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アンティーク家具店のしごと日記/5



東京都世田谷区にて、夫婦でやっているアンティーク家具店 ストップジアラームと申します。

あっという間に営業再開からほぼ1ヶ月経ちました…!もう今年が半分だなんて。前回の更新からいろ〜んなことがありましたが、今回は修復のご依頼をいただいた内容について振り返ってご紹介したいと思います。ステイホーム期間の影響なのか?偶然なのか?こんな時期ですが、コンスタントに修理のご依頼をいただき大変ありがたく思っています。


アンティークのカップボード 扉パーツ製作と抽斗調整

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推定1890年代頃でしょうか?イギリスアンティークのコートカップボード。上の扉のパーツが欠損したのを、ざっくり作ったものがついているのが気になります…というご相談でした。
オークの無垢材を切り出し、面取り整形、着色、塗装まで行い取付。

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↓正面から比較。

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抽斗があたって開けづらいのはあられ組みを組み直して少々面で研磨、調整いたしました。

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他の家具についてもご相談をいただいていたのですが、お客様が急遽お引越しなさるとのことで緊急事態宣言明けすぐに、まずは上の2つだけ作業。
また数年後に戻っていらっしゃるそうで、〈その他の修理はそれまでとっておきます〉とのことで、、とても気が引き締まる思いに。それまでにもっともっと精進しないといけませんね!


アンティークのダイニングチェア2脚再構築/座面張り


昨年アンティークの椅子2脚修理をご依頼頂いたお客様が、遠方にお引越しの前にもう2脚も、とのお話でした。こちらは既に一度折れたのを修復した跡があったりで、うちで手をかけたあともあくまで気をつけて使っていただく前提になりますとお伝えしての修理です。

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接合部にはほとんど釘が埋まり、長期間のグラグラで摩耗している部分が有りましたのでダボで補修と補強を。パテは欠けがある一部に使用しましたがタッチアップで目立たないようにしました。

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完成はこちら↓

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座面はお客様のご希望でフェイクレザー。お引越し前にご依頼いただけて良かったです。


A.H.MCINTOSH エクステンションダイニングテーブルフルレストア


そしてこちらはついこないだまでのお話。天板をスライドさせると、中板が出てきてそれを開く、という仕組み。結構なグラつきと、天板は塗装が抜けて乾いています。

↓ビフォア

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お引取りに伺ったあとお店でまずは観察。で最初に気づいたのが、エクステンションリーフの真鍮隠し蝶番が断裂してる!!!

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もちろん古いものなので同じものはそう無いし...と血の気がひきました、、が、かなり近いものがなんとか見つけられました。とはいえ、彫り込みはもっと深く、また既存のビス穴が近すぎたりと調整がかなり難しいです…お預かり品をルーターで彫り込むのはキケン..なので全て手作業で進めることに。

↓上が既存、下が新しく取り付けるもの。

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気を取り直してまずはグラつき直しから。次直すときどうするつもりだったの..という頭が埋まった斜め釘はつらいですね!

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捩れたり、歪んで組み上がらないように細心の注意を払ってノリ打ちをしたあと、古い塗膜除去及び汚れ落としと、下地調整。天板の突板は以前にかなり削ったことがあるようで残り少ない厚みでしたので、慎重に。

↓はだかの姿

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隠し蝶番は半日ほどかけて微調整彫り込み。現行のアームはステンレスなので、より耐久性があります。

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今回は品物の現状と、お客様が使う環境を考慮してウレタン配合のオイル仕上げ、さらにウレタン配合ワックスで入念な仕上げへ。気温の影響か拭き取りタイミングがシビアだったので写真を取る余裕が。。。二人がかりで追いかけっこで塗布→拭き取りを繰り返し。

基本的に家具の修理はお預かりしている期間が長くなるとご不便おかけしてしまうのでなるべく一気に早く終るよう努めます。そんな中、作業報告のメールに、〈臨時のテーブルで家族で食事も思い出になります〉なんてお返事をいただいて…とても温かい気持ちになりました。

そんなこんなでアフター!

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美しい曲線で無駄の無いデザイン。いいサイズで、格好良いです!天板のシミや傷もわからなくなりました。

ウレタンオイルのあとのワックスでより手触り良く。

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素敵なご家庭の集いの場所となるテーブルを任せていただき、ありがとうございました!


まとめ

一気に修復ご依頼のことばかり書きました..こうして振り返るとどのご依頼も一筋縄でいかない作業が多く有りましたが、お客さまの言葉一つ一つにエネルギーを頂戴しながら取り組むことができました。

古い家具などが破損したり調子が悪くなった場合は、早めにご相談いただければと思います。割れたまま、欠けたパーツがなくなったり木材が変形すると、ピッタリ寄せられなくなってしまって圧着後の強度が保てなくなります。また、きちんと寄せられないまま隙間から接着剤を注入したりも良くありません。
なるべくご不安のないよう一生懸命説明しますので、永く使っていきたい古き良きモノにお悩みの方はご相談いただければと思います。


なかなかボリューミィになってしまいました。お店の商品も仕上げているのですが、紹介はまた次回にしましょう。。

じっとり続く梅雨模様ですが、興味を持っていただけると嬉しいです!

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