『ポケモンBDSP』に対するゲームメディアとユーザーの温度差ヤバない?
『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(『ポケモンBDSP』)のレビューを書いてIGN JAPANに掲載してもらいました。本作はリメイク作品なのですが、原作尊重をしすぎたこと、本編シリーズとしては珍しく外注になったためか、問題のある作品です。
レビュースコアは10点中5点で、酷評といって差しつかえない内容でしょう。原作に対するノスタルジアがない僕がストレートに書くと、どうしてもこうなってしまいますね。
ところで、いわゆる商業ゲームメディアでここまで本作の問題を書いた記事は珍しいのではないでしょうか。僕が見た範囲では、AUTOMATONが壁抜けバグや電卓バグに触れているくらいでした。
しかしユーザーの間で、『ポケモンBDSP』は悪い意味で話題になっています。伝説のポケモンを増殖できる、というかなんなら任意のアイテムやポケモンを増やせる、ついでに進行不能バグもあり、ほとんど戦闘せずにチャンピオンをスキップしてクリアする方法まで確認されているわけで、そりゃモメるわけです。
品のないまとめサイトではそれらバグが発見されるたびに、悪く書かれています。YouTubeではバグ動画あがりまくり、どのように発生させるのかも詳しく解説されています。壁抜けで今後実装予定のエリアに入るなんて動画もあり、再生数をバッチリ稼いでいるわけです。
一方でゲームメディアではそういう情報はあまり目にしません。たとえば電ファミニコゲーマーは、原作再現などに関して「エモさ全振り」と良いところを紹介しています。ところでこの記事で、対戦用ポケモンの育成を「比較的今の環境に近い快適なかたちでおこなえそう」と書かれてますが、『ポケモンBDSP』の育成環境はむしろ前より悪くなってないですか?
もちろんポケモン増殖のやり方を商業ゲームメディアに載せるのはどうかと思いますし、そんなことは僕だってやりません(AUTOMATONはアップデートで解決したあとに記事にしそう)。とはいえ、問題があるのにそれを伝えなさすぎて、ユーザーとゲームメディアの間にすごい溝があるように見えるんですよね。
◆「ゲームレビュー」を目指す
▲画像は任天堂 公式サイトより
ユーザーはTwitterを見ているだけで『ポケモンBDSP』のバグ情報を得られます。検索しちゃえばわんさか出てくる。もはや遊んでいない人も乗っかって文句を言っている有様で、それにうんざりしている人もいるくらいです。
なのにゲームメディアを見るとそこには触れていない。そういう状況になったら読者は不信感を持ってしまうし、そもそもゲームメディアに情報を期待しなくなるでしょう。
そして困るのが、問題の軟着陸ができないこと。ゲームメディアがまったく黙っている間にまとめサイトやらがどんどんバグを広めてPVを稼いでいく。そして悪い印象ばかりを煽るわけです。
僕は『ポケモンBDSP』をあまり評価していませんが、しかし楽しいと言う人がいるのもわかります。なんせ懐かしさはしっかりあるでしょうし、本編をのんびり遊んで(進行不能バグに遭遇しないのであれば)ふつうのポケモンといえなくもないからです。
しかし、SNSを見れば悪い評判で盛り上がる人もいるばかり。不満もあれどいいところもあるわけで、そこも取り上げなくてどうするのか。褒めるのも大事だし、問題があればそれを指摘するのも大事。不具合や問題に触れないのも不健全だし、バグを大げさにあざ笑うのも下品。忖度とPV稼ぎのハザマで批判が存在し得ないいびつな状況になっているのではないか。
ゆえにIGN JAPANのレビューでは正直に書かせてもらいました。バグの方法などはさすがに書きませんが、いま本作が悪い意味で盛り上がっているというのは事実なので、その一端を書かなければならないのではないか。そう思いつつ、レビューを書いています。
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