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■正解のない時代、今は教室とかそういう既存の学びの枠組みを超えていけなければいけない段階なんじゃないか■ GIGAスクール@三鷹 第9回イベント

今回のテーマは「VIVISTOPで今なにが起こっているのか?」

GIGAスクールネタからは少しずれるかもしれませんが、むしろその先の話、教育の先の先、可能性、いや深淵?
そんな話を、以前から気になっていた、VIVISTOPNITOBEの山内さんにお聞きすることができました。

軽妙な、それでいて芯もある、山内さんのトークを再現しつつお届けします。
※このNoteは、2022年9月10日に実施したGIGAスクール@三鷹のオンラインイベントの内容を再構成してお送りします。

1. 今回のテーマ「VIVISTOP」とは??

■何かよくわからないのがVIVI STOP

はじめに、そもそもVIVISTOPっ何?ってところを少しでもイメージを持っていただいたら嬉しいです。

現在、VIVISTOPという場所は、世界7カ国11拠点あるんですね。日本のVIVISTOP KASHIWANOHAがスタートなんですけど、今この動きが世界中に広がっていきます。

No Teacher
No Curriculum

ここは学校じゃない。だから、先生もいないし、 カリキュラムだってない。あるのは、たくさんの アイディアだけ。
VIVISTOPは、子供たちが自分のやりたいことにとことん向き合える場所を作ろう、というところなんですよね。
今この時代は、テクノロジーがどんどん進化して、アイディアが形になるっていうスピードが増したし、可能性も広がりました。
そこで、最新のクリエイティブツールも備えて、子供たちが自分の可能性を信じて、さまざまな「つくる」に挑戦していく。

分業化されすぎてしまった今だからこそ、自分たちの手で衣食住遊をつくっていく、未来を自分達の手でつくっていくコミュニティづくり、そういうことをVIVITAという教育の企業でない会社がやっている。
子供たちに教えるとか、子供たちにやらせるっていう発想はなくて、子供たちと一緒に世界を変えていくってところに僕自身面白さとやりがいを感じています。

■一体どんなことが行われているのか?

自分で作曲をしたり、服をデザインしたり、3Dプリンターを使ったり、レーザーカッターを使ったり、様々な「つくる」にチャレンジします。

例えば、小学校4年生の子がここにきてドローンを作りたい!となって。ドローンはすぐにはできないから、まず回るっていう仕組みを一緒に試してみようと話をしていく中で、
その子がハンディー扇風機をつくってみたい!となったんです。

じゃあそれ一緒につくろう!と、構造をスケッチしながら考えて、タブレットで製図して、レーザーカッターで加工して、VIVIWARECellというプロトタイピングツールを使ってプログラムを組んで、2時間くらいで完成しました。

例えば音楽を作ったり、自分で作曲をしたり、
あとは3Dプリンターを使って、小学校中学年ぐらいなら3Dモデリングができたり、
レーザーカッターというものがあるので、自分でタブレットを使って製図して、それをあとはレーザーが切ってくれるという設備があります。

■VIVISTOPは、何が作れるかではない

VIVISTOPは、何が作れるかではないですね。

大人はこの機材では、こういうものが作れるんですね、ってそこで止まっちゃうんですけど、大事なのは「アイデア」なんです。

アイデアを持ち込んで、それがどう実現できるのか、それを一生懸命考える。だったら、3Dプリンターを使ったらどうとか、こっちの機材ならそのアイデアが活かされるとか、僕だけじゃわからないからエンジニアと相談してみようとか。

いろんなヒト・モノを繋ぎながら、大人と子供のクリエーションをここで生み出しています。 保護者もサポーターではなくて、クリエイターの1人として携わってくれます。
ここで日々おこなわれているのはワークショップじゃないんです。みんなバラバラな事をしています。属性もバラバラなんです。中学生もいるし小学生もいる。公立の子もいれば私立の子もいる。

