日本全国にある様々な一周忌の風習
2023年も梅雨の時期を迎えている。
この梅雨のシーズンが終わると、本格的な夏の季節がやってくるわけだが、夏のイベントの1つがお盆だろう。
お盆休みには墓参りをするという風習は現代社会にも根強く残っていて、実際に手を合わせに行く人も多いはずだ。
ということで、故人に関する風習についてまとめていこうと思う。
故人の墓参りをする理由
そもそも、当たり前のようにお盆に墓参りに連れて行かれるので、なぜ墓参りをするのかを深く考えたことがない人が大半なのではないだろうか。
ということで、形式的ではあるが、墓参りをする理由については下記のとおりだ。
敬意を示す
亡くなった人々に敬意を示すため、墓石や供え物を通じて故人への感謝や尊敬の意を表現し、生涯を讃えるために墓参りをする。
追悼する
愛する人々を亡くしたとき、悲しみを共有し、彼らの思い出を讃えるために墓参りをする。
祈りを捧げる
故人の魂が安らかであることを祈ったり、神仏に感謝の意を示したりするために墓参りをする。
家族の絆を深める
家族や親族が一堂に会し、故人を偲ぶことで、生者同士の絆を深める機会を設ける。
墓参りに関する地域ごとの風習
大まかな墓参りをする理由については上述したとおりだが、具体的に墓参りをするとなると地域ごとに独特の風習が残っている場合も多い。
その例を挙げると下記のとおりだ。
北海道といっても広いので地方にもよるが、お盆の期間には家族が集まって一緒に墓参りを行う風習がある。
また、冬季は厳しい気候のため墓参りが困難な地域では、夏の間にまとめて墓参りを行うこともある。
一部地域では、毎年8月のお盆の時期に家族全員で墓参りをする風習がある。
故人の霊を家に迎え入れ、墓参りをして故人を慰めるとされている。
一部地域では、冬季に冬供養という形で墓参りを行い、故人を偲ぶ風習がある。
一部地域では、春の彼岸と秋の彼岸に墓参りを行う風習がある。
彼岸は、この世とあの世が最も近づくとされる期間で、この時期に墓参りをすることで故人とのつながりを感じやすいとされているのが理由である。
一部地域では、春分の日と秋分の日に墓参りを行う風習がある。
これは自然のサイクルと故人を結びつけ、生と死、始まりと終わりを意識することを促す風習として知られている。
新盆の際には、故人の霊を迎えるために家族で墓参りを行う。
そして、家族で一緒に食事をし、故人の思い出を語り合うことが一般的な風習となっている。
一部地域では、故人が亡くなった日に月命日として毎月墓参りを行う風習がある。
また、年に一度の命日には家族や親戚が集まり、一緒に墓参りをする風習がある。
沖縄の伝統的な墓は、特徴的な形状をしており、ハカまたはウチナーグチと呼ばれている。
沖縄では、故人の命日や盆、新年などに家族で墓参りを行い、故人を偲ぶのが一般的な風習となっている。
一周忌と初盆という概念
お盆に墓参りをするというのは伝統的な風習である一方で、一周忌に当たる年は少々特別な風習がある地域も多い。
私の生まれ故郷である広島にも、一周忌、つまり初盆を迎えるに当たって独特な風習がある。
ちなみに初盆とは、ある人が亡くなった後の最初のお盆のことを指す。
お盆は毎年、通常は8月に行われる日本の伝統的な行事で、死者の霊がこの世に帰ってくるとされる期間を指している。
そんな中でも初盆は特に重要視され、故人を偲び、その魂を供養するために親族が集まるのが日本全国で一般的になっている。
これは、日本の伝統的な信仰では、人が亡くなるとその魂はあの世へと旅立つが、その魂は初めてのお盆にこの世に帰ってくるとされているからである。
初盆には、家族や親族が集まり、故人を偲び、その霊を慰めるというのが主な目的となっているわけだ。
また、初盆では、親族が遠方から集まり、故人の好きだった食事を作って供えたり、仏壇にお花を供える場合もある。
専門の僧侶に依頼して読経を行ってもらうというのもセットだという地域がほとんどだろう。
こういった行事は、故人への敬意を示し、その魂を慰めるために行われる。
それから、初盆は生者同士の絆を深める機会でもある。
共に故人を偲ぶことで、家族や親族の絆を深め、互いの支えとなることができるというわけだ。
