません。私たちのお金がもたらした自然破壊と、それによって人生を狂わされた人びと、そして不正義と闘った活動家たちの終わらない物語なのです。
レビュー
本作はその内容と共にDVD付属の小冊子も素晴らしいため、定価3000円は納得の価格です。
小冊子(15ページ)はそのページ数からは窺い知れない程にびっしりと、有益な情報が密に記されており(無駄な情報は一切無し)、本当に学びとなります。
小冊子「目次」
1. 世界で進む熱帯林破壊
2. 失われる世界の森林と日本の木材輸入
3. サラワクで起きてきたこと
(1) ボルネオ島のサラワク州の地理
(2) 日本の暮らしとつながる熱帯雨林破壊
4. 日本の企業も加担?ー私たちのお金と熱帯雨林
5. タイブ帝国のからくり
(1) タックス・ヘイブンを利用した資産隠し
(2)問われるメガバンクの責任
6. 東京五輪建設と熱帯木材
(1) 「森林破壊ゼロ」を達成出来なかった東京五輪
(2) 日本の企業と金融機関の責任
参考文献・ウェブサイト
というか「日本の企業も加担?」というよりも、「日本の企業もバッチリ加担」ですし、「【森林破壊ゼロ】を達成出来なかった東京五輪」というよりも、「【森林破壊】にガッツリ関与した東京五輪」ですよね(小冊子に《証拠写真》の記載有り)。
小冊子の12ページには森林破壊に関わる「世界最大の金融スキャンダル」に関わっていた日本の木材商社大手5社と銀行名が分かりやすい図と共に記載されております。
本記事にはあえて記しませんけれども……
木材商社大手5社は「双日建材」「伊藤忠建材」「SMB建材」「住友林業」「ジャパン建材」。銀行は「三菱UFJ」「みずほ」「三井住友」「りそな」「三井住友トラスト」「農林中央金庫」です。
ちなみに上記の企業と関係のある人は(銀行にお金を預けていたり等)、ある意味❝森林破壊に関わる「世界最大の金融スキャンダル」に加担してしまっていた❞ということになってしまうわけです。
ですから常日頃から出来る限り「悪いことをしている企業には利益を与えない」ことが大切なのではないかと思います。
「政治」って、一人ひとりの日常の中にこそあるモノなのだなぁと思います。
公式サイト
※本記事は2025年春以降に追記予定。