2019年/製作国:ルーマニア ルクセンブルク/上映時間:109分 ドキュメンタリー映画
原題 Colectiv 英題 Collective
監督 アレクサンダー・ナナウ
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
レビュー
まず本作の監督の意図は明確です。
というわけで新聞社がラボに消毒液の分析を依頼するのですけれども、結果は情報源の言っていた通りで、しかもその10%の消毒液は病院が更に希釈し、そのうえ不適切な使い方(経費節約のために推奨以上に薄めていた)をしていたという始末……
端的に記すと「製薬会社も病院も金儲けのために、消毒液の効果を持たない液体を消毒液として販売し、用いることにより、院内感染を引き起こしまくっていた」ということです。
で、ニュースが報じられ国の保険相が動かざるを得なくなり、しかしなんと過失を疑われる病院が検査を主導して行うという余りにもふざけた「エビデンスに基づく客観的な検査」とやらを実施したとほざくのですけれども、その記者会見の内容と様子が、どこか身近な国の記者会見とそっくりで全く笑えないというオマケ付き。
すると企業と国家に乗っ取られている、これまた万国共通でなんの頼りにもならない……どころか嘘製造機のTVのニュースは直ぐに、「過失の証拠は無くどの企業も避難できません」と報じ、保健相の証拠隠滅偽検査の結果をあたかも事実であるかのように垂れ流す始末……
しかしここから、記者たちの怒涛の戦いが幕を開けます。
まず政府がこれまで消毒液による院内感染の報告書を115件も隠蔽してきた事実を探り当て、報道します。
こういった記者たちのやり取りにしびれまくります。
一部の大衆たちも立ち上がり、デモを行い、叫びます。
すると保健相の大臣が「ヤバい」と感じたのか突然何の説明もせずに身勝手な辞任を発表します。そこで調べてみると辞任(さっさと自分だけ逃走)した大臣は、就任以前は病院の理事長だったことがわかります。
そしてこの後の展開は余りにも面白過ぎるため、是非ご自身の目でお確かめください。
医療機関と政府の癒着(医療制度の腐敗)は、たぶん世界中で、本作と余り変わらない状況でしょうから、鑑賞者に素晴らしい学びを齎してくれるはずです。
勝とうが負けようが、変わろうが変わるまいが、戦い続けることの大切さが身に染みてわかる作品。