なお、初盆の具体的な時期や方法は地域や宗派によって異なる。
一部地域では亡くなった年のお盆を初盆とし、他の地域では亡くなった翌年のお盆を初盆とすることもある。
そして、行事の内容も家庭や地域により異なる。
一周忌に関する地域ごとの風習
前置きが長くなったが、広島の独特な初盆の風習だが、白の灯籠を墓に添えるというものがある。
これは一周忌を迎える家庭が、故人の墓石の前に白い灯籠を置くことで故人を偲ぶという風習だ。
また、一周忌の法要後には親族や近所の人々を家に招いて、一緒に食事をするという場合も多い。
広島という地元ならではの伝統的な料理を提供することで、故人を偲びつつ、生者との交流を深める機会にもなっている場合が多い。
ということで、広島以外にもある一周忌の風習について紹介していこう。
広大な土地を持つ北海道では、地域や親族が遠方に住んでいることも多いため、一部地域では初盆と一周忌を同時に行う風習がある。
これにより、親族が一度に多くの儀式に参加できるようになっている。
一周忌の前夜には前夜祭を行い、地元の神社で祈りを捧げる風習がある。
また、一周忌当日には、親族が一堂に会し、故人を偲ぶ時間を持つことが多い。
新潟では、一周忌に弔い餅を作る風習がある。
これは餅を十字に切り、黒豆と共に供えるというものだ。
一部の地域では一周忌の際に親族が集まり、一緒に食事をとることがある。
この行事は仏めしと呼ばれ、故人を偲びつつ家族の絆を深める機会とされている。
故人の好物を一緒に食べたり、故人が生前に楽しんだ時間を思い出したりすることで、親族間の絆を深める。
一周忌の際には、故人の好物を作り、お供えするという風習がある。
これは故人が生前好きだった食べ物を作り、それを供えることで、故人への思いを新たにするという意味がある。
この風習は、故人とのつながりを感じると共に、親族間の絆を深める役割も果たしている。
一周忌の法要の後には、おはぎを作り、親族や友人に配るという風習がある。
おはぎは、餅米を丸め、あんこと黒ゴマまたはキナコをまぶした和菓子で、親族や友人におはぎを配ることで故人への思いを共有し、また故人を偲ぶきっかけをつくっている。
愛知県では、一周忌にはおはぎを作り、それを親族や友人に配る風習がある。
京都では一周忌には特別な法要が行われ、僧侶が読経をするのが一般的だ。
また、遺族は特別な衣装を身につけ、故人を偲ぶ。
奈良では、一周忌には自宅の仏壇に手作りの一周忌の餅を供える風習がある。
これらの餅は白と黒の二色で、餅には神聖さや浄化の意味があるため、故人の霊を慰める目的で供えられる。
岡山でも新潟県と同様に、一周忌の際には弔い餅を作り、供える風習がある。
弔い餅は、黒砂糖で甘みをつけ、十字に切ったもので、祭壇に供えられる。
福岡では、一周忌の際には故人が生前好きだった料理を作り、供えるという風習がある。
この風習は、故人を偲ぶという意味だけでなく、故人が生前に楽しんだ時間を家族で再現し、故人を偲ぶ時間を共有するという意味もある。
沖縄では一周忌は初ウークイと呼ばれ、家族や親族が集まって故人を偲ぶ。
豊かな沖縄の食文化を反映して、故人の好きだった沖縄の伝統的な料理を家族で作り、墓前に供える。
また、集まった親族と一緒にその料理を食べることで、故人への敬意を示しつつ、生者の絆を深める機会としている。
まとめ
広島ではお盆のシーズンになると、コンビニでも灯籠が売られるのが一般的だ。
そんな姿を見た県外の人が、白い灯籠があることに初めて見たと言われたのがきっかけで、初盆に白い灯籠を墓石の隣に立てる風習が広島ならではのものだということを知った。
もう何年も前の話になるが、その風習は未だに続いているので、おそらく今からも語り継がれていくのだろう。
故人を偲ぶことに対しては、個人的にはお世話になった人のみでいいと思っているのだが、今の自分が存在しているのは先祖や親族との関わりがあったことは事実だ。
そういった柔らかい考え方に変遷していくのは、自分自身が少しずつ故人の側へ近づいているからかもしれない。
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