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3つの企業のリブランディング成功事例とその秘訣

区聞陬見(くぶんすうけん)
→ 見聞が狭く考えが偏っていること。

私自身にも大いにいえることなのだが、自分の考え方が一般的だと思わないことだ。

生まれ育った環境、過ごした地域、周りにいる人、今の生活などなど、ありきたりな言葉を使えば人ぞれぞれだ。

つまり普遍的という言葉はあれど、実態はそうではないという場面の方が多いということだ。

だからビジネスにおいては、いろいろと仕掛けをする人たちが現れるというわけだ。

それをマーケティングとかブランディングと呼ぶ。

ブランディングとリブランディング

ブランディングとは、自社のブランドに対して顧客のロイヤリティや共感性を最大限に高めることで、独自の付加価値を創造し競合他社との差別化を実現する活動をいう。

また、リブランディングとは、再びの意味を持つ接頭辞、re + brandingで表される、つまりブランド再構築のことをいう。

ただ、リブランディングの意味をとりあえずオシャレなパッケージに変えよういうノリと間違っている人も多い。

リブランディングとは、ブランドそのものを問い直すことで、見た目を変えるのではなく、ブランドのあり方そのものを変えていかなくてはいけない。

このことを逸脱すると、リブランディングの成功はない。

リブランディングの成功の秘訣

結論からいうと、Whyは変えず、HowとWhatを変えるということだ。

まず重要なのはブランドの核を明確にするということだ。

そのためには、ゴールデンサークルという概念が重要になる。

物事の本質を説明する際に重要となるフレームのことで、Why、How、Whatの3要素でサークル、つまり円が構成されている。

その中心にあるのが、Whyでなぜそうするのかということで、企業の信念や目的、つまりミッションやビジョンだと思えばいい。

その周りにあるのが、Howでどうやるのかということで、企業やブランドの世の中への露出の仕方や、事業やサービスのコミュニケーションの仕方を指している。

最も外側にある大きなサークル = 円が、Whatでなにをやるのかということで、企業やブランドの商品やサービスそのものを意味している。

つまり、この概念において最重要ポイントは、人はWhyに心を動かされるということだ。

ブランドを正しく伝えていくために、その中心に置く絶対的なものは、企業やブランドのWhy = ミッション、ビジョンなのだ。

その周りにある、HowとWhatは、Whyに従って考えていかなければならない。

ここで事例としてよく挙がるのが、Apple(アップル)である。

Appleは最初から新しいコンピュータをつくったけど、いかがでしょう?という問いかけをしていない。

要するに、コンピュータという商品 = Whatのみを伝えるプロモーションをしていないから、人の心を動かすといわれている。

まず、Think different.という他とは異なる考え方をすることを掲げ、テクノロジーを介して人々の生活を豊かにするというミッション = Whyを明確にしている。

