スタックチャン深センへ行く~準備編~
この記事は「スタックチャン(Stack-chan) Advent Calendar 2023」5日目の記事です。
2023年11月に中国深圳で開催された「メイカーフェア深圳」にスタックチャンを展示してきました。私にとって「初中国/初深圳」「初めて海外のイベントに出展」など、初めて尽くしの忘れがたい体験になりました。いくつかの記事に分けて旅行記を書いていきます。
本記事では準備編として、深圳行きが決まってから当日までに準備したことを記します。主に「深セン滞在のための準備」「スタックチャン展示の準備」の2点です。
参加の経緯
6月にスイッチサイエンスから「メイカーフェア深センでM5Stackコミュニティの作品を展示しませんか」と募集がかかりました。
応募条件は次の2つです。
M5Stackを使ったプロダクトを作っていること
実際に深センに来て出展できること(モノだけ送るのではない)
そのときししかわはメイカーフェア東京の計画を練っていて、今年もコミュニティの作品展示をする予定でした。そこで「集めたスタックチャン達をそのまま深圳にお連れするのはどうだろう?大変だけど楽しそう!」と思い立ち、応募をしました。
その後さらに「ニコ技深圳コミュニティ」のブース出展も承認されます。こうしてM5Stackコミュニティとニコ技からなるチームジャパンが結成されることになりました。
(チームと言っても常に集団行動するわけではなく、日程も宿もバラバラ。共通のWeChatルームに入って情報交換しあうような緩い連帯です。)
深セン滞在の準備
まずは高須さんがまとめてくれたwikを通読しました。
wikiによるとパスポート、フライトと宿のほかに「ビザ」「電子決済」の準備が必要不可欠とのことでした。さらに私はスタックチャンコミュニティの皆さんの作品を持ち込む必要があります。
ビザ発行
本記事執筆中の2023年11月現在、中国に入国するにはビザが必要です。
深圳への行き方は主に次の2つの選択肢があり、どのタイミングでビザを取るかが変わります。
深圳直行 :事前に日本のビザセンターでビザを取得して、深圳空港への直行便を使って入国します。
香港を経由 :香港は特別行政区であり、例外的にビザ無しで入国ができます。まず香港に入国し、現地でアライバルビザ(5日間有効なビザ)を取得してから深圳へ入境します。入境するポイントや交通手段(バス、電車、フェリー等)によってさらにバリエーションがあります。
私は準備を始めたのが直前だったため、2.の香港経由を想定して、香港空港行きの便を予約しました。ところがその後、なんだかんだで国内でビザが取れてしまい「ビザ持ってるのにわざわざ香港経由で入国する」という中途半端な状態になってしまいました。でもまあ初めてビザセンターに行ったり、入国で面白い経験したりできたので結果オーライです。
以下、ビザの取得手順をかんたんにメモしておきます。基本的には必要書類を揃えてビザセンターの窓口に赴いて申請し、後日受取という流れです。
パスポート発行
コロナ禍の途中で期限が切れていたので再度取得しました。特に問題なく取れました。招聘状(しょうへいじょう)をもらう
中国側のホスト役が「この人は私が呼びました」と保証する書類です。今回の場合はメイカーフェア主催のSeeed Studioのコミュニティマネージャーの方がホスト役でした。パスポートの番号、名前、電話番号を伝えて招聘状を作成してもらいます。ビザセンターに出すのはコピーでよいので、PDFデータを受け取ってコンビニ印刷しました。申請書類に情報を記入する
書類は中国ビザセンターのサイトからオンラインで記入します。記入の仕方は中国ビザ代行取得センターのHPを参考にしました。
オンライン記入が終わったらPDFをダウンロードしてあらかじめ印刷しておきます(そこはオンラインじゃないんだ?)。予約
全ての準備ができたら申請の日時を予約します。場合によっては数週間先まで埋まっていることもあるそうですが、私は運良く次の日の午後に予約ができました。窓口で申請
書類一式を有明のビザセンターの窓口に持っていきます。ゆりかもめの東京ビッグサイト駅で降りて、ビッグサイトと逆の方向にビザセンターのビルがあります。申請手続きにかかった時間は待ち時間90分、手続き15分くらいです。ただ私の手違いで招聘状の記載に一箇所誤りがあり、一度突き返されてしまいました。ホスト役の方に迅速に再発行していただいたおかげで事なきを得ましたが、訂正の時間を考えると3時間程度余裕を見たほうが良さそうです。
