マウントシャスタの思い出
マクラウド 最後の夜
さんざんお世話になった
ホテルのオーナーご夫婦に
何か日本食を作ってお返ししたいと
申し出た料理研究家のAちゃん
カノンと同い年 16歳の息子さんが
お寿司が大好きと聞き 寿司パーティーを開催
必要なものは僕が全部買ってくるよ
とオーナーのおじさん
私たちのからのお礼の食事会なのに
材料費を払わせてくれない
今は使っていないホテルのキッチンで
巻き巻き にぎにぎ
ご飯が炊けるまで時間がかかり、
スタートが随分遅くなっちゃったんだけど
もう何十年も年に一度スキーをやりに
このホテルを訪れている 日本人が
たまたま今晩やって来るから
鮨パーティーに参加するよと言われる
不思議な巡り合わせもあるもの
その方は結構ご高齢な
オレゴン在住のおじいさん
何と私の実家の近くの高校卒と分かり
ローカルな話題に花が咲く
16歳の青年が お寿司を見てジロー ジロー
ジロー知ってる? って言ってくれるのだけれど
私たちはジロー???
イチローじゃなくて?
しばらくしてAちゃんが 二郎は鮨の夢を見る
のジローね! と 鮨職人を追ったマイナーな
ドキュメンタリー映画の事だと判明
高校で映像学課の授業中に観たそう
そんな日本人もほとんど知らないような
マイナーな映画をシャスタで観てるとは!
そして一晩だけやって来た日本人は
異常気象によりマクラウドに雪がないので
スキーはせず 鮨パーティーに参加しただけで
次の日にはオレゴンに戻るという
シャトルバスを予約していた私達に
途中だから送ってあげる
今すぐキャンセルしなさいと強く勧められ
その申し出に乗っかることに
次の日の朝 現れた彼は手にマクラウド産の
ハートの小箱を抱え カノンにプレゼント
この謎のおじいさん
お寿司を共に食べ ハートの木箱を贈り
私たちを空港まで送ってくれるために
やって来たみたい
シャスタ山の麓でハートの中にハート
が存在する木箱をプレゼントされるなんて
なかなかアメイジングな出来事だった
そして空港までの道のり ネイティブ・アメリカン
のいわれのある土地に休憩に立ち寄りながら
シャスタを後にしたのでした