傘のレンタルサービス利用してみた
数カ月前、会社の最寄駅に傘のレンタルサービスが設置された。
充電器とかWi-Fiとかのレンタルみたいな感じで、専用アプリをダウンロードしてアプリから申し込み代金を支払い、アプリ経由でモノが置かれている棚のロックを外して傘を取り出す仕組み。
新しいものが好きな私は、ほう……と思い、いつか使う機会があるかも、と思ってとりあえずアプリだけダウンロードしておいた。
アプリをダウンロードして数日後、とうとうその機会が巡ってきた。家を出るときは曇りだったのに、会社の最寄駅についたタイミングで降り出した雨。傘なしで会社まで歩くにはちょっと雨の量が多い。でも予報だと帰りには止んでいる。しかも、会社に置き傘がある。万が一、帰りに雨が降っていたとしても、置き傘が使えるのでわざわざここでビニール傘を買いたくない。今、このほんの5分だけしのげればいい。
よしっ、今だ!
そう思った私は嬉々としてレンタル傘の前に立った。傘はラスト一本だった。ラッキー。ロックを解除してから傘を取り出すのに少し戸惑い、取り出す前に再びロックがかかってしまったが簡単な操作でやり直しできて無事、傘が取り出せた。
傘は、黒い持ち手の部分以外機械の中にすっぽりと埋まっていた。傘の全体が見られたのはロックを外して取り出したあとだった。その全容が見えた途端、私はその場に固まってしまった。
レンタル傘は、全体が鮮やかな水色だった。ティファニーブルーを、もっともっと明るくしたような、目に染みるような、それはそれは、水色だった。
だいぶ悩んだが、使わないわけにはいかない。傘を広げた。ちなみにワンプッシュのボタン式ではなく自分の手で広げるタイプだった。広げると、傘の骨で区切られた1区画、骨と骨の間いっぱいに、そのレンタル傘のサービス名が灰色でガッツリしっかりと書かれていた。
このサービスを成立させるためには貸した傘をちゃんと戻してもらわないといけない。盗まれたり、失くされたりすることはなんとしても避けたい。
目立つこと。それは置き忘れにも盗難にも効果的な防止策だ。誰も欲しがらないものを持つこと。これもまた盗難防止になるだろう。そして、サービス名が書いてあれば目立つ言い訳にも宣伝にもなる。わかる。全部わかる。たぶん、正解。間違ってない。
それでも。それでもさぁ。なんとかならんかったか?もう少し、あの、カワイイ感じに、さぁ…。いやカワイくて欲しがられたらだめか。いや、でも、さぁ……。
会社が入っているビルまでおよそ5分、その傘を差しながら歩いている間ずっと、良いデザインとは…?と考えていた。
正直、よほどのことがない限り、リピートはしないかな…と思ってしまう自分がいる。
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