【購読者向け】「映え」と「エモ」しかないゲーム『シーズン 〜未来への手紙〜』が描く、地味な記録の美しさ
流行りの言葉を使うのは気恥ずかしく、同時に文章がすぐ陳腐化するのでなるべく避けたいところなのですが、しかし『シーズン 〜未来への手紙〜』(以下、「シーズン」と表記)をわかりやすく表現するのであれば、「エモ」くて「映える」ゲームだというべきでしょう。
本作はどこを切りとっても美しいのです。主人公「エステル」の故郷であるふしぎなキャロ村、坂道を自転車で下っていく場面、崩壊したクレーンが多数存在する草原、不思議な神が祀られているピンク色の花畑など、思わずスクリーンショットを撮りたくなる場所ばかり。
昨今のゲームはただ美しいグラフィックを見せるだけでなく、それを他人に共有したくなるような作りが重要視されています(たとえば『星のカービィ ディスカバリー』のようなタイトルにおいても「スクショ映えする魅せマップ」が意図的に制作されています)。
「シーズン」は、ゲームにおけるほぼすべて魅せマップとなっています。トゥーンシェーディングによって終わりに向かう世界を魅力的に描き、穏やかなBGMと環境音によって、このうえなく感情を揺り動かされるような表現を味わえるのです。
しかしながら本作は、同時に「エモ」くて「映える」ことが悩みにもつながります。
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