治療と仕事の両立支援の意義
1)これからの日本社会
日本の総人口は減り続けていきます。
2050年には1億人を切ってきます。
その後も減少の一途です。
人口減少は日本全体の話なので、普段の生活では実感しにくいですが、「鳥取県1つ分」に相当する人口減少が、これから、毎年のように続くようです。
来年、鳥取県民のみなさんがいなくなるインパクトです。
2)労働者の高齢化
グラフの赤色の働ける人が、すごい勢いで減っていきます。
グラフの黄色の高齢者の総数も減っていきますが、総人口に占める割合(=高齢化率)は増加し続けていきます。
高齢化率40%!!2人に1人はお年寄り!?です。
つまり、このままいくと、職場では労働者の高齢化が進んでいきます。
それは、つまり病気の問題を抱える労働者が増え、その方々が、病気の治療を理由に退職してしまうと、代わりの人材を確保するのが難しい社会ということです。
安定経営には、この「治療と仕事の両立」はマスト課題になり、病気をしても治療しながら仕事が続けられるような柔軟な就業規則をつくり、職場環境を整備していくことが求められます。
3)課題
・仕事を続けることで適切な治療を受けない
例えば、糖尿病。
今や国民病の1つで、予備軍まで含めると2000万人と言われています。
ただ、糖尿病は自覚症状がなく仕事は難なく続けれらます。
早期より適切な治療(服薬、運動、食生活改善など)をすることで悪化を予防できる病気なのに、仕事を優先することで治療の機会を逃して放置してしまう。
この放置は、あとあと3大合併症という恐ろしい状況になります。
こういった方に対して、「仕事も大事、治療も大事」と言い合える社内雰囲気を醸成していくことが大切になります。
・労働者自身の病気への理解が不十分
例えば、難病のパーキンソン病。
この病気は「ゆっくり進行する」と言われています。診断されても適切に治療することで仕事が継続できるものもあります。
しかし、そういった知識がないと「難病」という言葉の印象で、早まって離職という選択をしてしまうことがあります。
かつては不治の病と言われた「がん」も、
今は治る病気、長く付き合っていく病気になってきています。
実際、仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は、32.5万人もいるそうです。
労働者が、正しい知識を得られる相談窓口が、職場には必要になってきます。
・他の社員の病気への理解不足
職場の職員に病気の基礎知識がないと、必要以上に気を使い配慮しすぎてしまうものです。
「みんなに迷惑をかけたくない」という想いを抱えながら仕事をしていると、その必要以上の配慮が、かえって重荷になってしまい働きにくくなるという悪循環になります。
これからは、職場全員の病気や障害に対する基礎知識を高める「社員教育」も必要になっていきます。
4)まとめ
人手不足が深刻化していくなかでは、経営側も「代わりはいくらでもいるから」と言えなくなります。
「あなたの代わりはいない」ってなれば、少しの配慮と工夫で仕事を続けられる方へ、スポットが当たりやすくなるだろうと思っています。これはとても望ましいことだと思います。
まだまだ病気と仕事の両立支援の認知度は低い状況ですので、これを読んでくださった方は、是非、国をあげた動きがあり、社会資源が整備れていることを周知していただけるとありがたいです。