Vol.004 「ブラしたんだ!」なのか「ブレちゃった」なのか?〜シャッタースピードの基本的な話〜
さて、今回から少しずつ覚えることが多くなってきますが
頭が沸騰しないよう、頑張っていきましょう。(笑)
前回、「適正な明るさ(適正露出)」の話をしました。
そこで、カメラ側の設定として
絞り
SS(シャッタースピード)
ISO感度
この3つの要素が重要になるとお伝えしました。
今回は、SS(シャッタースピード)について掘り下げてみましょう。
カメラの中には「シャッター幕」というものがあります。
昔のカメラは布製で、触ることもできました。
今のミラーレスでも、触れることは可能なのかもしれませんが
やめておきましょう。(笑)
シャッターですが、
家のガレージのシャッターとほぼ同じと考えましょう!
想像してください。ガレージのシャッターは開けたら車が中に入れます。
閉じたら、入れません。(必要によって開け閉めする。)
カメラのシャッターも同じことで、シャッターボタンを押すと、シャッターが開いて、カメラの中に光が入り、やがて閉じます。開いている時間だけデジタルカメラのセンサーに光が届き、その分だけ明るくなっていくというわけです。決められた時間が過ぎてシャッターが閉じられると、光が当たらなくなるのでそれ以上明るくなりません。
どれだけ光を溜め込むか、それを調整する開閉の時間のことを
「SS(シャッタースピード)」と言います。
適正露出になるように、時間を調節するわけですね。
シャッタースピードですが、
1秒、1/2秒、1/4秒…..1/500秒、1/1000秒と秒数で表します。
市販のカメラだと、最速でだいたい1/8000秒です。
これはもう、めちゃくちゃ一瞬だけシャッター幕が開きます。
そこからだんだん1/125…1/30…1/8…2秒みたいに遅くなっていきます。
遅くなると、体感として「あ、開いてるな!」とわかります。
(メカニカルシャッターの場合です。電子シャッターだとそもそも無音で
わかりません。電子シャッターがなにかは別の回で。)
B(バルブ)という設定が、どのカメラにもついていますが
こちらは、シャッターボタンを押したら、押している間シャッターが開きっぱなしになります。(ボタンを離すと閉じます。)
とんでもなく明るい場所なら、高速のSSで光をちょっとだけ取り込めばOKだし、夜など暗い場所なら低速のSSでたっぷりと時間をかけて取り込んでいくわけです。
といいます。そのスピードは2倍,4倍….もしくは1/2,1/4….と段階を踏んで変わります。その段階の単位を
〜段、〜EV、〜step
と表します。シャッタースピードでは「〜段」の言い方がほとんどです。
例えば、シャッタースピードを1/125秒から1/250秒へ速く変えたい時は、
「 1段上げる(速くする)」と表します。
その時、シャッターが開いている時間は1/2になります。
シャッタースピードを1/250秒から1/125秒へ遅く変えたい時は、
「 1段下げる(遅くする)」と表します。
その時、シャッターが開いている時間は2倍になります。
より細かく、1/2段や1/3段の調整もできます。
シャッタースピードは、明るさの調節の他にもうひとつ
被写体(写っているもの)の動きをコントロールする役目があります。
言ってしまえば
動かすか?止めるか?
という、「自身の表現においてどちらを選択するか?」というポイントを
シャッタースピードでコントロールするわけです。
シャッタースピードは速ければ速いほど、動いているものの一瞬を切り取れます。
逆に、遅ければ遅いほど動いたり流れたりする幻想的な表現が可能になります。
水の写真を例に取るとわかりやすいですよね。
一瞬を切り取るか?流れを表現するか?
シャッタースピードを遅くすることを「長時間露光」といいますが
ナイトシーンや天体写真では多用されます。
動いているものを撮ると流れている軌跡が写るので、とても幻想的です。
そのときには「10秒」とか「30分」といった極めて長いシャッタースピードで撮影します。
このように、シャッタースピードが遅くなると、動くものはぶれて表現されます。それは、意図的にブラすなら問題ないですが、ブレたくないのにブレてしまう。これは問題です。美しくありませんね。
意図しないブレ(「被写体ブレ」といいます)を無くすには、あまりシャッタースピードを遅くしすぎないことがポイントです。
また、シャッタースピードが遅いとカメラ自体が動くことでもブレた写真になってしまいます。こちらは「手ブレ」といいます。
「手ブレ」は全体的にブレているので、殆どの場合良くない結果となります。
防ぐ方法として
シャッタースピードを速くする。(上げる)→ただし、その分光の取り込む量は少なくなるので、他の手段で明るくする必要がある。絞りor ISO or ストロボを使う など。
三脚を使用したり、机の上や壁にくっつけてなど、カメラが動かないような工夫をする。
一部のカメラやレンズに搭載されている「手ブレ補正機能」を利用する。
1のシャッタースピードを速くする代わりに、他の手段で明るさをカバーするというのは、ものすごく奥が深いので、絞りとISO感度の説明をしたあとで
また詳しくお話しようと思います。
手ブレを防ぐにはやはり、無理せず三脚を使ったり、手ブレ補正機能を使うなどの対策が重要です。ただ、手ブレ補正機能にも限界があります。
そもそも、グラグラと揺れているようなカメラの構え方ではいけません。
脇を締めるとか、カメラストラップをピンと張ってみるとか、自身でカメラが安定する持ち方を工夫してください。
(わからなかったら、僕に直接聞いてください!いろんな技を教えます。)
また、使用するレンズによってブレやすさも変化します。
望遠レンズのほうが手ブレしやすいので、望遠側で撮るときはより気をつける必要があります。
ものすごくザックリですが、1/60より遅くなりだしたら少しずつ「手ブレ」を意識する感覚でいるといいでしょう。
ひとつ実践的な例をあげます。
取材先で、インタビュー中の写真を撮ることは多いと思います。
その際、対象者によっては身振り手振りが激しく、手が残像(これも「被写体ブレ」の一種)になって写ってしまいます。これは意図してないブレで美しくないですよね。
僕の経験だと1/60のシャッタースピードでは遅くてブレが目立つので、1/125に1段速くしてあげます。そうすると、大体の人の手は止まってくれます。
(ものすごい高速で動かす人は、撮影の合間にもうちょっと動きを抑えてくださいなんて言ったりしますけど。笑)
三浦さんに協力してもらったのが下の例です。(三浦さんありがとうございます!)
たった1段なんですが、ガラッと印象が変わってしまいます。
また、あえてブラす表現でも、シャッタースピードが遅くなりすぎるとブラし過ぎ!なんてこともあるので、撮りながらシャッタースピードを変えて、試行錯誤してみましょう。
さて、ここまでが基本的なシャッタースピードのお話ですが
より深い話をすると、更に
メカニカルシャッターと電子シャッターの違い
ローリングシャッターとは?
シンクロ同調速度とは?
フリッカー現象とは?それを防ぐには?
動画撮影におけるシャッタースピードって?「シャッター角度」とは?
ということも覚えなくてはいけないのですが
こちらは、他のことを覚えてからにしましょう。
今回も最後まで、ありがとうございました!
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