インフラエンジニアの上流工程
システムエンジニアをやっていくにあたって、下流工程よりも上流工程の方が給料が高いと言われています。
今回はインフラエンジニアにおける上流工程ではどんなことをやっているか紹介しようと思います。
上流工程とは
まずそもそもの上流工程というのは、主に以下のものを指します。
・提案
・要件定義
・基本設計
なぜ上流工程と言われているかというと、プロジェクトの進め方としては「提案」から始まって順番に「要件定義」、「基本設計」、「詳細設計」、「開発」、「テスト」と続いていきます。
プロジェクトの工程の中で、最初に実施する工程と言うことで、上流工程と呼ばれています。
今回は提案について、詳しく見ていきます。
要件定義、基本設計は別の機会に紹介します。
提案とは
お客さんが抱えている課題に対して、解決策を提示します。
一言で書くとこのような説明になりますが、もう少し詳しく見ていきます。
最初のステップRFP
まずシステムエンジニアが提案するとき、大体はお客さんの方から、この課題について提案してくださいという依頼が届きます。
この依頼のことをRFP(Request For Proposal)と言います。
このRFPにはお客さんの様々な想いがつまっています。
インフラ観点で記載されている事項としては
現在利用中の仮想基盤を使用したい
クラウド上に環境を構築したい
応答スピードは平均3秒以内にしたい
バックアップは毎日とってほしい
システムが利用停止したら電話連絡してほしい
など。
このRFPを無視した提案書を出すと、まず受託は不可能です。
RFPをじっくり読んで、おおよそのシステム構成を設計し提案する必要があります。
RFPへの回答
また、RFPの内容からおおよその予算(お客さんが出せる金額の上限)を推測したり、RFPに書かれていない内容についても補って、提案書に盛り込む必要があります。
RFPに制約事項が多く書かれていないときはSIerの腕の見せ所です。
いかに安価で使いやすいシステムを提案するかを期待されていますので、クラウドなどのサービスを利用して他社との差別化を図るポイントになります。
金額設定
IT業界の暗黙のルールだと思いますが、一度提案書に金額を記載してしまうと、それ以上の金額を出してもらうのはほぼ不可能です。
そのため、ある程度余裕を持った金額を提示します。
ただし、競合他社よりも高い金額を出すと負けてしまいますので、バランス感覚が重要です。
提案段階で70%は設計が終わっている
もう一点、大事なポイントとしては、提案段階で70%程度の完成形が見えている必要があります。
提案段階で金額が決まってしまいますので、ほぼほぼぶれない構成を決める必要があります。
提案を行うためには、例えばネットワークの領域だけでなく、サーバーやバックアップ、監視など幅広く知っておく必要がありますので、一つの領域にばかり注力せず、隣のチームの動向なども普段から知っておくのが重要です。
スケジュールの設定
インフラエンジニアはPJ全体のスケジュールを把握する必要があります。
本来はPMがPJ全体を把握する必要があるのですが、結構インフラに不得意なPMが多いのではないかと感じています。
そんなときインフラエンジニアとしてはPJ全体を見渡して、アプリケーション開発者が開発を始めるタイミングを見て、そこから逆算して、要件定義や設計、基盤の導入をスケジューリングする必要があります。
恐怖の社内レビュー
提案書を書き上げても、お客さんに提出する前に社内のレビューがあります。
金額が高くなれば、レビューの回数も増えてきます。
金額が安すぎるとリスクが高いのではないかと指摘をうけたり、高すぎると受注できないと怒られたりします。
おそらく上司の中ではいくらぐらいという金額が頭の中にあるので、早めに想定金額を確認し、その金額に向かってシステム構成を検討した方がよいです。
この恐怖の社内レビューを3週間から1か月程度でクリアする必要があります。
顧客へのプレゼン
社内レビューを通った提案資料を持って、ついに顧客へのプレゼンが行われます。
基本的にはPMがプレゼンを行いますが、顧客にはインフラの担当者もいますので、インフラの質問にはインフラエンジニアが答えることになります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
提案を行うには技術スキルだけでなく、スケジューリングや全体設計などのPMのようなスキルも必要になります。
インフラエンジニアはどちらかというと技術志向の人が多いと思いますが、上流工程を目指すのであれば、ぜひ、PMスキルも習得してみてください。