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記憶の破片

神様 今この瞬間をありがとう
僕はきっと今見ている風景を 何かの拍子に思い出すだろう
それはかなりの確率で 自分の死が近くなったベッドの上のような気がする
その時の僕は きっと涙が止まらないだろう
こうして君を肩車して 冬のプールの帰り路
暮れて行く空に浮かび上がる少し遠くの初台のビルと渋谷のビル
それを指さしながら 君と会話したこと
君のお気に入り焼肉屋さんがある53階はどこかなと
二人で探したこと
「渋谷って遠く?」と聞く君に なんて説明すればいいのか困ったこと
今しかないこの時間
体重16kg もうすぐ肩車はさすがに厳しい年ごろになる君
全てがかけがえのない時間であることを思う
僕はそのことをこうして文字で記す
万が一忘れてしまっても 読み返して思い出せるように
そして 願わくば 僕がいなくなったあとも
君がこれを読んで このときのことを思い出してくれるように
そして君がまた自分のこどもとかけがえのない時間を体験できますようにと
願いを込めて

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