政治の世界の右翼と左翼やタカ派とハト派とは?
古い教えではあるが、営業トークでは、政治、宗教、プロ野球の話はするなといわれている。
その理由は、それぞれに信条がありデリケートな部分でもあるので、余計なことでトラブルを生まないようにするためだ。
まあ、冒頭で古い考えと書かせてもらったが、個人的には自分の意見をしっかり持って、是々非々で判断できる人の方が信用できると思っている。
そんなタブーとされる話の1つである政治について、今回は書いてみよう。
とはいえ、何者でもない私、植田 振一郎の信条を述べたとて、なんの影響力もないので、知っておいた方がいい政治用語を中心に書いていこうと思う。
今さら聞けない保守とリベラルの違いってなぁに?
タイトルに右翼、左翼、タカ派、ハト派というワードを散りばめてみたが、このワードをしっかり説明できるだろうか。
このワードに加えて、保守、リベラルといったワードも政治の世界では頻繁に出てくる。
コレラのワード全てを正確に説明できるという人は案外少ないのではないだろうか。
ということで、まずは保守とリベラルというワードにスポットを当ててみよう。
まず、保守という言葉を辞書で調べると、旧来の風習や伝統を重んじ、それを保存しようとすることとなっている。
政治の世界の保守もこのニュアンスがベースになっているのだが、わかるようでわからない表現だ。
それでは、保守の政治的なスタンスや具体的な政策への立場を挙げてみよう。
憲法改正に積極的で改憲派が多い
集団的自衛権を行使できるようにした安全保障関連法を支持
改正組織犯罪処罰法(共謀罪)を支持
原子力発電を維持
伝統的な家族形態が大事(選択的夫婦別姓に反対)
首相の靖国神社公式参拝に賛成
次に、リベラルも同様に辞書で調べると、個人の自由、個性を重んずる様をいい、自由主義的だと書かれている。
これも抽象的なので、リベラルの政治的なスタンスや具体的な政策への立場も挙げてみると下記のとおりだ。
憲法改正に消極的で護憲派が多い
集団的自衛権を行使できるようにした安全保障関連法は憲法違反として反対
改正組織犯罪処罰法(共謀罪)に反対
原発ゼロを主張
選択的夫婦別姓に賛成
首相の靖国神社公式参拝に反対
こうやって比較してみても、少々聞き慣れない言葉も多く、保守が改憲派で、リベラルが護憲派というのもわかりづらいところだ。
なぜわかりにくいのかというと、前提として今の憲法の元での戦後民主主義への評価の違いがあるからである。
大まかに分けるなら、どちらかといえば保守は否定的、リベラルは肯定的な立場だといえる。
また、保守派にはアメリカからの押しつけ憲法論も根強くある。
さらに、保守は国の秩序や愛国心、自己責任を重視するのに対し、リベラルは個人の権利や多様な価値観を尊重し、共助、共生などの助け合いを大事にするという傾向も強い。
こういった傾向から、保守は国の権限を強める共謀罪法などに賛成し、個人の人権を犯しかねないとするリベラルは反対するという図式となるわけだ。
とはいえ、線引きは明確ではないこと、個々の政策への考え方は政治家によって微妙に違うことも併せて覚えておきたい。
例えば、保守主義の小泉純一郎元首相が原発ゼロを主張していたりするところが典型的なところだ。
今さら聞けない右翼と左翼やタカ派とハト派ってなぁに?
くり返しになるが、タイトルにつけた右翼と左翼、タカ派とハト派といったワードも少なからず耳にしたことがあるはずだ。
これらのワードは先述した、保守とリベラルのを置き換えたものだと思ってもらえたらいい。
右派
右
右翼
タカ派
左派
左
左翼
ハト派
なぜ、右とか左で分けられるのかというと、フランス革命のころの議会で、議長席から見て右側に保守派、左側にリベラル派が座ったからだといわれている。
右派、右、右翼とは、伝統的、歴史的につくられてきた慣習、制度、思想、文化などについて、歴史の中で淘汰されてきたものだから価値があると考える立場のことだ。
一方で、左派、左、左翼とは、過去の伝統より人間の理性の力を信じ、理性の力で描いた理想に向かって現実の社会を変革していこうと考える立場のことだ。
また、右翼は、なんらかの政治的テーマについて、現状維持や過去の方法を続けるという姿勢を持つ立場だ。
一方で、左翼は、なんらかの政治的テーマについて、変革、理想に少しでも近づくという姿勢を持つ立場だ。
広辞苑で鷹派(タカ派)と鳩派(ハト派)をそれぞれ調べると下記のとおりだ。
鷹派(タカ派):自分の理念や主張を貫くために相手と妥協せず、武力をもってしても強硬に事に対処していく人々。
鳩派(ハト派):強硬手段をとらず、相手と協調しつつ事を収めようとする立場をとる人々。
つまり、タカ派は武力行使も辞さない強硬路線派で、ハト派はなんとか話し合いで収めようとする穏健路線派といったところだろう。
なぜ右と左に分かれてしまったのか?
