「望み」を見たので
映画が好きで、映画館はもっと好き。
週に一回は映画館に行くので、見た映画の記録を残す。
雫井脩介原作、堤幸彦監督の「望み」を見た。
まず簡単にあらすじを。
建築士の父、自宅で編集の仕事をする母、高校でサッカー部に所属する長男、成績優秀の中学生の妹の4人は父が設計した理想の家で暮らす家族である。
サッカーの才能があり、将来を期待されていた長男は怪我をきっかけにサッカーを辞めてしまう。その後。少しずつ家族内で口を聞かなくなり、ある日、外出したまま帰ってこなくなる。心配している中、テレビで高校生が殺害されたニュースが報道され、警察から長男が事件と関係していることを知る。
長男は殺人事件の犯人なのか、それとも巻き込まれた被害者なのか。事実はわからないままただ望みを抱き、息子が見つかるのを待つ。。。
まず映画を知ったきっかけは9月16日(水)に東京FMで放送されていた番組「TOKYO SPEAKEASY」にて、窪塚洋介さんと堤幸彦監督の対談の中で、「望み」の映画を通して「家族」や「家」についての話を聞いて興味が湧いた。
見て終えて感じたのは、正直辛いほど悲しい内容だったが見れて良かった。
家族をもつ人にとって、誰しも起こる可能性がある話。
自分の子供に限って問題を起こさないと願いつつも、結局は他人であり、残念ながら何を考えているかを完全に知ることができない。
そして、今作で一番悩まされるシーンは「殺人を起こした加害者」「死んでいるかもしれないが、罪は犯していない被害者」の2択のどちらを望み信じるか。
この選択に正解は無い。
しかし、もし将来この家族のような立場に立たされた時、自分はどちらを信じるのか、信じたいのかと考えさせられた。
もう一点、気になったのはマスコミの存在である。
事実を単に述べるわけではなく、小さな事実から出来事を勝手に推測し、肥大化させる報道の仕方には改めて疑問を抱いた。マスコミが勝手に話を作り、煽ることでネットも炎上し、簡単に二次被害の仕組みが作られてしまう。
メディアとは、マスコミとは、報道の存在の難しさを感じさせられた。
原作は未読のため、映画の一方的な意見になるが、今作は各キャストの演技、空気感が素晴らしかった。父の堤真一と母の石田ゆり子の後半のお互いに愛しいと感じる気持ちは同じであるがベクトルが異なる望みに対する雰囲気や緊張感が凄かった。また、長男の岡田健史と、妹の清原果耶良かった。そして、胡散臭い記者の松田翔太や気持ち悪いくらい冷酷な警察の加藤雅也、そして取引先の竜雷太の終盤のシーンでは思わず涙が出た。
それぞれが抱く望みの先に辿り着く事実。それを知った時に改めて家族間の想いを痛感させられる。「望み」という言葉について深く考えさせれる物語であった。
映画館では洋画しない見ない人が多いと聞くが、邦画の独特の雰囲気を全身で感じるのは映画館がベストだと思う。ぜひ、映画館で今作の緊張感を味わって欲しいと思う。