1点注意としてパスポートの原本は窓口に預けることになります。後述の電子決済の登録でパスポートが必要です。これを知らずに申請すると手元にパスポートが無くて焦ることになります(焦りました)。申請から受取まで4営業日かかります。後日同じビザセンターに再度訪問して受取をしました。
電子決済
深圳ではPayPayのようなQRコード式の電子決済が主流です。路上に出てるような屋台の料理でも電子決済で買えます。
最もメジャーなのが「WeChat Pay(現地では微信(Wei xin)Pay)という」「AliPay」の2種類です。どちらの場合もパスポート情報の入力が必須となります。
この電子決済、アプリも制度も日々進歩しているようで、ググって出てくる情報がどれも古くて苦労しました。先に登録を済ませていたカワヅさんに聞きながらやっと完了できた感じです。
すぐに陳腐化してしまいそうですが、念の為2023年11月の時点の情報として記しておきます。
WeChat PayやAliPayには日本のクレジットカード(JCB、VISA、Mastercardで確認)が紐づけられて、そのままQRコードを使った決済もできます。
ただしWeChatの個人間送金などを使うためには、パスポートの情報を使った個人認証が必須です。この審査には2〜3営業日かかるため余裕を持って準備しましょう。
準備が直前になるなどして個人認証が間に合わない場合はAlipayのミニアプリから「Alipayツアーカード」というプリペイド式の電子カードを発行すると即日使うことができます。カードへのチャージは別途登録した日本のクレジットカードから行う。ツアーカードの決済には日本円で約4万円までの上限額が存在しますが、この上限は個人認証が完了すると解除されます。
中国語の勉強
大半の中国の方は英語を喋りません。どれくらい喋れないかというと、日本人が英語喋れないのと同じか、やや下手くらいのレベルです。
私は大学の第ニ外国語で中国語を履修していましたが、もう10年以上前の話。唯一覚えているフレーズが「我是学生(私は学生です)」という有り様でした。向こうでトラブルがあったときに現地語が全くわからないのはさすがに怖いので、中国語の勉強を突貫ですすめました。
中国語の学習にDuolingoを使いました。簡単なフレーズから繰り返し勉強できて、知識が定着していく感じがあります。特に中国語のリスニングとスピーキングの練習もサクサク進められるところが素晴らしいです。ただし、一個一個のフレーズを念入りに練習する分進みが遅く、3週間毎日勉強しても「買い物をする」とか「ホテルにチェックインする」みたいなフレーズが出てきません。特定のフレーズをつまみ食いしたければアプリの「飛び級機能」を使うこともできますが、アプリとは別に旅行用の中国語フレーズ集を一冊買っておくと良いでしょう。
上記に加えてメイカー界隈向けには「ギーク中国語」を買って目を通しておくと深圳でのお買い物に役立つと思います。
スマホアプリで勉強できる利点としては片手でできるところ。他のことをしながら勉強できます。これは余談ですが娘(2)を抱っこで寝かしつけるついでに勉強していたら、娘も「マー」とか「シャン」とか喋り始めており、たいへんカワイイでした。
スタックチャン作品の準備
スタックチャンの記事なのでスタックチャンたちにも触れておきます。メイカーフェア東京の展示からスライドする形で、じつに13名、14作品ものスタックチャンが集まりました。
資料作成
基本的には東京で動かした状態を再現できればよいですが、さすがに何の説明も無いと厳しいです。東京で使ったポスターと作品紹介カードを中国語に翻訳しました。
翻訳はすべてChatGPTにお任せしました。ChatGPT v4を使うと普通にDeepLやGoogle翻訳よりも優秀です。オススメ。ただし誤訳もゼロではないので別のチャットを開いて中国語→日本語に逆翻訳してもらい、齟齬がないかを確認しました。
荷造り
ひととおり準備できたらいよいよ荷造りです。万が一でも空港で没収されたりしたら大変です。特に注意するのがリポバッテリーの扱い。預かり荷物と機内持ち込み荷物の注意事項を熟読します。むき出しのリポバッテリーをトランクに入れてはいけない点に気をつけつつ、ひたすら作品を詰めていきます。
こうしてなんとかスタックチャン作品を含む旅支度が整いました。期待と不安を胸に、始めての中国に飛び立ちます。
今回はここまで。次回は中国到着〜メイカーフェアでの展示について書きます。
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