そもそも政治はシンプルなものだった。
政治が根付いていったフランス革命時代は、国王の権力をどこまで維持するのかというテーマだったため、そこまで複雑ではなかった。
この国王の権力を制限するために国民が結集したのが国民議会で、その議会では下記の4つのことについて決められた。
貴族や聖職者が持つ特権の廃止:課税の免除や年金などの封建的な特権を廃止
フランス人権宣言:全人類の自由と平等、所有権、人民主権などの決定
国王の権力について:国王の議会における拒否権を認めるかどうかの検討
議会を一院制にするか二院制にするか
この中の3つ目と4つ目の決議事項が、右と左が分かれるきっかけとなった。
国王が議会で拒否権を持つということは、政治決定を国王が左右できる、つまり国王の権力を部分的に認めるということになる。
また、二院制を認めるということは、貴族や聖職者の特権を存続させることになる。
この決議事項について、保守の右翼は王の拒否権を認め、二院制にするべき、リベラルの左翼は王の拒否権を認めず、一院制にすべきと対立したというわけだ。
そこかより政治の世界は複雑になっていき、政治の世界に興味のない人ほど、パッと聞いただけでは保守、つまり右寄りなのか、リベラル、つまり左寄りなのかわからないといった状態にもなっているのだ。
市場原理主義は右か左か?
最後のテーマとして、市場原理主義を取り上げてみよう。
上述したとおり、自由や平等といった価値をより実現しようとする思想、政治的立場ほど、左寄りな思想になる。
それらがよからぬものとして否定し覆そうとする、伝統的秩序をより尊重し守ろうとするほど、右寄りな思想だ。
こうやって書くと、しっくりくるようにも思えるが、市場原理主義という言葉がある。
小さな政府をよしとし、規制撤廃を図り、社会福祉を削減、自己決定や自己責任の世の中を目指す考え方のことだ。
具体例を挙げると、竹中平蔵大臣たちがブレーンとなった小泉純一郎政権の構造改革などが、この一種である。
それでは、市場原理主義は右なのか、それとも左なのかと問われたらどうだろう。
自由を徹底させているようだし、既得権の否定などの観点からは平等実現にも思えるので、左だろうか。
ただ、格差拡大を容認するといった観点からすると反平等になるから、右のようにも受け取れる。
あるいは、人権をはじめ、国民の自由を抑圧して、ついに崩壊した旧ソ連などの社会主義国は、右、左の一体どちらなのだろうか。
他にも、民族の伝統を尊重するのは、右となるはずだが、他の民族に支配され、抑圧され、差別されている少数民族、被支配民族が、自分たちの自由獲得、他の民族との平等を求めたとしよう。
その場合に、民族解放を目標として、自分たちの国家を建設しようとする戦いへ向けて立ち上がる運動はどうだろう。
例えば、ベトナム解放戦争、クルド人やチェチェン人の闘争は、左派なのだろうか、それとも、右派なのだろうか。
要するに、自由や平等へ急進する左、伝統的権威、階層を保守する右のこの両端の間をどう捉えるかは歴史的背景が加わるため具体的な内容を知らないと判断が難しいというわけだ。
まとめ
あなたにもなにかしらの思想があるはずだ。
右とか左とかまで考えたこともないという人も多いだろうが、せっかくの機会なので自分の思想はどういったものなのか、考えてみてもいいかもしれない。
ただ、それは自分の思想と違う人を排除するということに繋がるのではないということは理解してもらいたい。
様々な思想の人がいて人間社会というのは成り立っている。
そして、あなたの思想や考え方も、今と昔で変わっっていたり、将来において変化しているかもしれない。
右とか左で極端に分けるのではなく、どんな場面であっても、是々非々で判断できる人になることをオススメする。
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