夏になると無性に聴きたくなるあのバンド
夏になると無性に銀杏BOYZが聴きたくなるのだが、私が彼らと出会ったのは高校1年生の時だ。私のことをよく知っている人なら知っているであろう、私が狂おしいほど愛したあの5つ上の元恋人が銀杏BOYZを聴いている、と耳にした私が彼らの音楽を聴かないわけがなかった。
「私も知ってる!好き!!」
と、彼に言ったのだが、銀杏BOYZの存在は知っている程度で、曲も数回聴いたことがあるだけ。それに当時は、ああいった男っぽい品のないように見える性的な歌詞や、ちょっとハードなパンクロック系の音楽を好んで聴いていなかった。(音楽をジャンルで縛ることはあまり好きでは無いのだが)
しかし、言ってしまったことはしょうがない。それに、そこまで知らないのに苦手意識を持っているなんて勿体無いし改めて聴いておきたい、という気持ちもあったため、彼より詳しくなりたいがためにアルバムを何度も何度も聴いた。
結論から言うと、好きな人の好きな音楽というものの力は偉大だった。
特に好きでもない、と思っていた音楽が本当に心の底から愛おしくて仕方がなくなって、こんな風に私を愛してくれたらな〜と思う日があったり、峯田さんと同じように暴れ狂うように彼を愛している、と思える日があったり。一睡も出来ずに迎えた朝に、爆音でぽあだむのイントロを聴いたりしたし、ロックンロールは世界を変えると信じていた3年前の私は今でもここにいるし、もう会えない彼の煌めいた笑顔が夢に出てくれればいいのに、なんて思う。(時もある)
彼の銀杏BOYZブームは私が思ったよりも早く過ぎ去ったみたいだが、その時の私はこんな馬鹿馬鹿しいきっかけで聴き始めたことなんて忘れていた。(実は、今の恋人と付き合ったきっかけも銀杏BOYZで、彼らは私のキューピットとして2度活躍してくれた、という余談はさておき…)
同じく、夏になる無性に聴きたくなるもうひとつのバンド。
銀杏BOYZが年月を越えて同じ感覚を蘇らせてくれるのに対して、彼らの音楽は毎年変わった角度で様々な思いを巡らせてくれる。毎年違う感じ方をして、自分が成長した気がして朗らかになり、逆に感度が鈍ったような気がして、悲しむ。もう3年前の自分と同じ感じ方はできない。
時を重ねるにつれ、真面目なことよりも考えなくても面白いことが好きになって、気難しさが若干減って、性格が柔らかくなったのか家族と気が合うようになって…「ほんと昔の自分ってカッコつけてたよな〜恥ずかし」と思い、そんな今の自分の方が好きでいられる時もあるが、やはり前の自分が恋しくなる。
そんな私を唯一、銀杏BOYZはずっと変わらず、青春時代に引き戻してくれる。私の心のなかで、輝き続けている。
きっとあの時、「この子は銀杏を好きだと言っているけれどあまり知らなくないか?」と見透かされていたかもと思うと、私っておろかわいいな〜
どうせ半年後も、1年後も、もう好きになることはできないあの人の生活が恋しくなってアカウントの鍵が外れているか確認する日々を過ごすんだろうな。あまいね。反吐が出そうだ。