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法の兵法(折り重なる生態系の変化に順応する) 儲ける法務その12

1.国家レベル

持続可能な社会を支える金融システムの構築
サステナブルファイナンス有識者会議 報告書

社会は倍速で変化を遂げている。過去は、環境法は、有害な物質などを制御し、人々が死なない程度に制限していた。その前に刑法で原始的なバイオレンスについて制御していた。

イメージとしては以下の通りである。

原始的な刑法(個々の人間)→環境公害防止のための環境法(集団的な法律)→工夫などを奨励する知的財産関係(人の内面に入り込む)→ネットワーク効果に関連する制限(消費者法と独禁法の融合)に加えてESG・SDGsなど人の内面によるソフトロー

原始的には個々の人間の制御を、そして徐々に内面に入り込み、かつ、団体的な措置をとり、国家という核心をつく程度のコミュニティが大きくなった場合大きな制限を課して私的なコミュニティをこれ以上大きくしないようにする。

私的なコミュニティが大きくなりすぎると、かつてのアラビアのイスラム教、つまり、カリフなどを中心とした国造りになる。また、ローマ共和国からローマ帝国(カエサル、アウグストゥス)の流れになる。

アマゾン、アップル、その他のテックジャイアントは、アメリカを本拠地としながら、アイルランドに送金をさせたり、様々な形で税金を収めない工夫をしたりしていた。そして、本の小売業者を潰したり、たくさんのテック会社を買収したり、脅したりした。

テックジャイアントの帝国になる前に民主主義の歯止めをかけようとするのが、今回のカーン氏の流れにつながっていると認識している。この流れは、中国のアリババ、その他の巨大会社に対する対応でも読み取れる。富の格差が広がると、民主主義の根底は潰れていく。民主主義の根底とは、いつでもアップデートして革命を許す仕組みであり、会社そのものはその革命を許す仕組みになっていない。

内面的なことに入ると、サブクリモデルの解約容易化によるカスタマーサクセスの奨励化も、ユーザーの気持ちを変えていくものである。

同様にESG投資、SDGsの流れもコミュニティの風が変わってきたことを意味する。過去は、株主優位で拝金的であったが、今は人間が環境を壊し、地球環境が永続的でないことはわかっている。ヨーロッパは、1990年代から酸性雨問題に取り組み、CO2の問題からトレードを始め、その他の様々な環境問題に取り組んできた。様々な環境関連の法律がヨーロッパから伝播しているのは驚きに値しない。同様に、プライバシー的な流れもヨーロッパから流れてきている。これは再び戦争しないためには個を大切にする仕組みづくりを真摯に作ろうという思惑と、テックジャイアントその他の大きな組織から守るための仕組みづくりなのだろう。

社会が、我欲からコミュニティ欲に変化し、ガバナンスも発展してきた。ただし、国家欲としては博愛にはならないだろう。中国とアメリカの戦いは続くであろうし、どちらのコミュニティに所属するかも大事になる。地政学的な視点で考えなければ、生存できない。

日本はどちらかといえば、過去から石油や資源について支払う必要があり、これからもAWS税その他のアメリカテックジャイアント税を支払う必要がある。この点、そのはずであった。しかし、今回のカーン氏の出現により、テックジャイアントへの規制の流れができれば、その支配の弱体化により、自前のサービスを国内に持つことでAWS税などを支払わなくても良い仕組みが作れる可能性が出てきた。民主主義の根幹を揺るがすテックジャイアントへの規制は、ある意味日本においてチャンスとも言える部分でもある。

中国とアメリカで競争する上で、テックジャイアントを規制することでなぜ中国に利する行為を取るのかという見解もあるであろう。しかし、程よい競争が新たなテックジャイアントを生み出すのであり、前述のアップデートする流れを独裁などによって阻害されるのは、中長期的に見れば好ましくない。

カーン氏の流れとアメリカの独禁法の流れに協調し、日本は経済展開をしなければならない。アメリカの現状は、日本の未来でもある。固定化しつつある何かを変化させるには、ソフトを取り入れて、若い人を取り入れていくしかない。AWS税を喜んで支払うよりも、テックジャイアントのやり方を真似しながら、アメリカ側の国として民主主義の根幹を壊さない仕組みづくりに参加しなければならないだろう。

