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炉開き

前回で盆略点前は終了し、次から新しく平点前に入りますと話には聞いていた。

教室へ伺うと別の生徒さんがいらっしゃったので、前の時間の方かと思いお邪魔するのを躊躇っていると、お入りくださいと声がかかる。橙色の綺麗な着物を着た女性だった。部屋に二人並んで座らされる。どうやら一緒にお稽古するらしい。

話してみると、相手は13年目のベテランだそう。先生の「細く長く続けること」を守ってきたらしい。以下彼女をMさんと呼ぶ。

しばらくすると、先生お手製のおしるこが運ばれてきた。これを食べて待っておけとのこと。体の芯から温まる。

いつもと違うところと言えば、炉が切ってある。Mさん曰く、11月最初のお点前は、炉開きと言って、茶道におけるお正月にあたる大切な行事らしい。5月に摘まれたお茶は茶壷に保存され、この炉開きになってはじめて茶葉を石臼で挽き、抹茶にするのだそう。

その後、Mさんの濃茶のお点前を見学させていただく。濃茶はお点前自体見るのが初めてだったが、Mさんの所作の美しさに感動した。自分も長年続ければこのようになれるのだろうか。人のお点前を見るのも勉強である。

濃茶は飲ませてもらえなかったが、客のお稽古として道具の拝見をさせていただいた。自分がこれから先学んでいくことを、体験をもってイメージできるようになり、大変貴重な経験であった。

続いて私のお稽古、初めての平点前である。新たに加わった道具が、水指、柄杓、蓋置。とりあえず初回は言われるがまま動く機械と化す。

柄杓の扱いなど初めてのことも多く覚えるのは大変だが、基本的な動作は盆略点前で学んだとおりである。基礎を固める重要性を認識した。

この日のお軸は「日日是好日」。学べば学ぶほど楽しみは増える。一日一日を大切にお茶に取り組んでいきたい。

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