「ゆづり葉」という詩 1 峰庭梟 2023年3月8日 20:23 今日も、別に何も書くことがないので、代わりにすごく好きな詩を紹介します。明治から昭和初期にかけて活躍した詩人、河井酔茗(かわいすいめい)が、昭和7年に刊行した詩集「紫羅欄花」の中の一編「ゆづり葉」という詩です。それでは、どうぞ。「ゆづり葉」子供たちよ。これは譲り葉の木です。この譲り葉は新しい葉が出来ると入り代つてふるい葉が落ちてしまふのです。こんなに厚い葉こんなに大きい葉でも新しい葉が出来ると無造作に落ちる新しい葉にいのちを譲つてーー。子供たちよお前たちは何を欲しがらないでも凡てのものがお前たちに譲られるのです。太陽の廻るかぎり譲られるものは絶えません。輝ける大都会もそつくりお前たちが譲り受けるのです。読みきれないほどの書物もみんなお前たちの手に受取るのです。幸福なる子供たちよ。お前たちの手はまだ小さいけれどーー。君のお父さん、お母さんたちは何一つ持つてゆかない。みんなお前たちに譲つてゆくためにいのちあるもの、よいもの、美しいものを、一生懸命に造つてゐます。今、お前たちは気が付かないけれどひとりでにいのちは延びる。鳥のやうにうたひ、花のやうに笑つてゐる間に気が付いてきます。そしたら子供たちよ。もう一度譲り葉の木の下に立つて譲り葉を見る時が来るでせう。いい詩ですね。大好きなんです。「ひとりでにいのちは延びる」とは、「知らない間に年齢を重ねる」という意味だそうです。ちなみに、ユズリハはこんな木なのだとか。https://www.uekipedia.jp/常緑広葉樹-ヤ-ラ行/ユズリハ/葉っぱが入れ替わるとき。https://www.uekipedia.jp/常緑広葉樹-ヤ-ラ行/ユズリハ/ということで、また明日。おやすみなさい。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! よろしければサポートお願いします!頂いたサポートは今後の創作活動のために使わせていただきます! チップで応援する #日記 #毎日note #河井酔茗 1