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34/n 作業中編 逆算の「災害とチェンソー」 チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解

ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。

SSJは全国向けにソーチェーンの目立てを事業として行っています。宣伝を兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。


作業中

 作業後編ではチェンソーの仕様の統一の重要性や、ソーチェーンの国内流通量、災害時でも比較的調達の容易な、つまり購入のしやすいソーチェーンについて紹介しました。本編ではそれらの内容から更に逆算し、実際の作業内容を交えて対処法や一考に値することをまとめます。

ソーチェーンがすぐ切れなくなって困る

 倒木や流木には泥や石が、倒壊家屋の木材には、釘を始めとした家屋内の金属製品が混じっています(同じ一軒家でもバラつきがありますが、家電まで含めると家屋内には数百キロ分の金属が存在します)。ソーチェーンは木の切断に特化していますので、これらの泥や石、金属に当たってしまうと、あっと言う間に切れなくなってしまいます。
 そこでレスキューチェーンや根切チェーン、デュロチェーンといった、通常のソーチェーンに比べて数倍以上切れ味が持続する高耐久なチェーンがあります(切れ味が落ちないわけではないので注意してください)。カッター部分に硬いチップを付けたタイプと、加えてチェーン全体に追加のコーティングを施したタイプ(レスキューチェーン8根切チェーン)に2分されます。両者とも「超硬」と一括りにされますが、後者の代わりに前者を使うと切れ味はそこまで長続きしません(といっても普通のソーチェーンよりは持続するのは確かですが)。
 価格は通常のソーチェーンに比べてどれぐらい切れ味が持続するのかということと、カッターの研ぎ代で決まっている…?ようです(実際に値付けをしたわけではないので分かりません)。「超硬」で調べると安いものもありますが、明らかにチップの量が少なく、切れなくなった後に1回研げれば良いというような作りのものもあります。

「すぐ切れなくなった」を防ぐには

チェンソー以外の手段で済むのならチェンソーを使わないのが1番です(大真面目)。たとえチェンソーを使わざるを得ない時でも、以下を可能な範囲で行うことで木以外に当たる率を減らすことができます。

・樹皮を剥がす
・切り始めようとする位置の泥を払う
・1回で切り進めようとせず、途中で材を回す
・(家屋&家具)材と材の結合部をなるべく切らない(「留め具」がされている為)

但し、分かっていてもできない、選択肢が限定されてしまうのが現場作業というものです。また、複雑に重なりあった材は処理している最中に動くので、バーがひしゃげてしまうこともあります。こうなってくると予備のバーやチェーン、それも長さや仕組みがなるモデルも含めて揃えておくのが1番と思います。

予備のバーとチェーン

作業後編で、林業や造園では複数のパワーレンジのチェンソーを揃えていると紹介しましたが、災害現場で、しかも緊急性の高い段階で複数台用意して移動するのはなかなか現実的ではありません。予備のバーとチェーンをたくさん持っていくか、メインで使う長さのバーに対して、それよりも短いバーや、長いバーをチェーンと揃えておくのが一番ではないかと思います。

・メインより短いバー
防ぎ切れない「すぐ切れなくなった」に対して目立てに掛かる時間を減らすことができます。「切れ味が落ちた」と思ってすぐ作業を中断しても、チェーンは高速で回転しているので、十中八九チェーン1本分のカッターにダメージが回ってしまいます。また、最初の当て馬的な使い方をすることもできます。ハードノーズバーにしておけば、スプロケットノーズより泥や砂利、家屋に使われている繊維質の断熱材による「ノーズの詰まり」には強くなるので、更に一段と「飛び込み隊長」としての役割を果たす場面が多くなるかもしれません。

・メインより長いバー
足場が無い、材の径に対して届かない(悠長に小分けに切っていられない状況)という時に、実際に使う場面は少ないかも知れませんが、選択肢としてあるには困りません。林業や造園、特伐でも、大きい排気量帯=長いバーほど使う頻度は少なくなりますが、無いと無いで困る場面があるので用意しているわけです。

チェンソー×部品の展開

 作業後編の内容を踏まえて.325で揃えようとすると、スチールやハスクバーナのメーカーの純正展開のバー長は50cm=20インチまでとなります。スギハラやツムラといった信頼と実績のあるバーのサードパーティーメーカーでは更に長い325も展開しています。但し、超硬チェーンの中でも比較的入手しやすいデュロチェーンの展開は.325で45cm=18インチ(コマ数はスチール専用)までです。
 3/8(3/8LPとは違いますのでご注意を)では、ここまでの作業中編の内容は全てクリアできますが、作業後編の流通量の話に戻り、災害前の備蓄が大事になってきます。3/8の流通量は325や3/8LP、1/4より更に少なくなります。あちらを立てればこちらが立たず、です。
 バーのマウントの展開ですが、ハスクバーナでは50~60cc(562は除く)とそれ以上のクラスのマウントが形状が違うのに対し、スチールは50cc~90ccクラスまでマウント形状が共通です。どちらも50cc未満は更に別のマウント形状になるのですから、「部品の共有」という観点から考えると、スチールにアドバンテージがあります。共有化の為にリムを変えなければならないというひと手間がありますが、バーよりリムの方がコストが抑えられます。逆に50cc未満でなるべく統一した方が良いんじゃないのと思うかもしれませんが、災害の復旧・復興期以外では可能な限りの早さと、早さを可能にするパワー、パワーから派生した部品展開の広さが作業中のアドバンテージになると考えるわけです。

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