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チョコレートレクイエム(2010)
僕が書き記していることは、果たして誰かに伝えられるのだろうか。それはわからない。今、僕が存在しているのかどうかさえ、わからないんだから。
隣では年老いた猫がふかふかした革の椅子に深く腰掛けて、杖を持ったまま居眠りをしている。その隣では大きな犬と小さなハムスターが意味のわからないことを延々と討論している。
僕の意識があることは確かだ。とてもはっきりとしている。でも、僕が持っている万年筆や、この言葉を書き落としている紙には感触が感じられない。
僕は僕なりに一つの答えを見出しているけれど、何となく理解したくはなかった。この世界が今までの僕の世界と密接に関わり合っているからだ。表と裏が隣り合わせに存在しているように。書いても書いても、すべてがウソのように思える。でも、これは僕の確かな意識が僕自身に伝えてくれている。だから本当なんだろう。
宛てはないけれど、誰かに伝えたい。これは僕の最期の物語になりそうだ。
あたたかいサポートのおかげで、のびのびと執筆できております。 よりよい作品を通して、御礼をさせていただきますね。 心からの感謝と愛をぎゅうぎゅう詰めにこめて。