法人設立のタイミングは、いつなのか。
たくさんの起業家を伴走している中で、法人の設立タイミングについてよく聞かれます。
私はこれまでに30社くらいの設立に直接関わってきています。
設立をする段階の人には、個人事業で開業届を出されている方も、また開業届を出されていない方もいます。会社を始めていて分社化する場合もあります。
ビジネスの性質や進捗具合で、法人の設立タイミングは変わりますが、私の考えとしては、
ビジネスのプランができて、動き出しの見える時点で設立する
のが良いと思っています。
ビジネスが軌道に乗ってから会社を設立する?
ビジネスが軌道に乗ってから会社を作りたいという話をよく聞きます。
では質問ですが、
ビジネスが軌道に乗るといいうのはどういう状態でしょうか?
ビジネスが軌道に乗らなかったら、会社を作らないのでしょうか?
もし、そのビジネスが一発勝負で考えているなら、そのビジネスがダメなら会社を作る意味もありません。
しかし、あなたがビジネスをする目的は、ビジョンやミッションにあるわけです。
その目的を達成するための組織であり、法人という箱です。
あなたはビジョンやミッションを達成するためにあらゆる方法を考えていくはずです。
ですから、ビジネスはいつか軌道に乗せるつもりですよね。
そのようなつもりがあれば、先に会社を設立すべきかと思います。
「うまくいったら会社にする」という先送りな意志では、ビジネスは軌道に乗らないと感じます。
個人事業で間にあっている、法人にする意味がわからない?
個人事業でやっているので、法人(会社)を作る理由がわからない/見つからないといったこともよく聞きます。
私だけでなく法人経営をしている人から見て思うのは、
それはライフワークなのか
あるいは趣味なのか
事業なのか活動なのかよくわからない
ということです。
もちろん、そういった趣旨で個人を選択される事は、それはそれでとても素晴らしいことだと思います。
あえてビジネス的な成長を求めず、自分の思い通りに物事を進めていきたいという分野には、会社にする事をお勧めしません。
苦しむくらいなら、趣味で終わらせておいたほうが良いと思います。
逆を返せば、会社にすると言う事は、ビジネスの成長を目指して、チームで事業を進めるという意思の表れです。
個人事業と言うのは、あくまでも個人です。だから、個人でできる範囲のことを、生涯かけてやるというふうに捉えられても仕方がありません。
個人事業でやっている飲食店や美容室も多くありますが、個人の力量によるところであれば、その人の生涯で事業が終えてもいいでしょう。
ですから、会社にしないという選択は、このようなスタンスを相手に見せていることと同じなのです。
この事業は社会に必要なので、私が死んだって続けるつもりだ
あなたがそう思って事業をはじめているなら、いつかやるとか、思っているつもりだとか、空想の話ではなく、存在そのもので表す必要があるのではないでしょうか。
たとえひとり会社であっても、立ち振る舞いは意志そのものです。
とりあえず法人を設立する
私の場合、取り組むテーマを決め、それを1つの法人として会計を独立させ、そのミッションやビジョンのもとに人を集めたいと思った時、法人を設立します。
つまり、法人が先にあって、ビジネスを進めます。
私は個人事業でビジネスはしないので、とりえあえず法人を設立する、ということも多くあります。
法人という括りをつくることで、1つのテーマにあつまる独立した組織が生まれます。会計も独立させることができるので、売上も使う目的も明白です。
それは、私の個人的な想いだけではなく、関わった人によって作られる想いで1つのビジネスを一緒に育てていくのです。
また、ビジネスが軌道に乗ってから法人を設立しようと思っていても、ビジネスというのは、そんなに都合よくタイミングをはかってくれるものではありません。
個人事業を途中から法人に切り替えるのは大変
例えば、何かを販売して売り上げが伸びてから軌道に乗って法人化させたいというケースがあるとします。
そこから資金の調達をしようと思った時、あなたにはその余裕はありますか?
法人の設立登記はカンタンですが、会社名を考えるところから印鑑をつくり、本店所在地を決めて銀行口座開設まで、それなりの時間がかかります。
特に、銀行口座はカンタンに開かないので、要注意です。
そしてなにより、製造したパッケージや取引契約書などを含めて、すべての変更が必要になります。
新しく作るのはカンタンですが、変更というのは2倍も3倍も時間と労力がかかります。
そうして、法人を作る隙が与えられないまま、個人事業としてズルズルと大きくなってしまったというようなケースもあります。
走り出す前に準備をすれば時間もあり丁寧にできることがあります。
走り出してから・・・ということで先送りしたことで、かえって自分の首を絞めることにもなりかねません。
法人を作るのが早すぎるケース
結果的に早すぎることはないかと思います。
ただ一方で、ビジネスを何も持っていない人が会社という面だけを見せて大きくみせようとしているのは、すぐにバレてしまいます。
社長という肩書きが欲しいだけで株式会社をやっている人も多くいます。
スモールビジネスであっても、ビジネスがあれば法人にしたほうが良いと思いますし、ベンチャーやスタートアップのようにこれからビジネスにするぞということが実施できていれば、やはり法人が先にあったほうが良いでしょう。
難しい都か、赤字にしちゃいけないとか、大きなお金が必要だとか、いろいろな情報で法人というものを先送りしてしまうことも多いようですが、もしどうしても法人が不要であれば、法人を休眠したり閉鎖してしまっても良いのです。
何より、法人を運営するということは、やってみないとわからないことも多くあります。
私は18歳で起業し、24歳で最初の会社を登記しましたが、最初の3年はよくわかりませんでした。何かたくさんの書類が来て、後悔しそうになったこともあります。
でもそれも、数年運営すれば、仕組みを理解し、活用することもできます。
そのためにも、何も事業がなくとも法人を設立して、どんなことが関係してくるのかを見守りながら勉強していくだけでも、助走としては充分あって良いと思います。
それでも均等割は7万円かかりますが、月6000円の勉強代です。
下手な経営塾に行くよりも、行政の窓口にいけば何でも教えてくれるわけですから、安い勉強代だと思います。
法人にするタイミング。
事業を開始する時や、事業が軌道に乗ってからではありません。
もちろん決算期の問題はありますが、それなら変更すれば良いのです。
ですから、事業を始める、少なくともその何ヶ月か前には考えはじめ、そして、事前に設立をしておくことをおすすめします。