【読書】『アマゾン化する未来』ブライアン・デュメイン著 小林啓倫訳
今まで手を出してなかったアマゾン関連本だったけど、この本を引用した面白いツイートが気になって読みたくなって購入。日本版の序文だけ2020年のパンデミックにおけるアマゾンの即応力について書かれているので、少しだけお得感もある。
2000年のドットコムバブルで不振に陥ったアマゾンは、世界で500万部売れたベストセラー『ビジョナリーカンパニー』で知られるジムコリンズを講師に迎えて「フライホイール(弾み車)」の理論を学ぶ。 フライホイールは最初の1回を回す時こそ力が要るが、それが回数を重ねるにつれて加速していき、力はそれほど使わずに済むというものである。
フライホイールの思考力を手にしたベゾズはアマゾン版のフライホイールを考案し、最初のステップを「顧客のためにコストを下げること」とした。
ベゾズはさらに理論を進化させ、ビグデータとAIをかつてないほどの規模で活用してフライホイールを回す「AIフライホイール」という考え方でビジネスで成功する方法を変え始めた。この方法を「ベゾノミクス」と言うとか言わないとか。
本著はアマゾンに対して称賛と批判のバランスが取れた書き方をしているが、それでも「AIフライホイール」が及ぼす雇用破壊の影響は深刻になるという懸念を述べている。
かつて、コンテナリゼーションによる自動化によって港湾労働者が大量に失業したようなことが、「ベゾノミクス」が進むありとあらゆる業種で起こることはありうるよなぁ。
目次 amazoneより
序章 世界はアマゾン化している:「〇〇業界のアマゾン」があらゆる領域に広がりはじめた
第1章 ベゾノミクスとは何か:それが適用されると、ビジネスのルールが劇的に変わる
第2章 ベゾノミクスを生み出した個人的な哲学:矛盾だらけに見える世界一裕福な男
第3章 ベゾスとアマゾンのイノベーションの作法:我らは神を信ずる、他の者はデータを示せ
第4章 長期的視点しかいらない:1万年後のための計画をいま実行する
第5章 AIフライホイールの発明:弾み車を加速させるために働け
第6章 アマゾン・プライムがもたらした未来:デジタル・ライフスタイルを究極に進めるとどうなるか
第7章 アレクサがいる日常:音声認識がアマゾンの世界に新規顧客を連れてくる
第8章 暗闇に稼働する倉庫の進展:ロボットによる自動化がもたらす雇用の混乱
第9章 悪魔と踊る覚悟:中小小売業者がさらされるアマゾンでの過酷な競争
第10章 自動配送のラスト・ワンマイル革命:自動運転バンとドローンが導くバウンダリーレス店舗
第11章 世界最大の「スーパーvs.オンライン小売り」:直接対決が始まった
第12章 対アマゾン巧者の闘い方:アマゾンの裏をかくビジネスモデルを構築せよ
第13章 あなたの利益はベゾスのチャンス:アマゾンは次にどの業界を狙うのか
第14章 アマゾンの未来とベーシックインカム:強烈な批判への反応
第15章 GAFAを解体せよ:独占禁止法はふたたび隆盛する
終章 問題がある未来でも、もはや現実:アマゾンが失敗しても弾み車は止まらない
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