混ぜるな危険~調理集~
久しぶりに味噌汁がのみたい。
でもパスタも一緒に食べたいというのが始まりだった。
お湯をまた沸かすのがめんどくさいので、味噌汁を多めに作ってパスタの湯の代わりにしようなんておもったのだ。
味付けに味噌も使われることはあるし、もしかしてめっちゃ美味しいパスタ作れちゃうんじゃね?なんて思ったのもつかの間、待っていたのはとんでもねえ仕上がりのパスタ。
それはもうプロのイタリアン達が「エキサイティング!」なんて叫びながら気絶しそうなくらい。
飲食のバイトをしていたときも、賄いは必ず科学者気取りで変なものを混ぜて美味しくさせようとしていたし、大体失敗していた。でもこの性癖は止まらない。
味噌汁で湯でたパスタも、その性癖から生まれた一つの産物だ。
みそは、麦、大豆の穀物に塩と麹を発酵させて作った日本の伝統的な和食の材料。発酵食品だ。
和食と洋食のコラボレーションにきたいが高まる、もう美味しくなくてもいい、ただこのコラボを実現したかった。
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高温に達し、沸騰し始めた味噌汁に投入。
他の麺類より茹で時間が長いから、しっかり染み込んでくれよとウキウキで9分待つ。
フライパンに移した時の味噌の匂いに感動しながら、和風チョイスで味付けを終わらせる。
和風パスタだから箸でいただこう。
いつもより多めにとってすすった。
なんだろうこの味、わからない。
最初は本当にわからなかった。
未知の味というわけではない、多分自分の想像してたものと大きく違ったから理解に時間がかかったんだ。
だから咀嚼していくうちに段々とたどり着いていって、ガクッと項垂れた。
味噌汁を染み込ませたパスタ、それは味噌風味になるのではなく味噌汁風の、違和感を感じる出来になった。
味噌汁を薄ーーく感じるのが残念な味をたらしめさせ、他の調味料もことごとく足を引っ張っている。
張り切って二人分くらい作ったので食べ終わってからは満腹感と悲観の往復だ。
性癖封印しよう。そう心に誓いをたてた。