大人もデザイナーがいて、エンジニアがいて、イラストレーターがいて、みたいな。これなかなかすごいことだなと思っています。共に創り共に学ぶというスーパーフラットな関係というのをここで目指しています。

■学校との関係

僕のミッションとしてはこのVIVISTOPというものを学校にどうなじませていくかっていうところもあります。

僕が所属している学校(新渡戸文化学園)は小学校だけじゃなくて中高もあり、幼稚園もあり、短大もあります。それぞれの学校種とどのように連携し、活動をつくっていけるかを日々考えて実践しています。

まず授業でVIVISTOPを活用してもらうようにしています。美術とか、情報とか、小学校であれば図工とか、総合的な学習の時間で使ってもらったりとかで他の先生が使えるようにサポートしています。
環境の仕掛けとして、ちょっとこだわってるところがあって、3教室分ワンフロアぶち抜きでVIVISTOPNITOBEの環境を作りました。なので小学生の授業やってる横で、壁とかの隔たりなく、中高生の授業をやってるんですね。
そして、その隣でまた隔たりなく大人が仕事している、という環境を作っています。 これまで分断されていたものを混ざてみたいんです。

小学校6年生の図工の時間、その横で、高校生の情報の授業をやってます。そうすると、小学生が高校生に混ざっていくんですよね。「何つくってるの?」みたいに。 高校生も嬉しそうに自分がやってること説明してくれます。 大人の仕事場があると言いましたが、VIVITAの社員が仕事しに来たり、様々な人に使っていただいたりもしてるんです。
そうすると、例えば中学生の授業中に、デザインで悩んでいる生徒がいるとして、そんな日たまたまデザイナーがいることもあるんです。そしたら。直接相談できちゃう。
特別授業じゃないのにプロから学べる時間が自然に生まれちゃうんですね。 この関係性を、放課後はよりシームレスに行っています。この場を開放して、小学生も中学生も高校生も放課後はこの場所を訪れることができます。 高校生がこんなイベントやったよって僕に報告しに来てくれて、今こういう企業さんいるから、せっかくだからみんなに聞いてもらおうよって、放課後に小さなプレゼンが始まるんですね。
そうすると、君のアイディア面白いから今度うちの企業としても何か一緒にできないかな、なんていう話が実際起きちゃうんですよ。 これがすごくいいなと思っていて、普段交わることのない小学生・中学生・高校生に、世代を超えて大人もここでシームレスに混じり合うってことがたくさん起こっています。

もう世の中は特に正解のない時代になっていて、学年とか、教室とか、そういう既存の学びの枠組みを超えていかなければいけない段階なんじゃないかと、僕は思っています。

もちろん基礎的な学びも大事だし、学校が全部こうなればいいとは全く思ってません。

こういう選択肢があっていいよね、と。

これが、VIVISTOPNITOBEであり、僕が今取り組んでいることですね。

2. 山内さんに聞いてみた

■VIVISTOPで、大人は何をやっているの?

本当にバラバラですね、面白いぐらいに。
保護者やVIVITAの社員もいることもありますし、その他の企業の人がいることもある。

みんな仕事していて、何かを作っている。VIVISTOPの専任としては僕一人なのですが、非常勤として携わってくれている人もいて、そうしたメンバーをここではクルーと呼んでいて、例えばレーザーカッターなどの機材は初めて触るときに最初の一歩をフォローしてます。機材を使うためには、説明して、ある程度自分で扱えるまでには理解が必要なので。

ただ、クルーの役割は子供のサポートだけではないので、それぞれの得意分野だったり挑戦したいもの何かしら作ってもいます。ここでは大人も子供も関係なく、お互いが影響し合って、「一緒にやろう!」と共につくることが自然に始まるのです。

■無料でやっているんですか?

