出版社 平凡社
印象に残った言葉 メモ
レビュー
熊谷守一の晩年の作品が好きなため、守一に関する書籍でも読んでみようかと思い、まず本書を手に取った。
面白かった。
画を鑑賞した折に「斬り口の鋭い人だなぁ」とは思っていたけれど、思っていた以上であることもわかった。
65~66頁にて、黒田清輝と藤島武二を一閃の元に屠っているけれど、急所を的確に狙い撃っており、美しかった。
また、本書の内容からは外れるが、守一には「轢死」(1908,1910)、「陽の死んだ日」(1928)という、「死」を描いた作品がある。
「死」というものから目を逸らさずに凝視した、証であろう。
晩年の守一が、稀に見る「生」の傑作群を残せたのは、そのような目を持っていたからに違いない。