そのために他とは異なる洗練されて感覚的に使え、美しいデザインの製品が必要であることを徹底してこだわるというHowを持ってる。

そして、こんな商品ができましたというWhatを最後に登場させているので、人々を魅了しているのである。

リブランディング成功事例

ブランディングが上手くいかなくても、何度もやり直すことができる。

そんなリブランディングに成功した企業をいくつか紹介しよう。

ツインバード工業

名前を聞いたことがある人もいるだろうが、ツインバード工業は新潟県燕市に本社を構える従業員数300人規模の家電メーカーだ。

競争の激しい家電業界で存続している理由は、カタログギフト市場を主戦場にしてきたからである。

カタログギフトとは、結婚式の引き出物や出産祝いなどでもらった経験がある人も多いだろうが、特定の品を渡すのではなく、相手に選んでもらう冊子だ。

ハンディースチーマー、スティック型クリーナー、オーブントースター、靴乾燥機、加湿器、ハンディーブレンダーなどをカタログギフトで見たことがある人も多いはずだ。

これらの商品は10,000円以内で販売できるカタログギフト向きの商品だ。

特にツインバード工業が自社で広告宣伝費を投じなくても、カタログギフトに載せた商品は売れていった。

ところが、少子高齢化が進み、結婚式や披露宴のスタイルは変化し、ギフト市場は徐々に減少していっていることは周知の事実だ。

そんなツインバード工業が再び注目を集めたきっかけは、ワクチンの保存、運搬に必要な冷凍運搬庫のメーカーとして技術力が取り沙汰されたわけだ。

マイナス70度以下の超低温まで冷却が可能な冷凍ユニット、FPSC(フリーピストン・スターリングクーラー)を搭載。

精密な温度制御と軽量で持ち運びに優れたワクチン運搬庫、ディープフリーザーはヘリウムガスを冷媒に使うため環境にも優しい。

大手電機メーカーも持ち合わせない技術力で、ディープフリーザーをモデルナ製ワクチン接種会場への輸送、保管に使用するため、武田薬品工業や厚生労働省から注文を受けた。

FPSC事業の貢献によって、2022年2月期通期の売上高は、前年比10.3%増の137億9,000万円を見込むという。

ツインバード工業は、従業員規模300人ながら独自の特許を100件弱保有し、金属加工の町である燕三条の職人をネットワークすることで高い技術力を持っている。

そして、創業70年に当たる2021年、冷凍技術が注目を集めたタイミングを好機と捉えてリブランディングに取り組み、11月に新生ツインバードへと生まれ変わることを宣言した。

企業ロゴを刷新するとともに、ブランドプロミス、心にささるものだけを。を策定した。

Takumi Premium(匠プレミアム)と、Kando Simple(感動シンプル)の2つのブランドラインを新設している。

今後の展開が楽しみである。

シュクレイ

洋菓子ブランドのフランセを展開するシュクレイは2017年、同ブランドのリブランディングに取り組んだ。

ブランド成長のため、20~30代女性も新たなターゲットとして設定した。

主力商品である、ミルフィユを中心に味、大きさ、パッケージなどを見直し、売り上げ増加の成果も得られたという。

フランセは1957年に創業した洋菓子店。

当時の高級品であるブランデーを用いたブランデーケーキや、レモンをベースにしたケーキのハニーシトロンなど数々の洋菓子を生み出してきた。

1997年からは、生産工場があった横浜へと拠点を移し、横濱フランセとして店舗を展開するようになった。

そして、横濱フランセをシュクレイが2017年に吸収合併し、リブランディングの取り組みが始まっていく。

フランセは50代以上の主婦層をメインに愛されてきたブランドだ。

従来の顧客層に加えて、20~30代の女性にもターゲットを拡大していくことが、ブランドとしての成長にもつながるという発想でリブランディングが始まったのである。

リブランディングを進めていくにあたって最初に取り組んだのが、お菓子とはなにかを再定義することだったという。

見出したのは、果物や木の実をパイなどの生地に挟んで楽しむというミッションだ。

商品開発では、果実の味をいかに美味く引き出すかという点に重きを置いた。

それに加えて、パッケージのデザインも工夫した。

若い人にも、かわいい、買いたいと思ってもらえるデザインを追求した結果、フランス国旗をイメージしたものから、フルーツのイラストをあしらったデザインへ変更した。

それから、販売方法にも超試食と名付けるこだわりをみせた。

顧客が買うかどうか悩んでから商品を出すのではなく、顧客に積極的に声をかけて購入していただくアプローチということだ。

2018年には、本店を横浜から表参道へと移転しリニューアルオープンさせると同時に、かつては600店舗あった店舗を100まで減らした。

しっかり店舗を管理してブランドを伝えられる売り場づくりを目指し、1店舗あたりの売り上げを伸ばしていくこととした結果、見事に過去最高売上を勝ち取っている。

THE OMOCHI

リブランディングからわずか2日で、過去最高の年間売上を達成した切り餅がある。

創業60年余りの宮城県黒川郡にある老舗餅メーカーの笠原餅店が2019年11月に発売した、切り餅の新ブランド、THE OMOCHIだ。

主力商品である切り餅の価格は、10枚入りの1袋が1,200円(税別)からという市販品の相場と比較して5倍も高い。

それにも関わらず、発売されるやいなや注文が殺到し、笠原餅店が創業から60年かけて培ってきたこれまでの切り餅の年間売上を、わずか2日で塗り替えたという。

釜戸と薪火という、創業以来の伝統的な製法を守り作られた餅は、ミシュランの星を持つシェフたちも絶賛する美味しさを誇る。

餅職人が事業を持続させるためにも価格を上げることはマストだった。

そして、成分分析ブランディングを行った。

伝統的な製法で作られる餅は市販品とは比べものにならないほど、やわらかく滑らかな舌触りになるという。

徹底した成分分析の結果、やわらかさが他社製品の約4倍、なめらかさが約2倍、口どけのよさが約1.5倍というものだった。

こういった徹底したデータの蓄積を元に高級路線へとリブランディングした結果がすぐに出たのである。

まとめ

考え方が偏っていると、ピボットできない。

時代の流れを読み違えると、そこには破滅が待っている。

けれども、破滅に向かわせないようにリブランディングし直せるチャンスも多々あるわけだ。

そのためには、柔軟に考えること、考えるだけでなく動くことが必要で、多くの事例を知っておいた方がいい。


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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。