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ある日記「憧れるのをやめましょう」2024年12月11日

 僕は大谷翔平と同学年だ。一九九四年生まれでびったし同い年。大谷がMLBでMVP、ドジャースで世界一になったため、今後何があっても僕は大谷世代である。僕がM-1を優勝して、カンヌを獲って、ノーベル文学賞でも受賞しない限り、シウマイ世代に変わることはない。
 野球に強い興味はないのだが、WBCのドキュメンタリー映画はなぜか観た。とても面白かった。そのためペナントレースの様子が全くわからないのに、村上選手を応援している。チーム編成の構想段階から村上選手を四番に置いて、一丸となって戦った侍JAPANの物語は僕の胸を熱く焦がした。
 WBCを少しでも追っていれば知っていると思うが、決勝のアメリカ戦前に大谷翔平がチームにかけた一言がある。「憧れるのをやめましょう」だ。MLBのスター選手を前に舞い上がるのではなく、勝負の相手として対等に戦おうという、MLBで結果を残している大谷だからこそ言うことのできた名スピーチだった。
 このごろ、「憧れるのをやめましょう」が僕にとって最も必要な言葉なんじゃないかと思いはじめた。
 僕にはM-1グランプリをはじめとして出たいテレビ番組が山のようにある。水曜日のダウンタウンやアメトークやゴッドタンなどカリスマPの番組に出たい。ラヴィットやヒルナンデスなどの帯番組の曜日レギュラーになってみたい。100分de名著などの教養系バラエティはどれも出たい。
 吉本やK-PROなどの大きなライブに出たい。ザクセスやチーノやアークなどの腕利きの主催者によるライブにも出たい。もちろんライブマンのライブだってもっと出たい。牛女さんやサノライブなど芸人が主催してる楽しそうなライブも出たい。ロフトのイベントにだって呼ばれたい。
 ラジオだって、芸人がやってるあらゆるラジオのゲストで呼ばれたい。また、アトロクに新書芸人として出る妄想は何度もしてる。オールナイトニッポンは一夜でいいから担当してみたい。
 新書でコラムをたくさん書きたい。Real Soundだけではなく色んなサイトで執筆したい。新書の書評や、新書以外の本についての感想を書き連ねる仕事がしたい。
 短歌を詠んだり、読んだりする企みに呼ばれたい。ジェロニモ短歌賞にまた出たい。芸人短歌に寄稿したい。なんか短歌楽しいねって時間を誰かと共有したい。
 したいのにできていないことがたくさんある。では、これらの願望の根本はなんなのか。それは「自分を高いステージに引き上げてもらいたい」という他人任せな上昇志向だ。準備に何年もかけたパーティーに顔を出して、オードブルをつまんで、シャンパンを飲んで、ちょっと踊って帰ろうという浅はかな魂胆だ。腰掛けのフリーライダーになろうという甘えた考えだ。
 僕は「こいつがいれば盛り上がる」という起爆剤にならなければならない。パーティーの主催者になるのだ。気になった人たちが集まる場所の中心に立つ必要が絶対的にあるのだ。
 憧れるのをやめましょう。憧れられるようになりましょう。大衆が活火山のような熱を上げる祝祭の最初の一人になりましょう。必ずやってやりましょう。

Amazon Prime Videoで視聴可能だ。


「好きだよ」と言いたくなって手をひいて「ジンベイザメのくちはでかいよ」

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