SUITS シーズン9(ファイナルシーズン)
全9シーズン(完結)
エピソード数:10
時間:40分強
ジャンル:法律・サスペンス
時代設定:現代
放送年:2019年
舞台:アメリカ・ニューヨークシティ
視聴できる動画サービス:Netflix, AmazonPrimeVideo
評価: 8 / 10
本作品全体の評価:9 / 10
○概要
アメリカ・ニューヨークの法曹界を舞台にしたドラマ。一流弁護士事務所に所属する弁護士ハーヴィー・スペクターは、その中でも大きな実績を上げており、一目置かれる存在。様々な困難を乗り越え、同僚との絆を強めつつ、自身も成長を遂げてきました。そんな彼を取り巻く人間模様も変化してきて、大きな、そして決定的な変化を迎えます。
○本作品で扱われる法律事案
ハーヴィーの所属するニューヨークの弁護士事務所を中心に物語は進みますが、その事務所は、主に会社を顧客とすることから、会社同士の契約や企業の買収・合併などの事案を主に取り扱います。したがって、弁護士が主人公といっても、殺人などの暴力が絡む重罪はほとんど出てきませんし、凄惨な場面もありません。
○今シーズン全体の流れ
前シーズンの最終エピソードから、最悪の危機は乗り切ったものの、大きな危機はいくつも存在し、このシーズンでは予断を許さない状況から始まります。一つの危機をやり過ごしたかと思うと、また別の危機がやってきて、行き着く先にどのような決着が待っているのか、というのがこのシーズンの全体としての展開で、エピソードごとに少しずつ事態は進展していきます。もちろん、それぞれの登場人物にもスポットは当てられ、その人となりが描かれ、彼ら、彼女らの抱える課題なども示されます。そして、どうあるべきか、どうするべきかについて、悩みながらも前進しようとします。それらが最後のエピソードに向けて少しずつ積み重ねられていきます。
○エピソードについて
エピソードは連続しており、エピソードごとに小休止はありますが、基本的には全体として大きな流れがあって、その最終局面に向かって進展していきます。エピソードが進むごとに事態はますます混迷を深め、様々な利害によって人間関係も複雑化して、それがさらなる事態の複雑化を招くのでした。
物語の軸は法廷サスペンスですが、たまにコメディ要素もあり、会話においてジョークや気の利いた言い回しも挟まれ、物語の展開が単調にならないよう工夫されています。本シーズンはこれまでよりもコメディ要素が多いように感じました。たまにその当時に流行っていたドラマや映画などについて言及されることがありますが、知っていれば、さらに楽しめるのでしょうが、知らなくても問題ありません。他のシーズンに比べるとエピソード数が少ないためか、物語の展開において若干気になる点がいくつかありましたが、全体的には楽しめました。
○登場人物について
登場人物は多く、入れ替わりも多く、登場人物同士の関係もシーズンが進むごとに複雑になってきます。また、以前のシーズンに登場した人物が再び出てきたり、起こった出来事について言及されたりすることもあります。できる限り間を置かずに視聴することをお勧めします。特に、このシーズンは最終シーズンということもあって、これまでに出てきた人物が再び登場します。登場人物が多いにも関わらず、それぞれの人物像はきちんと描かれ、シーズンを経るごとに魅力的になっていき、どの人物でも応援したくなります。登場人物たちは衝突を繰り返しながらも、少しずつ内面的に成長していき、相手を認め、尊重し合うようになっていきます。敵役として登場する人たちに対しては好感を抱くことはあまりないと思いますが、ハーヴィーの同僚や周囲の人たちは、欠点はあるものの、それぞれにその欠点を補うほどの良さがあり、シーズンを重ねるにつれて登場人物の魅力はますます高まっていきます。
○登場人物の成長と人間関係
シーズンが進むごとに登場人物同士の関係は深まり、成熟し、徐々に絆は強まってきて、気遣いからの小さなウソや勘違いから誤解が生じ、そこから騒動が引き起こされることもあり、人間関係の難しさを示します。初めのほうのシーズンでは、そうした騒動による混乱が長引くこともありましたが、最後のほうになると、登場人物たちの成長もあって、早くに誤解を解いて、事態が悪化するのを防ぎます。むしろ、そのことによってさらに関係を強めるようになり、見ていて感慨深いものがありました。
○本作品の醍醐味
不利な状況から巻き返して逆転勝利することによる爽快感がこのドラマの大きな特徴ですが、このシーズンでもそれは変わりありません。ただし、終盤のシーズンになるほど、より大きな危機に直面し、そして、大きな危機であるがために根本的な解決は困難となり、場当たり的な対処にならざるを得なかったり、ときには犠牲を払う必要があったり、完全な勝利とまではいかなくなってきます。そのことによって爽快感が小さくなってきていることは否めません。ただ、その分、登場人物の人間関係や人間性が丁寧に描かれており、登場人物同士の会話が楽しく感じられました。
○英語学習の教材として
会話の速度は標準程度で、発音もわかりやすいため、聞き取りの難度として決して高くありません。法曹界を舞台にしたドラマということで、法律関係の語彙が多く用いられるものの、頻繁に出てくるものはある程度限られているので、初めは日本語の字幕で見て、ある程度慣れてきたら英語字幕に切り替えるという方法も有効だと思います。それ以外の語彙では難しいものはそれほどなく、言い回しも一般的なものが多いので、聞き取ることができれば、内容の把握は決して難しくはないでしょう。
聞き取りの難度:3 / 5
※数字が高くなるほど難度が高くなります