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プロジェクト成功の鍵:プロジェクト計画書の作成と活用

こんにちは。スーパーソフトウエア東京オフィス技術部の加藤です。
プロジェクト計画書は、プロジェクトを成功させる上で非常に重要なドキュメントであり、その作成と活用はプロジェクトマネージャーにとって必須のスキルです。

プロジェクト計画書を作成する主な目的

プロジェクト計画書を作成する主な目的は以下の通りです。

  • プロジェクトの成功率向上: 計画書を作成することで、プロジェクトの全体像を把握し、潜在的な問題点を早期に発見できます。これにより、対策を講じることができ、プロジェクトの成功率を高めることができます。

  • 関係者間のコミュニケーション円滑化: 計画書は、プロジェクトの目標や進捗状況を関係者間で共有するためのツールとして機能します。これにより、コミュニケーションが円滑になり、誤解や手戻りを減らすことができます。

  • リソースの効率的な配分: 計画書に基づいて、必要なリソース(人員、資金、資材など)を効率的に配分することができます。これにより、無駄なコストを削減し、プロジェクトの効率性を高めることができます。

  • 進捗管理と評価: 計画書は、プロジェクトの進捗状況を管理し、評価するための基準となります。計画書と実績を比較することで、遅延や問題点を把握し、適切な対応をとることができます。

プロジェクト計画書の活用方法

プロジェクト計画書は、プロジェクトを成功に導くための羅針盤となる重要なドキュメントです。以下に、その役割と重要性を詳しく解説します。

  • ロードマップとしての活用: 計画書は、プロジェクトの目標達成に向けた具体的な道筋を示すロードマップとして機能します。タスク、スケジュール、リソース配分などが明確に記載されており、プロジェクトメンバーは計画に沿って日々の業務を進めることができます。

  • 進捗管理: プロジェクト計画書を基準として、プロジェクトの進捗状況を定期的に確認・評価することができます。遅延や問題が発生した場合には、迅速に対応策を講じることができます。

  • 工数予実管理: 計画書に各タスクに必要な工数を記載し、実績工数と比較することで、工数超過や不足を把握することができます。工数予実管理を行うことで、プロジェクトの進捗状況をより詳細に把握し、適切な対策を講じることができます。

  • 不具合発生予測と実績管理: 計画書に過去の類似プロジェクトのデータや専門家(組織内の専任者)の意見を参考に、不具合発生予測を記載します。予測された不具合が発生した場合の対応策を事前に検討しておくことで、不具合発生時の影響を最小限に抑えることができます。不具合発生予測に基づいてテスト期間や改修期間を見積もることで、より現実的なスケジュールを作成することができます。実際に発生した不具合とその対応策を記録することで、今後のプロジェクトに役立つ教訓を蓄積することができます。

  • 構成管理: プロジェクト計画書は、プロジェクトの構成管理( Configuration Management )においても重要な役割を果たします。計画書をベースに、プロジェクトの成果物、ドキュメント、ソフトウエアなどを管理し、変更履歴を記録することで、プロジェクトのトレーサビリティを確保することができます。

  • 共通認識の醸成: 計画書は、プロジェクトの関係者(顧客、上司、チームメンバーなど)に対して、プロジェクトの目的、スコープ、スケジュール、予算などを共有し、共通認識を醸成するためのツールとなります。

  • 透明性の確保: 計画書を共有することで、プロジェクトの透明性を高め、関係者の信頼を得ることができます。

  • 判断材料の提供: 計画書は、プロジェクトに関する意思決定を行う際の重要な判断材料となります。様々な選択肢を比較検討し、最適な意思決定を行うことができます。

  • 問題解決: 計画書にリスク管理に関する情報が記載されていれば、問題発生時の対応策を事前に検討することができます。

  • 差異分析: 計画との差異が発生した場合には、その原因を分析し、適切な対策を講じることができます。

  • リスクの特定: 計画段階で潜在的なリスクを洗い出し、計画書に記載しておくことで、リスク発生に備えることができます。

  • 対応策の検討: リスクが顕在化した場合の対応策を事前に検討しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。

  • 教訓の抽出: プロジェクト終了後、計画書と実績を比較分析することで、成功要因や改善点などを抽出することができます。

  • 知識の蓄積: 過去のプロジェクトの教訓を蓄積し、今後のプロジェクトに活かすことができます。

  • 参考資料: 終了したプロジェクト計画書は、組織の情報資産として蓄積され、新しいプロジェクトを立ち上げる際の参考資料として活用することができます。

  • ノウハウの伝承: 過去のプロジェクトの成功事例や失敗事例を共有することで、組織全体のノウハウを向上させることができます。

特に重要なポイント

プロジェクト計画書を作成する上で、特に重要なポイントは以下の3点です。

  • エスカレーションパスの明確化: 問題発生時、誰に、いつ、どのように報告するかを明確にすることは、迅速な対応と問題解決に不可欠です。エスカレーションパスが曖昧だと、問題が放置されたり、対応が遅れたりする可能性があります。計画書にエスカレーションパスを明記することで、関係者全員がスムーズな連携を取ることができます。

  • リスク管理の徹底: プロジェクトには常にリスクが伴います。リスクを事前に特定し、評価し、対応策を検討しておくことで、リスクが顕在化した場合でも冷静に対処することができます。リスク管理表は、リスクの一覧だけでなく、それぞれのリスクに対する対応策や担当者も明記することで、より効果的なリスク管理が可能になります。

