ピラミッドで、アタマをリセットした時のこと
ピラミッドに、希望を託す
社員30人の音楽配信ベンチャーを数億円で売却し、半年後29歳の誕生日を迎えた時のこと。
身も心もバラバラになっていた僕は、1つだけ心に決めた。
30歳を、海外でワクワクして迎える。
その当時のことを考えると、そんなボロボロでよく考えたものだと思う。
よほど、その状況を抜け出したかったのだと思う。
そんな決心が引き寄せたのか、ある晩、居酒屋で地球一周99万円のポスターについていたハガキをポケットにしまい込んだ。
翌日の昼、何やらポケットにグシャグシャになっていたハガキを見つけ、Webからアクセスする。
そこに映し出されたのは、ピースボート。
ピラミッド見るくらいの衝撃がないと、僕は未来を変えられない。
僕は、ピラミッドに希望を託した。
そして僕は、翌年の5月、地球一周の船に乗った。
ピラミッドに到着
エジプトに到着をするが、5年前に起きたルクソール事件もあり、ライフルを持った軍人がバスを警護しながらの移動から始まる。
実はピラミッドは、市街地から近い。
街からすぐにピラミッドが見えるような距離だ。
山梨の富士山状態なのか・・・
遂に到着した。
クフ王のピラミッド。
大きさがバグっていて、よくわからない。
近くで見上げると、巨大な石の段。
昔つくった、ダイヤブロック(レゴ)を思い出す。
一段の石の高さがだいたい1.5メートル。
横幅は2メートル。
奥行きはわからないが、少なくとも2メートル以上はないと、積めない。
どうやらデータによると、石の数は230万個、1つの石の重さが2.5トン。高さは140メートル。
もう、想像ができない。
大林組が現代の技術でつくった場合の試算を出しているのが面白い。
当時は、当然ながら電気も石油もないし、クレーンもカッターもない紀元前2500年頃の話。
もう、想像する気も起きない。
僕のアタマは、リセットされた。
想像を超える、ということ
人間の想像は、知っているものの応用しか、できない。
真に、想像を越えることはできない、ということ。
だから、想像できるベースとなるものの基準を、できるだけ大きくしておくことが大切だ。
船で地球一周したことも、そう。
飛行機で空を飛んだのではなく、
地球の表面を100日かけて船でなぞったわけだ。
点ではなく、線で、地球を一周した。
もちろん地球一周の想像は、誰でもできるかもしれない。
でも想像しているのは、地球儀だろう。
それはただの模型の地球を一周しただけだ。
つまり、想像というよりも空想に近い。
本当に一周をしたという実感が伴うと、スケール感のベースが変わる。
知っていることと、やってみることは、全く違う。
あのとき、僕の中での基準が、何かリセットされたのだと思う。
地球は長い年月の中で現在があって、
地球はもっと広いなかでココがあって、
地球はもっと想像しているよりも、素敵な場所だ。
あれから20年経った今も、
スケールを大きくすることの意味を、
ピラミッドは教えてくれている。