僕の譜面は五十音


満月に近づくにつれて少しだけ
いつもよりほんの少しだけ
スポットライトが当たるから
見たいものも見たくないものも見えてしまうんだ

強烈な才能を目の前にして
それに憧れ
賞賛こそすれど
それを貪るその他大勢にはなりたくなくて

僕も強烈な才能を歌って
ここにいるって証明したいのに
存在が気づかれなければ死んでしまう筈なのに

大いなる矛盾の上に立つ僕は
今もまだ呼吸を続けていて

昔流行ったおもちゃみたいに
壊れたら僕も勝手に電池が切れると思ってた

どうしてもどうしても今の自分では死にたくて
この気持ちを燃やして走っていたら
どこにも辿り着いてすらいないのに
気付かぬ内に死にたい気持ちが燃え尽きちゃった


何度も同じ事をくり返す物語に
何度も心を躍らせるのは
目一杯の絶望と
少しだけ香るハッピーエンドが必要で

いつまでも迎えに来ない結末に
期待を諦めを抱かされ
それでも鼓動が止まぬのは
一握の才能が時折片鱗を見せるから


今宵が美しき月夜で良かった
無防備に僕自身が顕になるから
こんなにも僕は希望に溢れてる

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