  • 定期的な見直し: プロジェクトの状況は常に変化します。計画書も状況に合わせて定期的に見直すことが重要です。計画書を見直すことで、現状との乖離を把握し、必要に応じて計画を修正することができます。プロジェクト計画書は作ることが目的ではありません。それを活用して意味があります。プロジェクトメンバがプロジェクトの推進の拠り所となるドキュメントです。定期的な見直しは、計画書の精度を高めるだけでなく、プロジェクトメンバーの意識向上にもつながります。

データドリブンなプロジェクト計画

プロジェクト計画は、過去のデータや実績に基づいて作成されることが望ましいです。データドリブンな計画は、より現実的で、成功可能性の高い計画となります。プロジェクトマネージャーやリーダーは、ステークホルダーに対して、計画の根拠や見積もりの妥当性をデータに基づいて説明する責任があります。過去のプロジェクト計画書は、次に始まるプロジェクトを計画する上で、貴重な情報源となります。

プロジェクト計画書の作成手順

プロジェクト計画書は、プロジェクトの規模や種類によって記載内容や形式が異なります。しかし、プロジェクトを成功させるために重要な役割を果たすことに変わりはありません。

プロジェクト計画書の作成に際しては、以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 具体的に記述する: 目標、タスク、スケジュールなどを具体的に記述することで、関係者の理解を深めることができます。

  • 現実的な計画を立てる: 実現可能な範囲で計画を立てることで、計画倒れを防ぐことができます。

  • 関係者の意見を反映する: 関係者の意見を積極的に反映することで、より実行可能な計画を作成することができます。

  • 定期的に見直す: プロジェクトの進捗状況に合わせて、計画書を定期的に見直すことで、常に最新の状態を保つことができます。

レビューの重要性

プロジェクト計画書を作成したら、必ずレビューを行いましょう。レビューには、プロジェクトメンバーだけでなく、利害関係のない他のプロジェクトメンバーや品質保証メンバーなど、第三者的な視点を持つ人が参加することで、より多角的な意見を得ることができます。

レビューを通じて、潜在的な問題やリスクを早期に発見し、対応策を講じることで、プロジェクトの遅延や失敗を防ぐことができます。また、レビューは、関係者間のコミュニケーションを促進し、共通認識を深めるための良い機会となります。


プロジェクト計画書 章立ての例

はじめに

  • プロジェクトの概要

  • プロジェクトの背景

  • プロジェクトの目的と目標

  • 計画書の対象範囲

  • プロジェクトのスコープ

    • プロジェクトで開発するソフトウエアの機能と要件

    • ソフトウエアの利用シナリオ

    • ソフトウエアの制約条件(技術的制約、時間的制約、予算的制約など)

    • スコープに含まれない事項

プロジェクトのスケジュール

  • プロジェクトの開始日と終了日

  • 主要なマイルストーン(成果物の完成予定日など)

  • 各タスクの依存関係と所要時間

  • ガントチャートなどのスケジュール図

  • 工数見積もり

    • 各タスクに必要な工数

    • チームメンバーの稼働時間

    • 工数見積もりの根拠と精度

  • クリティカルパス分析

    • プロジェクト全体のスケジュールに影響を与えるタスク

    • クリティカルパス上のタスクの遅延に対する対策

プロジェクトの体制

  • プロジェクトチームの役割と責任者

  • チームメンバーのスキルと経験

  • 外部協力者の有無と役割

  • 組織体制図

プロジェクトの資源

  • 人的資源(チームメンバーの人数、スキルなど)

  • 物理的資源(開発環境、テスト環境、設備など)

  • 予算(開発費用、人件費、設備費など)

プロジェクトのリスク管理

  • 潜在的なリスクの特定と分析

  • 各リスクの発生確率と影響度

  • リスク対応策の検討と実施計画

  • リスク管理体制

プロジェクトの品質管理

  • 品質目標の設定

  • 品質保証の方法(テスト計画、レビューなど)

  • 品質管理体制

  • 不具合予測

    • 過去の類似プロジェクトのデータ分析

    • 潜在的な不具合の洗い出し

    • 不具合発生時の対応計画

プロジェクトのコミュニケーション計画

  • チーム内および関係者とのコミュニケーション方法

  • 定期的な会議や報告会の開催

  • 情報共有ツール(Wiki、チャットなど)の活用

プロジェクトの成果物

  • 開発するソフトウエア

  • ドキュメント(要件定義書、設計書、テスト仕様書など)

  • その他成果物(データ、マニュアルなど)

  • 成果物管理計画

    • 成果物の作成・保管・管理方法

    • バージョン管理方法

    • 成果物の受け渡し手順

プロジェクトの構成管理

  • 構成管理計画

    • 構成管理対象

    • 構成管理ツール

    • 変更管理手順

    • リリース管理手順

プロジェクトの評価

  • プロジェクトの成否を判断する基準

  • 成果物の評価方法

  • プロジェクト終了後のレビューと改善

付録

  • オープンソース一覧

  • 購入ソフトウエア(ライブラリー)一覧

  • メンバー教育計画

その他

  • 工数管理

    • 工数実績の収集と分析

    • 進捗管理との連携

    • 工数超過時の対応策

  • 不具合管理

    • 不具合の検出と報告

    • 不具合のトリアージと対応

    • 不具合修正後のテスト

上記はあくまで一例であり、プロジェクトの規模や特性によって章立ては調整してください。

最後に

プロジェクト計画書は、プロジェクトを成功させるための重要なツールです。計画書作成の際には、上記のポイントを踏まえ、関係者と協力して、より良い計画書を作成してください。


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