断片集①
零下49.5度の情熱
猛暑の動物園の北極グマ
2月の雨に濡れるライオン
薬物中毒の父親を愛し続ける息子
崩壊して逆転する親子関係
身体を壊す父親と精神を壊す息子
愛するという不幸
肉親との絶縁が生む安息
欠損した血の繋がり
他人という夫婦と
血縁という名の他人
それを眺めて幸せを感じる傍観者の矛盾
東京では大きくなれないオリーブの木
刈り取っても生えてくる雑草のようなハーブを
ソーダ割りに入れて飲みながら
眺める明かりの消えないビルディング
都会という名の静寂と
雑踏の中に潜む千切れそうな孤独
孤独から見る世界は
全てが映画のようだ