そうなんです。VIVISTOPのすごいところが、0円なんですよ。

全ての子供たちにクリエイティブ環境を届けたい。という想いで展開しています。
例えばレーザーカッター1回いくらみたいにすると、子供がやるときに絶対失敗させたくないじゃないすか、親的には。本当に寸法大丈夫?みたいな。
なんかそれが許せちゃう。失敗しても、もう1回チャレンジしてみよう!どこを修正すれば良さそう?って寄り添えるところは強いですね。

また対等な関係をつくることにも、0円はプラスに働きます。お店とお客、先生と生徒、にような関係性にならない。決して子ども「〜させる」場所ではないんです。

■利用する子供は決まった子が多いですか、それとも子供同士の口コミで広がっている感じですか?

まだ運用し始めて月日が経っていないので、なんともいえませんが、半年で70名くらいの会員登録がありました。
割と遠いところからも来てくださって。毎回来る子もいれば、そうでない子もいますね。
利用の口コミの広がりはやっぱり親御さんだと思います。

運用も本当に試行錯誤です。広く周知したいというよりも、「やりたいことがある!」という子に届くといいなと思っています。

■タブレットなんかのICTも画面に映ってましたが、やはりVIVI STOPだと子供たちの使い方も変わってくるのでしょうか?

僕の悩みで、中にはずっとYouTube見てる子がいるんですよね。
それが駄目か良しかっていうのがすごく悩んでて。

もしかしたらその子は家ではYouTube禁止かもしれない、唯一、YouTubeに没頭できる時間かもしれない、だとしたら、果たしてここで奪っていいものかとか。
もうケースバイケースなので、基本的には一人一人と色々話はしていますね。

あとは、タブレット活用方法って言ってもは作りたいものがあるからそれを使ってる、ってだけなんですよね。
例えば、犬っぽいものを、木で作りたいって四年生の子がいたんですよ。
その子は電動糸のこぎりを使えるんだけど、細かいパーツに電動糸鋸は怖いじゃないですか。だからその子はレーザーカッターで切るんだって 言って、尻尾と耳と目は全部レーザーカットでちっちゃい細かいパーツを作ってくっつけました。
最初はレーザーカッターっていうもの自体に興味があるから、レーザーカッターで作れるものを作るんですね。それで一通り慣れてくると、次は作りたいもののために道具が選ばれていく。タブレ ットも含めて、そういったのが理想だなって思ってます。

■VIVISTOPの場所を使うための学校のカリキュラムがあるんでしょうか?

 授業に関してはもちろんカリキュラムがあります。
でも、小学校の図工をやってるのに隣で中学の美術をやってるっていう現状は、それはカリキュラムがあったとしても、やっぱり化学反応が起きる んですよね。
それは見てて楽しいです。

■子供主体の取組みってことですよね。

これ最近すごく考えていて、子ども主体っていう訳でもないんじゃないかと。
僕がやりたいことも全然言うし、結果”僕たち”の活動になることもあります。 ”子ども主体”って、どこか大人がお膳立てするような、子どもたちをうまくのせるような、ちょっとニュアンスを感じていて。

そういった意味だと、ここは子ども主体ではなく、そもそも主体も客観とかないんじゃないかって、ちょっと哲学っぽい世界に最近入っています。 最後に。やっぱり決められた枠から飛び出していくことで、気づきや学びってあると思うんです。

なので、普段は起こりえない、今までの学校では起こり得ないことを起こしていく、ってところが、新たな可能性を出していけるのかなって思ってやってます。

私もよくわかっていなかったVIVISTOP、話を聞いていても、なんとなくその表面のユニークな取り組みに目が行ってしまっていました。
でも、あらためてここ、noteに綴ってみて思うのは

「もう世の中は特に正解のない時代になっていて、教室とか、そういう既存の学びの枠組みを超えていかなければ、もはやいけない段階なんじゃないか」

という言葉でした。で、自分は我が子たちにそういった機会を与えているのであろうか、と自問自答したりして・・・。

山内さん、お忙しいところありがとうございました!

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