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「アプリは自分たちの国」本当に好きでいてくれる“10万人”ものファンに直接とどける仕組みとは

複数のストリートアパレルブランドを展開するyutori。それぞれのブランドが発信するカルチャーは異なるが、どれも数多くの熱烈なファンに支持されている。その中でも、10万人以上のアプリユーザー数を誇るブランドが『9090』(ナインティナインティ)だ。服を通じて、なぜここまで世の中に新しいうねりを生み出し続けることができるのか。9090を運営する横地 克駿さん(システムリーダー)と船橋 誠さん(ブランドマネージャー)に話を聞いた—。

写真上:左 Appify ゆずしお @yuzushioh 写真下:左 yutori 横地さん、右 船橋さん

伝えたいのは、服を纏うことにあるカルチャー 

—ブランドを育てていく上で、なにを大切にしていますか? 

飽きられないことは常に意識してますね。自分たちがつくりたいものだけをつくって売ろうっていうのは、こんなに物が溢れてる時代にはいらないと思って。面白いものだったり、ワクワクするものが、お客様が求めてるものなので。だから、服だけを売るというよりは服を通じてカルチャーを伝えたい。それをコンテンツとして届けていくことを、ブランドとして大切にしていますね。 

—売るものは究極、服じゃなくてもいいってことですよね。 

そうですね。いまは手段として、服が一番ぼくたちのカルチャーを伝えられるものだと思っていますが、服以外にもどんどん展開していきたいですね。現在も「PUMA」とのコラボスニーカーをつくったり、5年前に休刊していた原宿カルチャーを代表する雑誌「FRUiTS」ともコラボしたりと、新しい展開も始めています。僕たちの様なSNSを起点に生まれた会社が90年代当時からカルチャーを生み出してきたアナログな雑誌をつくると、今の若いお客様にとっては新鮮じゃないですか。そういうこれまでのファッション業界やカルチャー全体を再解釈したコンテンツを通して常にワクワクしてもらえる体験を提供していきたいですね。

アプリにすることで、本当に好きでいてくれるファンに届けたい 

—そもそもAppifyを使ってモバイルアプリを導入しようと思った背景はなんだったんですか。 

抽選販売ができるというのが大きかったですね。Webのみで販売していた時は、Bot注文や転売目的で大量に買われたりということがありました。ひどいときは在庫を入れた瞬間に全部売り切れてしまったり。それで、本当に欲しいと思っている人に届けるにはどうしたらいいんだろうというのを考えていた時に、Appifyの機能のひとつである抽選販売にたどり着きました。

—実際にアプリをリリースするにあたって、周りからはどんな反応がありましたか? 

社内からは「こんなにすぐにアプリにできるんだ」という声が多かったですね。実際、2週間ちょっとくらいで出来てしまったので。最初の段階から、最低限アプリで販売していくのに必要な要件はすべて満たしていたのはありがたかったですね。今では、累計のアプリユーザーの数は15万人を超えていて、AppStoreのランキングもかなり上位まできているので、お客様からも高い評価をいただいているんじゃないかと思います。

売上の約6割はアプリ経由。コアなファンを抱えるブランドが強い

—現在の売り上げの比率としては、どれくらいがアプリ経由なんですか。

今では、9090の売上全体の約6割がアプリ経由です。アプリを使っていていいなと思うのは、商品が再入荷したときに通知できたり、埋もれてしまいがちな情報でもアプリであればお客様が検索しやすかったりすること。あと、Webと比べると購入までのスピードが速いですね。きっとアプリをダウンロードするってことは、それだけこのブランドのことを好きでいてくれるってことだと思うんです。だからこそ、その期待にこたえられるように、もっと買い物体験を良くしていきたいですね。

—世界的にみると、アプリの売上比率が3割でも相当すごいので、6割は半端じゃないですね。反対に、アプリを使っていて課題に感じていることはありますか?

もっと特定のお客様に応じた施策をしていきたいなと思っています。例えば、抽選販売のときに支払い待ちの人にだけリマインドのプッシュ通知を送るとか。抽選販売は、気軽に応募できてハードルが低い分、当たったけれど買わないというケースもあるので、どうしてもキャンセル率が高くなってしまう傾向があります。本当は、抽選に応募するタイミングで決済を取りたいですね。これまでは、購入時に入金するかしないかだったのが、抽選販売だと当選したかどうかというキャンセルのポイントがひとつ増えてしまうのはネックですね。

—たしかにそうですね。その課題については、当選した人には確実に購入してもらえるような方向で改善を進めています。ちなみに、ここまでアプリを運用してみて、どのようなブランドがアプリとの相性がいいと思いますか。

コアなお客さんを少しでも抱えてるブランドとか、特にインフルエンサー系のブランドは絶対にアプリを導入したほうがいいんじゃないですかね。だってすぐ、ダウンロードしてくれるファンがいるわけじゃないですか。だから既にお客さんがいる状態なら、最高にいいツールだと思います。正直、あまり教えたくないです(笑)。

自分たちの国をつくる

—9090はInstagramやTikTokなどのフォロワーが合計30万人以上ですよね。今後はどうやってアプリとSNSを運用していく予定ですか。

3〜5年ぐらいのスパンで考えてるのは、様々なSNSのプラットフォームが時代によって変わる中で、アプリは自分たちで育てていけるプラットホームとして続けていきたい。インスタやTikTokなど、その時々で流行しているツールはそれぞれ伸ばしつつ、可能な限りアプリを軸にして、お客様と直接やりとりできるようにしていきたいですね。

—たしかにSNSに依存した体制はかなり危険ですよね。頻繁にアルゴリズムも変わっていきますし。ちなみに、それぞれのプラットフォームに集まるお客様にはどんな違いがありますか?

アプリは、SNSと違っていわば「自分たちがつくる国」だと思っています。SNSはあくまでアプリを伸ばすためのチャネルとして育てつつ、本当にファンでいてくれるひとたちには、アプリを通じて僕たちのカルチャーを伝えていく形が理想だと思っています。

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