2023年TDL、再建に向けた売り弾も少ないKC
2年前にKCのTDLプレビューを書きましたが、状況は当時より悪化している印象です。17年オフから本格的に再建が始まり、再建初期のドラフト選手は既にMLBに昇格しているものの、トレード候補にもなれない選手が多い状況です。とはいえ、地道に再建するしかないので今夏も出せる選手を出して少しでもファームを強化すべきでしょう。トレード候補は以下の通りです。
〇先発投手
ザック・グレインキー(残り半年) 放出可能性:A
かつてのサイヤンガーも年齢には勝てず、今季はERA5点台です。想定見返りは、傘下TOP30内1人を含む1~2人です。2019年デッドラインPITによるジョーダン・ライルズ放出と同程度を想定。実績が大きい点を考慮すると、2021年のWSHによるジョン・レスター放出時にレーン・トーマスを獲得したときのような僥倖もあるかもしれません。
ジョーダン・ライルズ(残り半年) 放出可能性:A
常に4点台バックエンドスターターのスタッツを記録し続けるタフマン。想定見返りは、傘下TOP30内1人を含む1~2人です。2019年デッドラインPITによるジョーダン・ライルズ放出と同程度を想定。xERAを見れば当時とそれほどパフォーマンスが変わらないので、水準はともかく計算しやすいと言えるかもしれません。
ライアン・ヤーブロー(残り半年) 放出可能性:C
オープナーの次に登板するバルクの先駆者。怪我明けのため放出できるかは不透明です。想定見返りは傘下TOP30外のプロスペクト1~2人。
〇リリーフ投手
スコット・バーロウ(残り1年半) 放出可能性:A
スライダーが武器のイマイチ信頼のおけないクローザー。移籍先でクローザーを下りれば成績が向上する可能性がありそうです。想定見返りは、傘下TOP10内1人を含む2~3人です。2020年デッドラインBALによるマイケル・ギブンズ放出と同程度を想定。投手の放出候補では最も大きな見返りが期待できそうです。
〇野手
マット・ダフィー(残り半年) 放出可能性:A
コンタクト能力が売りのユーティリティ。想定見返りは、傘下TOP30外1~2人です。2021年デッドラインARIによるステファン・ボート放出と同程度を想定。
〇総評
既にチャップマンを放出したことを踏まえてもあまりにも候補が少なすぎて驚きました。まず、ニック・ウィットグレンやブラッド・ケラーのようにFAまで近い選手は怪我やパフォーマンスの関係でトレード候補になりません。サルバードール・ペレスの放出もエクステンション後のパフォーマンス低下で見返りが期待できませんし、何より今夏はTDL直前に怪我離脱してしまったのでトレードされないでしょう。次にFAまで3年半以下の比較的コントロール期間が短いシンガー、ブビック、ストーモント、ニッキー・ロペスらは売り物になるレベルにないか、怪我で売れません。シンガーは売るにしてもバウンスバック待ちでしょう。
さらにFAまで遠い選手は売るべきではありません。パフォーマンスの高さ+保有期間の長さで当時一級品のプロスペクトを獲得した2011年オフのSDによるマット・レイトス放出(見返りは当時トッププロスペクトだったグランダル&ヨンダー・アロンソの2人にエディソン・ボルケス、ボックスバーガーを加えた4人)に倣うとしてもボビー・ウィット・ジュニアしか候補はいませんし、現実的ではないでしょう。
ドラフトと売りトレードにより地道に再建するサイクルは少なくともあと3年は続きそうです。再建の過程で成長するであろうウィット・ジュニアやパスカンティーノらを売って大きな見返りを狙わなければならないという公算も小さくはないでしょう。
※画像はMLB公式