カインコンプレックスに囚われた「青き推したち」
カインコンプレックスなる言葉をご存知でしょうか?
Wikipedia先生によると以下とのことです。
>ユングによれば、兄弟の関係において差別的に親の愛情を受けた場合、それによって苦しんだ原体験は、兄弟以外の関係にも投影されていくという。このコンプレックスを負う者は、親の愛を巡る葛藤の相手となった兄弟と同じ世代の周囲の人間に対して憎悪を抱くこともあるという。これをユングは旧約聖書、『創世記』偽典『ヨベル書』の神話を基に「カインコンプレックス」と呼んだ。
アベルとカイン
アベルとカインは、アダムとイブの息子として生まれました。
この二人は兄弟ですが、
カインが神様に供えたものが、神様に渋い顔されて、
弟のアベルが神様に供えたものが誉められ、神様の寵愛を受けることになった
アベルが神様の寵愛を受けていることに嫉妬したカインが
弟のアベルを殺してしまうというものです。
カインコンプレックス
私はカインコンプレックスだったのかもしれない
私も兄だからカインの気持ちがわかる
実際カインコンプレックスを患ってなかったとしても、
それに近しい感情を弟に対して思ってたのは確かだし
比較という感情を周りの人間にぶつけてたのも否定できない事実。
「周りの同期連中はこうなのにお前は〜」
「同期生が次々結果を出してるのに、全く結果が出てない君は遊んでる場合じゃないだろう」
こういった具合に周りの上から目線の連中に言われてきた記憶が染み付いている
「周りと比べる必要ないよ!」っていうかもしれません、
しかし幼少期から染み付いてしまったものを突き崩すというのは並大抵のことじゃない、
そういう人たちの言うことを「気にするな」と言うのも無理だと思ってます。
他人と比べて自分は、というところに追い込まれるのはコンプレックスの典型ですが、
まさしく旧約聖書におけるカインに連なるところがある。
私は2人兄弟の長男で、まさにカインと同じポジションにいる。
弟のアベルに対して嫉妬したこともあった。
その連鎖が他人を通しても同じことが起きました。
カインが嫉妬する気持ちもわかる気がするんだよなぁ。
カイン・ハイウィンド
私の知ってる中でも「カインコンプレックス」に囚われたキャラを二人知っています。
まず一人目がFF4に登場する竜騎士カイン・ハイウィンド。
まんまカインじゃんと。
RPG界屈指の裏切りキャラという不名誉な称号を持っている男
洗脳されて寝返ることがなければ高潔な武人なのだが……
2回もパーティーを離脱する裏切り行為が
多くのプレイヤーにインパクトを与えました。
幼馴染のローザに想いを寄せてるがそれが叶わない
そこに付け入れられて何度も洗脳されます。
洗脳を解かれてパーティーに再加入してからも、
自分の心の弱さを突かれて洗脳されたということ、
そして洗脳されたとは言え親友に刃を向けたこともあって
自分を責め、苦悩する様子は描かれています。
をはじめとした裏切りネタで色々言われますが、
身内間でいえば裏切り行為が信じられないくらいの人格者のようです。
カインをよく知るセシル、ローザはともかく
付き合いも薄く、最初はカインに対して疑心暗鬼だったエッジも
FF4TAでは「カインはそんなことするやつじゃない」とまでいっている。
リメイク版ではそんな彼の最強武器が「ランスオブアベル」である
FF4自体旧約聖書のモチーフが多いが、カインは間違いなくあの
人類初の殺人者であるカインが元ネタなんだろうというのがわかる。
彼が離脱しまくったのを実力的な都合で言えば
HP吸収効果をもつ「ブラッドランス」と
敵の攻撃を回避しながら攻撃する「ジャンプ」で生存力はアタックチームの中でもピカイチ
いわゆる「カイン一人旅」バランスになるのを封鎖されたという側面も否定できません。
ヴァイス・ボセッグ
さてもう一人のキャラがタクティクスオウガの登場人物で主人公の親友ポジションにいるヴァイス・ボセッグ。
このヴァイスですが、カインと違って自分の意志で主人公と反目する道を選びます。
主人公デニムの選択で、思想も顔グラもまるっきり変わることが
多くのプレイヤーにインパクトを与えました。
主人公の鏡ポジションで、デニムが正義の道を歩めば彼は悪党になり、
逆を歩めば「きれいなヴァイス」になります。
どの道を選んでもヴァイスの行動原理は「デニムに対する反発心」が動機です。
「ヴァイス」という命名のミーニングですが、
vice(悪徳)でもあり
vice(副)という意味にもなる、ダブルミーニングと言われています。
仲間になる方のヴァイスはまさにデニムの副官として稼働します。
実力的な都合で言えば遠近武器両方使えるので拡張性の高さが売り
リメイクでは両手銃を持てるので騎士団屈指の銃士になれる
主人公みたいに完璧さはないけど、
どうしても越えられない壁があって、それに歯軋りして抵抗する、
その不完璧さが人間っぽくて好きになりました。
カインは葛藤を持ちながらもセシルと手を取りますが、
ヴァイスはデニムが手を汚す選択をしない限り手を取りあえません。
奇しくもこの二人は青を基調としてデザインされてる、
主人公の親友、幼なじみの異性に想いを寄せているという共通項があります。