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新しい視点を注入して新たな顧客体験の創造をすることが、ヘルスケア・マーケティングの高品質化


Evidence Based Medicine(EBM)と患者の想い

EBMは、それまでの医師個人の経験や慣習に基づく医療から科学的根拠に基づく標準的な医療への転換を促し、医療品質の向上に貢献しました。

一方で根拠に用いられて来た臨床指標には、患者さんの“主観的な”想いが拾い上げられることはあまりなく、その部分はアンメット(充たされない)ニーズのまま積み残されて来た様に思います。

プライマリ疾患の治療における長年の課題の一つに服薬ノンアドヒアランスがあります。
たとえば個々の患者さんが薬に抱く(主観的な)期待と、医師が薬に寄せる(科学的な)治療ゴールとの間に、ギャップが存在することがその原因であることも少なくありません。

希少疾患の患者さんやご家族がしばしば感じる課題に、「医師による疾病や治療の説明内容の難解さ」があります。
医師から難しい病気の診断名を言い渡された患者さんやご家族は、その瞬間から、頭の中が真っ白になり大きな不安におののくのですが、難解な説明や治療選択肢の提示は、さらに追い討ちをかけるように「恐怖の衣」をまとって立ちはだかります。

実は、この医療提供者による説明の難解さや、難解さに伴う不安は、疾病や治療に対する理解の不十分さや治療態度の消極性を導きかねません。
さらに、こうした状態が継続すると患者さんやご家族から医療提供者への信頼形成に悪影響を及ぼし、治療効果が十分に上がらないといった結果に繋がる可能性を持っています。

Patient Centricを礎にしたヘルスケア・マーケティング

わたしたちは、患者さん中心の高品質なヘルスケア・マーケティングとは、こうしたあまり着目されて来なかった、今日的課題としての患者アンメットニーズの解決にも踏み込み、患者さんや医療提供者に“新たな体験を創造する”ことではないか。つまり、この新たな顧客体験こそが、高品質化の意味ではないか、と考えています。

Patient Centricを礎にMarketing Excellenceを実践する3ステップ

i. 患者さんやその家族のインサイトを把握するシステム環境を構築する


何よりも大切なことは患者や家族の抱えている本音の課題であり、そのために捉えたいリアルな患者や家族の声は伝統的な患者市場調査では拾いにくい“インサイト”です。
このインサイトに継続的に耳を傾け拾い上げることを可能にするシステム環境を整えることが、最初の一歩だと考えています。

ii. 患者ベネフィットの実現に繋がる新しいプログラムを構築する


Patient Centricにおける新しいプログラムとは、インサイトから見える患者さんの真の課題(ペイン・ポイント)や本音の願いを充足させる「イノベーション」です。
それは“Beyond the pill”に繋がる“製品を超えたベネフィット”かも知れません。
その場合、自社の価値に、医療機関や薬局、デジタル・デバイスメーカー、ソフトウェアメーカーなど他のプレーヤーも加えた“エコシステム”が、患者さんのアンメットニーズを解決するプラットフォームとなると考えられます。
今日の様な企業間の開発の同時代化や開発力の均質化は、真に差別化された製品や戦略の登場を難しくしていますが、Patient Centricだからこそ見えてくる、他者とは異なる視点での患者ベネフィット実現のための差別化戦略があるはずです。

ⅲ.継続実施により最適化に取り組む

たとえば“Patient Centric”を全体に徹底するために、社員全員が会議や入会式などの機会で継続的に実際の患者との面談を実施する会社があります。
Patient Centricの効果を最大化するためには、継続的な実践によって組織全体にそのコンセプトを浸透させることが重要だと考えます。
また実施に伴う適切なKPI評価と改善(軌道修正)が繰り返されることで、Patient Centric を礎としたMarketing Excellenceは社内最適化され、ようやく大きな成果に結びつけることが出来るのでしょう。

これまでに誰も経験したことのない変革に晒されている

いま、わたしたちはこれまでに誰も経験したことのない変革にさらされています。
わたしたちの宇宙船地球号をどこに向け・・・乗員仲間とどう向き合ってゆくべきなのか・・・
わたしたちは、それぞれが健やかで安らぎに満ちた明るい未来社会を創造するために、自分の知識やノウハウを最大限に発揮できるヘルスケア領域で、患者さんや医療提供者、そして企業のそれぞれにとってのWIN-WIN-WINを実現するためにサポートを行ってゆこうと考えています。

それが宇宙船地球号に乗り合わせる、わたしたちの任務であると信じて・・・


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