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小匙の書室272 ─積ん読の本─ ⭐︎先読みレビュー

 読書家のあなたへ質問です。

 ──いま、積ん読(買ったはいいが読めていない本)は何冊ありますか?

 0冊──ああ、それは良い傾向です。
 5冊未満──まだ、取り返しがつくかもしれません。
 10冊以上──はい、それはもう立派な積ん読ですね。
 中には「100冊から先は忘れた」という方もいるのではないでしょうか。

 ※ちなみにこの記事を書くにあたって私も数えてみましたが、その数なんと301(8/26当時)でした。予想以上で慄いています。

 ──さて。

 我々読書家は、どうして『積ん読』をしてしまうのでしょう?
 そもそも『積ん読』という“文化”は、いったいいつから始まったのでしょう?

 そのことを考えさせてくれる・教えてくれるのが、10月1日、【主婦と生活社】さんより刊行される『積ん読の本』(石井千湖 著)なのです。

 本作は、

 「読まなきゃいけないのに、タイミングが悪くて/気力が湧かなくて読めない」
 「新刊を買うたびに積ん読たちから怨嗟の声が聞こえる」

 という罪悪感が芽生えたり、
 「新しく買ったのに、積ん読の山からもう一冊出てきた」
 「あの作品を再読したいが、そうすると新刊に着手できなくなる」

 といった支障が出たりするあなたにこそ、オススメしたい一冊となっております。

 著者で書評家でもある石井氏が斯界の本読み12人──

 飯間浩明さん(辞書編纂者)
 池澤春菜さん(作家、声優)
 小川公代さん(英文学者)
 小川哲さん(作家)
 角田光代さん(作家)
 柴崎友香さん(作家)
 しまおまほさん(マンガ家、イラストレーター)
 管啓次郎さん(翻訳家、詩人)
 辻山良雄さん(Title店主)
 マライ・メントラインさん(ドイツ人)
 柳下毅一郎さん(特殊翻訳家、映画評論家)
 山本貴光さん(文筆家、ゲーム作家)

 にインタビューし、それによって“積ん読すること”の本質へ迫る過程が、なんとも学びある読書時間を与えてくれるのです(合間に『積ん読』あるあるが転がり込むことがあり、くすりとする場面も)。

 積ん読に対する姿勢は、十二人十二色。
 しかし共通しているのは、『積ん読は良いこと』という認識。

 まるで書籍の美味しい部分を摘み食いするように、本書で綴られる『積ん読』の良さを味得することができれば、きっと最後には『積ん読』への後ろめたさは消えていることでしょう。
 実際、いま以上の『積ん読』へ二の足を踏んでいた私は最後のページを捲ったとき、「じゃあ、今週はあれとあれとあれを買ってこよう」と前向きに考えられるようになったのです。

 また、インタビューを通して本読みである方々の読書への向き合い方や今日に至る人格形成の一端の他、書籍の絡む仕事への熱い想いなんかも窺い知ることができるのです。
 本が好きなら、私も(烏滸がましいかもしれないが)彼らの仲間。
 だから、そう。

 私はこれからも『積ん読』を気にせず、本に溺れる生活を続ける!!

 と、強く胸に誓うのでした。
 ※はじまりとおわりで著者・石井氏に現れる変化も背中を押してくれる一助となります。

 改めて、【主婦と生活社】さんより10/1刊行の『積ん読の本』
 ぜひともお手に取ってみるのはいかが?

 ここまでお読みくださりありがとうございました📚

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