ピーター・ティールは、隠れた独占を探すように述べていた。ベンチャーキャピタルは、赤字を掘りながら、独占を巧妙に隠す仕組みを作っていた。若いトレンドは、その独占に異を唱えたと考えている。

ESG、SDGsは若い人を取り込み、独禁法は大きく開いた貧富の差を民主主義の手で抑え込むことで、若い人に希望をもたらすものになる可能性がある。

2.会社レベル

会社レベルでは、軍隊式から人が内面的に働きやすい環境づくりが大事になってきた。お金だけではなく、人はその人達の幸せという内面が重視されてきた。人は、自らの内面をより詳細に知る必要が出てきた。

ゲーミフィケーション、Tomo指数などは、その人間の内面を追求する上で興味深いものがある。

ゲーミフィケーションは、自分の内面をある意味でKPI化して、自らの限界を超えないレベルで様々なチャレンジをし、自己をRPGとして成長するモデルを作り上げるものになるだろう。

Tomo指数は、人間がお金だけでは動かない本質的なことに着目する。人は仲間のために働くのであって、自己のお金のために働くことはないことをよく示すものだ。カルチャーとは、ソシオパスを押し出すための仕組みと理解しても良い。

リスクをテイクする起業家だけではなく、そのフォロワーになる人達は必ずしも富だけを求めているわけではない。むしろ、仲間と成長したいと願うものもたくさんいる。いや、成長さえ望んでおらず、楽しいルーティンライフを望む人もいるだろう。

法律は、常に社会が変わってから後追いしてきた。しかし、社会を後追いしたというのは、表層的な見方である。実際には、小さいコミュニティのソフトローによって社会的なインパクトがあり、それによってハードローが変わっているだけである。

法律家は、ハードローだけを追っても駄目であり、ソフトローによって社会を変えていく必要がある。そして、ソフトローを作成するには、心理学、組織学、マーケティング、PR、営業、経済学、地政学、多くの法律とその歴史などを踏まえる必要があり、コミュケーションが大好きでなければならない。そして、人々にわかりやすいものを作成しなければならない。

スタンダードの契約を作り、一方的な優位な裁判結果を作るだけでは、社会を豊かにすることは不可能である。むしろすべきは、社会に有益な企業を育てつつ、ともに成長する戦略を作ることである。そして、社会が固定化されないように、常にダイナミックな状況を作っておくことである。これらは、固定化した政府では難しいものである。

3.個人レベル

個人レベルは、過去と比べて圧倒的に情報量が増えて、わかりやすい基準はなくなってしまった。多くのことを学べば、単なるコモディティであり、武器がなくなってしまう。そして、メンタル的にもダウンする事になってしまう。

希望があればよいのだが、VUCAの時代読みきれるわけではない。何よりも自分を守る事が大事であり、自分を救ってくれる仲間が大事であることも言うまでもない。

なにかに集中することは何かを諦めることである。シンプルに成功する方法はもはやなくなってしまった。

あらゆるのものをアップデートしつつ、自分の続けられることを見つけてきて、対価を要求せずに、自らの成長のみを楽しみにするしかない。

有名企業に入るよりも、タグ付ができ、自分を際立たせる企業やコミュニティに入ることで、自分のポジションを上げていくしかない。また、成長産業で働くしか、チャンスは来ない可能性もある。なぜなら、たくさんの年配がいる企業は、チャンスを若手に渡すことはあまり考えられない。

チャンスについてつかみ、他の人との差別化を図りつつ、人助けをしていく仕組みをつくり、セーフティーネットを構築しなければ、政府は個人を救う仕組みを用意していないので、危険であることを若い人は知っている。

努力というものも、過去と違い、コンピュータがあるため、正しい努力がないとうまく行かないこと、そのためのコンパスが必要であることも若い人は知っている。

だからこそ、若い人からたくさんのことを学ぶことができるようになったとも言える。

時代を読み切りつつ、あう人間たちとチームを作りながら、新しい時代を作るイメージ感を共有する手法が必要であり、そのためのルールメイクも必要になっている。

世界、社会、会社、個人のチームそれぞれがルールメイクして、高回転で回せる仕組みを作れるか、そのコンパス・計数管理などが重視されるようになってきている。そして、そうした数値などを広報活動し、社会にインパクトを出していくことも求められている。


スキ、その他の行為は、元気玉として有効利用させていただきます。皆様のお力を少しでも世の中の改善に使わせていただきます。