虚ろ
僕の中身は僕の殻を残して流れていってしまったみたいだ
僕は喉仏に引っかかっている小さな存在だ
死んで焼かれて灰になって
焼き場の係員に
「はいこれが喉仏です。仏様が座っている形をしているでしょう」
と見せられて感心されているあれだ
僕は喉仏だったんだと
見上げたところにある小さな窓から見える
薄い色の青空に吸い出されていくような錯覚に陥り
焼かれてもうすぐ崩れて形がなくなる肋骨と骨と骨のあいだで
ぶつぶつと念仏を唱えている
ガワもナカミもどちらも僕じゃないし
僕を僕が探しているうちに何もなくなってしまった
元々無かったことに気づいただけかもしれない
そのことに気づいたから
僕はもう僕を探せない
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