消費者の購買決定は、ストーリー
品質を追求した商品は、すでに市場に溢れかえっています。
希少性、高性能、高品質など、大切なキーワードではあるものの、そうした「良いものの寄せ集め」には、ユーザーは慣れてしまっています。
ユーザーは、その製品を構成する全てのものが、性能としてカンペキであることを望んでいるのでしょうか。
結果的にそのこだわりは価格に跳ね返ってきますし、どれほど厳密な追求をしたところで、効果や性能には限界があります。
それよりもユーザーは、その製品を使った時の心地良さや、浸れるような世界観、心の豊かさや充実など、製品が醸し出すストーリーに関心があるのではないでしょうか。
それを人はブランドと呼んだりしますが、そんなカンタンな単語で済まされるものではありません。
たとえばそれがオーガニックで無添加で・・・といっても、それを生産している人達が幸せでなかったら、あなたはちょっと残念な気持ちになるかもしれません。
その厳密なこだわりのために、誰か何かが犠牲になっているとすれば、いくら性能が良くても消費者はそれを選んでくれない、そんな時代です。
私たちは理屈だけで生きていませんし、消費は理屈だけで決定されるものではありません。
むしろもっと情緒的な判断によって、消費の購買は決定されています。
たとえばその製品が生まれた背景、
原材料がどこからやってきたか、
生産をする過程において心がけていること、
環境や人への配慮、
フェアトレードなどの生産者の生活環境や自立の支援に繫がるといったポジティブな影響など、
性能以外に選ぶ要素はたくさんあります。
どうしても、製品やサービスを作る時には、プロダクトアウトになりがちです。
そしてインサイドアウトで考え、フォアキャステイングで捉えがちです。
作品を作るならいいですが、商品を作らなければ売れません。
昔はそれでも勝ってくれる人が居たかもしれませんが、誰もそれを支持してくれる時代ではなくなりました。
アウトサイドインで考え、バックキャスティングで捉え、マーケットイン/マーケットアウトをしていく時代です。
その製品と歩む人たちのことを想像して、物語を考えていきましょう。